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温泉は医療費を6%も減少させる

−医療・介護保険制度下における温泉の役割や活用方策に関する研究−

2001/07/16(Mon.)

 国民健康保険中央会が、「医療・介護保険制度下における温泉の役割や活用方策に関する研究」における調査結果を公表、温泉を活用した保健事業と医療費の関係や、温泉の活用が医療費の抑制に結びつく経路、温泉を活用した保健事業を実施し、実際に医療費も低下している市町村の特徴などをまとめた。

 温泉を活用した保健事業と医療費との関係について研究した結果、温泉を活用した保健事業を積極的に展開すると老人医療費は低下することが明らかとなった。

 温泉を活用した保健事業を積極的に推進している市町村では、老人医療費が低下しており、14のヒヤリング対象市町村のうち、少ないところでも2.1%、最大で17.4%もの医療費減少率が現れた。対象市町村の減少率平均は6.34%にものぼる。

 温泉の利用実態に関するアンケートにおける回答の状況と、実際のレセプトデータを組み合わせて分析した結果、70代以上の高齢層では、温泉によく出かける者の方が医療費の水準が低くなっており、山形県・村山市では、温泉を活用した健康づくり事業に参加している人においては、医療費の水準が市全体の平均より低いという結果が得られている。


温泉の活用が医療費抑制に結びつく経路

 温泉の活用が医療費抑制に結びつく経路としては、「病院ではなく温泉が高齢者のサロンとなる」「温泉と診療所活動との連携により医療面での適切なアドバイスが受けられる」「保健事業との連携により地域住民の健康意識が高まる」「保健事業との連携により地域住民の健康状態についてのデータ把握が促進される」「交流や外出が促進される」「痛みの緩和をはじめとする具体的な病状への効果もある」−−の、6つの事象があげられている。

 事象の詳細をみると、秋田県・八竜町の温泉施設「ゆめろん」のケースをはじめとして、病院へ行かずに温泉へ行くことで、温泉が高齢者のサロンとなっている事例が見られた。このようなケースでは、利用者が何度でも訪れたくなるような「場」にしていくような工夫がみられる。

 長野県・北御牧村等では、診療所が温泉施設に併設されており、様々な医療的アドバイスが気軽に受けられるとともに、温泉の利用の仕方等についてもアドバイスをもらえるようになっている。

 北海道・奈井江町をはじめとして、保健婦が温泉施設へ出向いて検診をおこなうなどの連携がとられている事例では、こうした検診によって地域住民自身が自らの血圧等をチェックできることから、それにより生活習慣改善へ向けた意識づけがされる。

 保健事業との連携がきちんと行われることで、青森県・新郷村のように地域住民の健康状態に関するデータ把握が進み、心臓病等疾病の早期発見にもつなげていけることが事例として報告されている。

 温泉の利用が増えることで、利用者同士のコミュニケーションが増し、社会関係も拡大していることが、利用者のアンケート調査から示されている。また、福島県・大玉村をはじめとしてヒヤリング市町村の多数で、こうした傾向がひきこもり防止等に効果を発揮することが報告されている。

 泉質によっては腰痛やリウマチ・神経痛などの痛みを緩和するなど、具体的な病状への効果があるとの指摘もみられた。また、温泉を利用することは、温泉水そのものだけでなく温泉地の効果も含めて精神疾患やストレス解消に効果があるとの報告もなされている。海外でも、薬剤による副作用を防ぐ観点から温泉療法の効果を評価している事例がみられる。


医療費の低下している市町村における保健事業の特徴

 医療費の低下している市町村における保健事業の特徴をみると、「保健婦との連携がとれている」「他の健康づくり活動との連携が図られている」「温泉を中心とした医療・保健・福祉の一T体的な取り組みがなされている」「対象者・目標を明確化した事業展開がなされている」「医療費抑制を意識した事業を実施している」「温泉を中心に多彩なサービスメニューが提供されている」「老人クラブなど地域の高齢者活動・住民活動等との連携が行われている」「温泉を健康づくり、生きがいづくりの拠点として活用する志向が強い」−−などがあった。

 これらの特徴の詳細をみると、保健婦が温泉施設に出向いて積極的に活動を展開しており、血圧測定や健康相談などへの参加促進が図られている。

 山歩きやウォーキング、グランドゴルフなど様々な健康づくり・スポーツ活動に温泉が活用されている。

 温泉施設に隣接して保健センターや高齢者交流施設・デイサービスセンター等が設置されるなど、温泉を中心として、医療・保健・福祉に一体的に取り組む姿勢が強い。

 独居高齢者に絞った外出促進事業に温泉を活用したり、継続的な温泉利用者のクラブを組織したり、対象者の特性に応じた活動を展開している。

 温泉と医療費の関係に関心が高く、両者の関係を示すデータの構築に取り組んでいる市町村もある。

 温泉入浴施設に隣接してプールが整備されていたり、運動場や自家農産物販売コーナーが整備されているなど、温泉を中心に多彩なサービスメニューが提供されている。

 老人クラブの会合やイベントの場を温泉施設にしたり、老人クラブで連れ立って温泉に出かけるなどの連携がみられる。また、老人クラブの会員に温泉入浴補助をしていることがその高加入率につながっているようなケースもみられる。老人クラブに限らず、クラブ活動やボランティア活動の場になるなど、住民団体の活動の場として機能している。

 温泉を地域住民のための健康づくり、生きがいづくり、交流の輪づくりの中核にしていこうとする志向が強く、医療・保健・福祉等の施設や運動施設の併設といったハード面、生きがい活動等の場としての活用といったソフト面相互の充実に向けた取り組みがみられる。交流の輪づくりについても、わざと遠い地区同士が同じ時間に温泉でふれあえるような送迎スケジュールを工夫するなどの事例がみられる。


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