日本自動車工業会は「2010年 シニアユーザーとクルマ」として、「2000年度乗用車市場動向調査」から、2010年頃のシニアユーザーとクルマ市場の姿をまとめた。レポートでは、「シニア=60歳以上、シニア予備軍=団塊世代を含む50歳代層」とした。
現在の人口構成では、1945年〜50年の5年間に誕生した団塊世代が、全人口の約8%を占めている。この団塊世代が2000年〜10年にかけて60代を迎えることから、現在約3,000万人の60歳以上の人口は、2010年には3,800万人となる。
団塊世代の加齢に伴い、2010年における60歳以上の普通免許保有者の比率は4分の1(24.5%)を占めると予測されている。男女別では、2010年における女性60歳以上の免許保有者の増加が顕著になる。
現在の18歳以上の人口に対する普通免許保有者の割合は男性で84.0%、女性で53.7%であるが、これが2010年には男性87.3%、女性63.0%へと増加する。年齢別にみると、団塊層をさかいに保有率が大きく上昇しており、免許保有が急速に進んだことを示している。特に女性においては、団塊層をさかいに免許保有率が過半数となっており、免許保有者に占める女性の割合が着実に増加している。
「クルマの使い方とクルマ志向」をみると、全体的な傾向では、高齢化は小さなクルマ・セダン化としている。
使用車のタイプは、年齢層が高くなるほどワゴン・RV系の割合が低下。排気量は、若年層ほど高排気量車の保有が多く、年齢が高くなるほど1500ccクラスの割合が上昇する。
ユーザー全体の平均購入価格(新・中古込み)は171.1万円。レジャーへの使用率は若年層ほど高い傾向。車への志向は男女差が大きく、男性が「贅沢なハイグレード」「居住性」「エンジン・走行性能」「スタイル・雰囲気」への志向が強いのに対し、女性は「小さい車」「内装・装備」への志向が強い。
男性ユーザーは年齢が高まるほど「贅沢なハイグレード」「エンジン走行性能」「スタイル・雰囲気」志向が低下し、「小さい車」への志向が高まる。50代層では40代層の志向に近似しているのに対して、50代層と60歳以上層との志向差が大きい。
子供が現在就学中の団塊世代が将来の生活に大きな不安を抱いているのに対し、子供が既に社会人となっている世帯や独立した世帯では、今後の生活に比較的明るいイメージを持っており、老後の生活を積極的に楽しもうとの意向が強い。なお今後、団塊世代での子供の独立が進展するに伴い、活発なシニア層が増加すると考えられる。
趣味、レジャー、交際社交、家族、健康、仕事・社会参加、車保有など、将来の生活を構成する要素の中では、層を問わず、車保有のプライオリティが高く、車があることを前提とした生活がイメージされており、シニア予備軍に比べシニア層でより車保有へのこだわりが強い。
将来への不安としては、「寝たきりになる」「物が見えにくくなる」「集中力がなくなる」など肉体的、精神的な衰えに関するものが上位を占めている。そして、年齢が高い層ほど不安に感じる傾向が強いが、層間の差はそれぼど大きいものではない。
車の運転への不安も肉体的・精神的衰えを背景に強く感じられているが、シニア層よりは予備軍の方が不安に感じる度合いが強い。
将来の望ましい生活イメージに関する分析では、各層共通して「自分で自由に使える車があること」、あるいは「自分のものでなくとも世帯に車があること」の効用値が他の属性水準に比べて高く、将来の生活を考える上で車を保有していることが必須の要件となっている。
層別に効用値の傾向をみると、シニア予備軍に比べシニア層の方が「自分で自由に使える車」があることへのこだわりが強く、また「夫婦水いらずの時間」を重視した生活を望む傾向が強い。
シニア層を現役、リタイア別に比較すると、現役層では「仕事や社会活動に積極的に参加」「子供や孫と過ごす時間を重視」「日常的にスポーツを楽しむ」など活動的な生活をイメージしているのに対し、リタイア層では、レジャーは「たまに楽しむ」「小人数の友人・知人と楽しむ」「仕事や社会活動から解放されたい」など相対的に静かで落ち着いた生活への志向が強くなっている。
シニア予備軍においても、車保有をベースとした趣味・レジャーの楽しみ、健康への志向といった生活イメージに大差はないが、子供が社会人となっている層では趣味・レジャーを積極的に楽しもうとの意向が相対的に強く、また、「欲しいものは我慢しない」など購買態度の変化がみられ、子供の独立(就職等)を契機に、その後の生活をより積極的に楽しもうとの意向が強まる傾向がうかがえる。
シニア層とその予備軍の将来の生活における車は、層を問わず日常の足であると同時に、趣味・レジャーの足としての期待が強い。
車保有最大のメリットは「自分だけの時間・空間を持つことができる」こと、「自分の車があるという満足感」など、移動のための道具ではなく、生活のゆとり感や満足感・安心感など精神的なものであり、特にシニア層では「自分の車がある満足感」をメリットと感じる傾向が強い。
最後に乗りたい車としては、男性シニア予備軍では、ゆったり感・ゆとり感のある運転しやすい車と同時に、スポーツセダン、冒険旅行、オフロード車など、楽しみのためや、自分らしさが発揮できる車、ステイタス性などへの志向がみられる。
いっぽう、男性シニアでは、最後の車に対しては、予備軍と同様、ゆったり感・ゆとり感への志向がみられるが、ステイタス性よりは「運転しやすいこと」「乗って疲れないこと」へのこだわりが背景となっており、取り回しのしやすさを含め「ドライバーに優しい車」への志向がベースとなっている。
年齢層別には、60代層では50代層と同様のレジャー志向や自分らしさの表現への志向がみられ、70代層との志向差が大きい。
シニア層及びその予備軍が将来の車選択における機能・性能に対する優先度・プライオリティを効用値分析からみると、「排気量2000cc」「前後席に大人4人が快適に乗れる」「普通の車高で標準的な運転姿勢で運転できる」「最新モデル」「通勤・通学などの日常用途に適した車」などへのこだわりが強い。
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