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従来困難だった日常生活に即した聴き取り能力測定法を開発

−NTTと東北大学−

2001/09/12(Wed.)

大人の青汁
 NTTと東北大学は、難聴者の聞き取り能力評価において、従来困難だった「連続音声の知覚に対する評価」「音韻バランス均一条件下での評価」「難易度をコントロールしての評価」を可能とし、より正確で実践的な音声聴取能力評価を実現する「単語了解度試験用単語リスト」を完成した。

 NTTコミュニケーション科学基礎研究と東北大学電気通信研究所の研究グループは、1996年以来、難聴者に対する音声聴取能力を評価するため、単語の難易度をそろえた新しい単語了解度試験用単語リストの構築を共同で進めてきた。

 この単語リストは、難聴者の聴力等を正確に把握する際に有効であると期待され、今回のリストの完成を機に、2001年9月10日から、この単語リストをインターネットにて公開することとした。単語リストは、学術的な目的に使用する限り自由に使用することができる。

 この単語リストを用いることにより、実際の生活の場における音声の聴取能力をこれまでより正確に評価することが可能になるとともに、誰もが同じ単語リストを用いることによって評価値の比較検討が可能となり、この分野の研究の進展にも期待される。

 単語リストを作成するにあたり、研究グループは補聴器の適合評価などの臨床現場において行われる音声の聴き取り検査に着目。現在、臨床現場において音声の聴き取りの測定には、1桁の数字や単音節明瞭度試験が多く用いられている。単音節の場合、使用する音表としては、日本聴覚医学会が作成した57式音表(50音)及び67式音表(20音)といったものが多く用いられている。

 しかし、このような単音節明瞭度試験を用いた聴取試験では、普通の単語や文章といった連続音声の知覚に対する評価がおこなえないといった問題があった。また単音節という日常単独で聴くことが稀な音声を試験語として用いることから、実際の音声聴取能力を正しく表しているのかという危惧も考えられる。そこで、研究グループは、より実際の音声の聴き取りも含めたきめ細やかな音声の聴き取りの様相を把握できる手法はないかと考え、同単語リストを構築するに至った。

 単語リストは、従来までの単音節明瞭度試験に代わる新たな音声の聴き取り検査用音表として全ての臨床の場面に適用可能。更に、個々の単音節の聴き取りと合わせ、従来の手法で得られなかった連続音声の知覚や、日常の音声の聴き取りといった様々な情報を提供することが可能となり、臨床の場面においても、これらの情報に基づき様々な難聴者の聴力特性に合わせたきめ細やかな対応をとることが可能。

 単語リストは、単語の難易度をより適切にコントロール(統制)している点が大きな特徴。単語了解度試験においては、提示する単語の知覚の難易度が結果に影響するため、試験語の難易度をきちんと統制することが非常に重要。従来の単語リストでは、10種の数字などを用いるなどといったそれほど難易度の統制を必要としないかわりに単語としての性質をあまりもたないものや、単語の出現頻度を用いて難易度の統制をおこなったものが提案されてきた。

 単語の出現頻度は、過去数年分の新聞や本などの印刷物中にその単語が何回使用されたかを示すものだが、出現頻度は主として文字単語の出現回数であること、新聞を頻度の計数対象とした頻度データの場合には、国会用語など難しい言葉の頻度が高くなってしまうことなど、実際の音声聴取用の単語リストにおける難易度の指標として最適かどうか疑問がある。

 そこで同リストでは、親密度という尺度を用いて単語リスト内の単語の難易度を統制した。親密度とは、単語に対する「なじみの程度」を表す指標。この指標は、実際に被験者がそれぞれの単語に対してどの程度「なじみ」があるかを、1(まったくなじみがない)から7(とてもなじみがある)までの7段階で評定した値。

 この親密度データは、日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所の天野、近藤両主任研究員の長年の研究の成果としてデータベース化され、「日本語の語彙特性第1巻」(三省堂、1999)として出版されている。また、同データベースには、音声単語を聞いた時の親密度も収録されており、音声単語の難易度をコントロールするには現在もっとも適した指標。

 また、同じくNTTコミュニケーション科学基礎研究所の研究グループがおこなった、雑音中の音声単語の認識率を検討した研究から、出現頻度よりも親密度の方が単語認知の難易度をよりよく反映した指標であることも示されている。そこで、本リストはこの親密度に基づいて単語の難易度の統制をおこなうことで、従来の単語リストよりも適切に難易度をコントロールすることに成功した。

 また、音声聞き取り試験では、日本語を構成する音韻がバランスよくあらわれることも極めて重要。そこで、今回の単語リストでは、個々の単語リストに含まれる音韻が均等になるように単語を選定することにも注意した。単語の先頭では、全音節が均等に出現するようにするとともに、単語の内部では、連続する2音韻の組みが均等に出現するように調整。この調整は、エントロピー(統計的なバラバラさの指標)が最大となるように単語を選ぶことによっておこなった。

 リスト作成の具体的な手順は、まず、密度データベースから、4拍でかつ1文字目のアクセントが低くそれ以降が高い単語を選出。音異字語がある場合には親密度が最も高いもの以外をすべて取り除いた。社会的に負のイメージを与える単語や、病気に関連のある単語は取り除いた。これらの処理により選られた単語群を親密度ごとに4段階に分けた。最後に日本語を構成する音(音韻)の種類ができるだけ均一に現れるように単語を選定し単語リストを作成した。

 実際にこの単語リストを用いて正常な聴力を有する被験者を対象に、単語了解度試験をおこなった結果、親密度のランク毎に単語了解度が大きく異なるという結果が得られた。たとえば、音声がごく小さな声にあたる25dBの場合には、親密度が最も高いランク(5.5〜7.0)の単語に対する了解度は、80%の正答率が得られるのに対し、親密度が最も低いランク(1.0〜2.5)の単語に対する了解度は、およそ30%の正答率しか得られなかった。

 このことから、目的に応じて適切な親密度の単語リストを用いた単語了解度試験を実施することにより、従来の手法では調べることの出来なかった様々な場面を想定した音声聴取能力が測定できると考えらる。

 たとえば、なじみの程度の高い単語の聴き取りから日常生活での感想を反映した聴き取りの様相を調べたり、なじみの程度の低い単語の聴き取りから細かな音韻の聴き取りの様相を調べたりというように、目的に応じて適した単語リストを選択することで様々な音声聴取能力を測定することができると思われる。

 更に、以上の様な特徴を持つリストを利用した聴き取り能力測定法は、補聴の特性を柔軟に変えられることが大きな特徴である最近のディジタル補聴器を、医療現場等で最適に設定する場合に大きな力を発揮する。

 ディジタル補聴器の特性を設定する際の従来の方法は、単音節明瞭度などの音声の聴き取りやその場での使用者の感想をもとに臨床現場で補聴器の特性を決定し、その後実際に日常生活で補聴器を装用してもらった感想を元に再度補聴器の設定をやりなおすといったことがしばしばおこなわれていた。

 しかし、単音節明瞭度試験では日常での音声の聴き取りが正しく反映されない場合がしばしばあり、使用者の感想から最適な補聴の特性を推定するのも困難なため、使用者に適した補聴特性を見つけるまでに非常に時間がかかるのが常だった。

 また、難聴の程度や性質は時間とともに変化する場合が多いため、補聴器の特性は、その変化にあわせて設定し直す必要がある。この様な場合においても、同リストには、複数のリストが用意されているため、前の試験に出現した単語の記憶が残っている可能性を回避することができ、また、それらのリスト間で難易度の統制と音韻のバランスがとれているため、前回の試験結果との正確な比較が可能になる。

 今回の単語了解度試験をおこなうことで、臨床の場面においても日常の音声の聴き取りにより近い結果が得られることが期待されることから、早い段階で難聴者に適した特性を見つけることができる。

 高齢化が進む現代社会において、この単語リストを用いて、難聴者の方々に適した補聴器の選定が可能になるなど、医療現場等で大きな力を発揮できるものと期待でき、また、今回の公開により、誰もが同じ単語リストを用いることが可能。これは、異なった場所や人について求められた評価値を同じ土俵で比較検討するための基盤ができたことを意味し、この分野の研究の進展にも大いに寄与できるもの。

 更に、同単語リストは、音声通話品質の測定などにも応用が可能で、携帯電話など、様々な音声通話システムの性能評価にも役立つと期待できる。今後も、研究グループは、この単語リストの有効性をより明らかにするための研究に積極的に取り組んでいく。


関連リンク

日本電信電話株式会社概要
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