凸版印刷とグループ会社の東洋インキ製造は、防衛大学校岡嶋克典助教授と「加齢による色の見え方の変化」の共同研究をおこなった。
その結果、これまで人間の眼の水晶体は加齢によって黄変化し、その結果「すべての色が黄色味を帯びて認識されやすい」と考えられてきたが、眼に疾患の無い高齢者の見ている色は、決して黄色味を帯びて認識されてはいない、という結果を得た。
また、高齢者と若年者間で、微妙な色合いの感じ方や色名の判断において、系統的な違いが見られることが実証された。
これらの研究成果を活かし、同社は、パッケージや印刷物のユニバーサルデザインの展開とコンサルティングの実施、東洋インキは、印刷・表示関連等の様々な場面でユニバーサルデザインを意識した各種インキ・色材の開発やカラーマネジメントシステム開発を進めることで、今後更に本格化する高齢化社会への貢献を目指す。
研究は、色名を11の基本色(赤、緑、黄、青、橙、紫、ピンク、茶、白、黒、灰)から1つだけ選択させるカテゴリカルカラーネーミング法と、色の見え方を色み(赤み、緑み、黄み、青み)と白黒み(白、黒)の比率で分析的に表現するエレメンタルカラースケーリング法を使用し、高齢者と若年者の色の見え方を比較した。
色票の色の見え方について、眼に疾患の無い若年者(平均20.7歳)と高齢者(平均69.5歳)の被験者を対象に、東洋インキ製造の色見本帳「カラーファインダー1050」から抜粋した色票を用い、実際に測定した。
その結果、眼に疾患の無い高齢者の見ている色は、決して黄色味を帯びて認識されてはいない、という結果を得た。
カテゴリカルカラーネーミングの結果から、高齢者と若年者間で、特に暗い環境下で、色名の判断に差が見られた。
エレメンタルカラースケーリングの結果から、年代間で色の鮮やか感や無彩色の感じ方にかなり違いがあることがわかった。黄色相と青色相における年代間の結果の違いは、水晶体の加齢変化を補償する、神経系の色恒常性作用が働いていることがわかった。
高齢者は若年者に比べて、低彩度の色を鮮やかに知覚し、逆に高彩度の色を地味めに知覚する傾向があることが判明した。これにより、高齢者の彩度知覚の実用範囲が若年者よりも狭いことを示唆している。
高齢者へ配慮したカラーデザインをおこなう際の様々な要求事項が定量的に得られたと同時に、若いデザイナーが高齢者用のカラーデザインをする際の支援システムの開発が可能になった。
今後の研究成果の展開として、凸版印刷では、パッケージはもちろん、印刷物を中心に、高齢者に配慮したカラーデザインを展開、情報コミュニケーション領域でのユニバーサルデザインを推進する。
また、高齢者に配慮したカラーデザインを支援するソフトウエアと、それを活用したコンサルティングビジネスの開発を進めていく。
東洋インキでは、印刷・建材・パッケージ関連をはじめ、様々なフィールドにおいてユニバーサルデザインを意識した各種インキ・色材開発やカラーマネジメントシステム開発を推進。
色材のリーディングカンパニーとして、今まで単純に「黄色くなる」と考えられてきた高齢者の色覚変化についての啓蒙活動も含め、生活者の視点に立った製品開発や検討を進める。
|