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70歳以上と30歳以下、厚生年金の生涯平均受取額格差は6,600万円に
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| −年金改革関連法案成立後の見通し− |
2000.03.23
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これはちょっと見逃せない大ネタだ。いやホント、シンケンに読んで戴きたい。週内に成立する事が確実になった年金改革関連法案は、年金保険料の上昇を抑える為、給付額の削減に踏み込んだ。
例えば、今回の改革後には、厚生年金の制度内において、70歳以上の方々は1,300万円支払って、生涯の平均受取額は6,800万円で5,500万円オトク。でも、30歳以下の方々は6,100万円支払って、生涯の平均受取額は5,000万円で1,100万円のソン「元本割れ」ってヤツだ。その格差をみると、ナントナント6,600万円の差がでることとなる。ちょっとまってよ。6,600万円って、一般ピープルが稼ぐのにどれだけ苦労してると思ってんの?わかってんのかなぁ。
公的年金は現役世代の保険料で高齢者に給付する賦課方式が原則。しかし、少子高齢化で現役世代の保険料負担が重くなるので、3つの手段により給付額を2025年度までに約20%削減する。
そして3つの手段とは…
まず、覚えて戴きたいのはこの2つの言葉「基礎年金部分と報酬比例部分」。サラリーマンが加入する厚生年金は国民年金と同額の基礎年金部分(一階部分)と受給者の現役時代の平均月収に応じた報酬比例部分(二階部分)からなる。
1.報酬比例部分の給付水準を5%カット
今回の改正案では、4月以降に年金を受給する人が対象で、報酬比例部分の給付水準を5%カットする。当初は支給額を減らさないようにする経過措置があり、実際は2004年度から削減される見とおし。
2.支給開始年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げ
2013年度から報酬比例部分の支給開始年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げる。基礎年金部分の支給開始年齢は既に2001年度から段階的に60歳から65歳になる事が決まっている。60歳に繰り上げて受け取れるものの、年金額は65歳で受け取るよりも30%程度減る見込みだ。
3.賃金スライド制を物価スライド制に
65歳以降の年金支給額額の改定は、現在、「賃金スライド制」と「物価スライド制」に連動して増えている。しかし、現役世代の賃金の上昇率に応じて引き上げる「賃金スライド制」を4月から凍結。年金支給額額の改定は消費者物価の上昇率に合わせる「物価スライド制」だけになる。
よっしゃコレで給付額20%削減♪って、ふぅ、キッツイなぁ。
厚生年金のシチュエーション
保険料と給付額について
厚生省によると、2025年度の給付額は、標準的なサラリーマン世帯(夫婦で40年間加入)で現行制度より1万円少ない418,000円。現在、40歳のサラリーマン世帯が生涯に受け取る年金の総額は現行制度の6,100万円から5,100万円に減る。
当面の厚生年金は手取り賃金月額(標準報酬月額)の17.35%(これを労使で折半)、自営業者等の国民年金は月額13,300円と、これまでと変わらない。景気への配慮から保険料は当面据え置くが、高齢者の増加により、将来的に保険料の引き上げはまちがいないでしょ。
給付削減と国庫負担の引き上げを織り込んだ厚生省の試算によると、2025年度の保険料は厚生年金で25.2%、国民年金で月額18,200円。ってことは、厚生年金で7.85%、国民年金で月額4,900円、増えちゃうわけですね。
厚生省によると、「現行制度より抑えらるんですよ」とのことだが、それでも保険料は現在より約40%上昇する。
保険料算定方法について
2003年4月からは、厚生年金の保険料算定方法は総報酬制に変わる。ボーナスからもしっかり取られちゃうようになる。
現行制度では、ボーナスの1%を徴収しているだけだが、ボーナスも月収と同率の保険料率を適用して平準化する。保険料率は13.58%になる。13倍ですか…13倍!
在職老齢年金制度について
2002年4月からは、在職老齢年金制度も変わる。これは、現行の厚生年金でいう「60〜64歳の会社員から保険料負担を求め、年金と賃金の合計額が一定額を超えた場合に年金額を減らす」というもの。この制度が60〜64歳の枠から60〜69歳になる。
他の公的年金制度のシチュエーション
国民年金では、保険料の納付方法が柔軟になる。4月から20歳以上の学生は、申請に基づき保険料の支払いが猶予され、10年以内に保険料を納めればいい。
2002年4月からは、低所得者を対象に新たに保険料の半額免除制度を設ける。このあたりは少しイイところだ。
公的年金の受け取り額と保険料の変化
| |
1999年度 |
2025年度 |
| 現行制度 |
改革案 |
| 受取額(円) |
厚生年金 |
238,000 |
428,000 |
418,000 |
| 国民年金 |
134,000 |
327,000 |
237,000 |
| 保険料 |
厚生年金(%) |
17.35 |
34.50 |
25.20 |
| 国民年金(円) |
13,300 |
36,400 |
18,200 |
| 月額。夫婦、40年加入。保険料は5年据え置き、基礎年金の国庫負担割り合いを2分の1に引き上げた場合。消費者物価上昇率は1.5%と想定。 |
厚生年金の支給開始年齢
| 2000年4月1日時点の年齢 |
支給開始年齢 |
| 男性 |
女性 |
基礎年金部分 |
報酬比例部分 |
| 59歳以上 |
54歳以上 |
60歳 |
60歳 |
| 57-58 |
52-53 |
61 |
60 |
| 55-56 |
50-51 |
62 |
60 |
| 53-54 |
48-49 |
63 |
60 |
| 51-52 |
46-47 |
64 |
60 |
| 47-50 |
42-45 |
65 |
60 |
| 45-46 |
40-41 |
65 |
61 |
| 43-44 |
38-39 |
65 |
62 |
| 41-42 |
36-37 |
65 |
63 |
| 39-40 |
34-35 |
65 |
64 |
| 38歳以下 |
33歳以下 |
65 |
65 |
| 基礎年金部分は定額支給、報酬比例部分は加入者の月収に応じ変わる。 |
厚生年金の世代ごとの影響度
| 年齢(1999年時点) |
保険料負担額(万円) |
生涯の平均受取額(万円) |
| 現行制度 |
制度改革の影響 |
改革後 |
| 賃金スライド凍結 |
支給開始年齢引き上げ |
5%削減 |
| 70 |
1300 |
7100 |
▲300 |
0 |
0 |
6800 |
| 60 |
未発表 |
7000 |
▲400 |
0 |
▲100 |
6500 |
| 50 |
3800 |
6200 |
▲400 |
0 |
▲200 |
5700 |
| 40 |
未発表 |
6100 |
▲400 |
▲500 |
▲100 |
5100 |
| 30 |
6100 |
6100 |
▲400 |
▲600 |
▲100 |
5000 |
| 20 |
未発表 |
6100 |
▲400 |
▲600 |
▲100 |
4900 |
| 厚生省の試算。概算の為個別項目の影響額を引いても改革後の受け取り額と一致しない場合がある。▲はマイナスの意。保険料負担額は事業主負担分を含み、50歳、30歳は改革後。 |
厚生年金の保険料率の将来見とおし
| 年度 |
1999 |
2000 |
2005 |
2010 |
2015 |
2020 |
2025 |
| 現行制度 |
17.35 |
19.50 |
22.00 |
24.50 |
27.00 |
29.50 |
34.50 |
| 改革案 |
----- |
17.35 |
17.35 |
18.65 |
20.95 |
25.20 |
25.20 |
| 保険料を5年間据え置き国庫負担割り合いを2分の1に引き上げた場合の厚生省試算。 |
なんでこんなことになっちまったんだい?
今回の年金制度改革について、厚生省は「少子高齢化を踏まえた安定した制度に成る」と説明しているが、公的年金のひずみは大きくなっている。
なかでも保険料の未納率は1998年度より3ポイント増加した。例えば、未納率33.7%の東京都練馬区では「支払っていない人の3割程度は年金制度に不信を抱いている」と見ている。不信の背景には、少子高齢化により現役世代が高齢者を支える「世代間扶助」という仕組みが限界に来ている事が挙げられる。
これからはどうすんだい?
公的年金のセールスポイントである「国が健全である限り公的年金は破綻せず、私的年金より絶対有利」というものは、どっかバケーションにでも行っているようだ。対策として、現役世代が将来の受取額に見合った保険料を支払う「積みたて方式」の導入。現役世代の保険料に年金の支払い財源を依存するのでなく、高齢者も含めて消費税などで負担する「税方式」の導入があるが…さてさてどうなることやら。
やっとまとめです。
実施時期に見る改正案
| |
実施時期 |
| 厚生年金 |
保険料 |
育児休業中の事業主負担を免除 |
2000年4月 |
| 65〜69歳の高齢者も在職中なら保険料を負担 |
2002年4月 |
| 月給だけでなく賞与からも同率で負担する総報酬制の導入 |
2003年4月 |
| 受取額 |
新規受給者は報酬比例部分を5%減額(経過措置で2004月年度から) |
2000年4月 |
| 65歳以上は賃金スライドを停止 |
2000年4月 |
| 65〜69歳の在職中の高齢者は所得に応じ年金を減額 |
2002年4月 |
| 報酬比例部分の支給開始年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げ |
2013年度 |
| 国民年金 |
保険料 |
学生に10年間の追納制度 |
2000年4月 |
| 一定の所得以下の場合は半額免除制度 |
2002年4月 |
| 厚生年金・国民年金共通 |
基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げ |
2004までに |
| 年金積みたて金を段階的に全額自主運用 |
2001年4月 |
| 企業年金 |
厚生年金基金の自家運用の資産規模規制を撤廃 |
3ヶ月以内 |
| 企業が保有する株式を厚生年金基金に現物拠出 |
2000年4月 |
今回の改正は少子高齢化時代に備えた年金制度の構築を先送りし、目先の収支あわせをしたため、老後の安心を支える年金制度の信頼回復にはほど遠いといえるカモ。そして、現役世代が減少する中で、その保険料で増加する高齢者への年金を支えつづけるのはドンドン難しくなるし、世代間の不公平感の解消は不充分と言われている。
僕は、個人的には世代間の不公平感というのはあまり感じない。それぞれの時代に苦労はありますからね。ただ、このあたりの制度改定は「先送り」なんてやってる場合じゃないのではないだろうか。さっさとやってくんないかなぁ。とにかく、最後まで読んでくださったアナタ!ながながとホントありがとうございます。ではでは、おつかれさまでした。
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