日立製作所は、経済産業省のリアルワールド・コンピューティング(RWC)プロジェクトを実施する技術研究組合新情報処理開発機構(RWCP)に参画し、産業技術総合研究所の協力を得て、手の動きと頭の動きを利用して手話から日本語への翻訳をおこなう「手話−日本語翻訳技術」を開発した。
手袋型の入力装置から手指動作を、ビデオカメラから頭部動作を入力し、PC上で日本語文へ変換する技術で、これにより単語を表現する手指動作に加えて、文法情報を示す「顎下げ」や「頷く」という頭部動作をとり入れることが可能になった。
聴覚障害者と健聴者のスムーズなコミュニケーションを支援するシステムの実現に道を拓く技術で、同内容は、10月3日から東京ファッションタウンで開催される「RWC2001最終成果展示発表会」に出展する予定。
日本手話では、手指動作で「私・パソコン・本・買う」という単語列を表現する際に、「私・本・買う」の手指動作とあわせて「頷き」の頭部動作をおこなうと、「私はパソコンの本を買います」と翻訳される。さらに「パソコン」の部分に「頷き」の頭部動作が加わると「私はパソコンと本を買います」という文に翻訳される。
このように、手指動作が同じでも頭の動きによって意味の異なる内容となる。手以外の動き(非手指動作)を手話−日本語変換にとり入れることは、確度の高いコミュニケーションにとって、大変重要なことだった。
そこで、今回同社では、非手指動作のうち頭部動作に着目し、手指動作と頭部動作を利用して日本語から手話への翻訳をおこなう「手話−日本語翻訳技術」を開発した。
開発に際しては頭部動作の持つ文法的な機能を知るために、手話表現で使われる頭部動作の種類と文法的機能を分類し、新たに手話文法ルールを作成した。
手話文法ルールの作成として、部分的に異なる構造を持つ日本語文(例:肯定文と否定文、単語間に係り受け関係がある場合とない場合など)を表現する手話約2,500サンプルについて、手話中に使われる頭部動作の種類とその文法的機能を分類した。これに基づき、手話文法ルールを作成し、解析処理に適用可能な形式で記述できるようにした。
手話文法ルールに基づく手話−日本語翻訳処理として、上記のルールに従って、以下の手順で手話文を日本語文へ変換する。1.文構造規定ルールに従い、入力された手話文の文型を決定する。2.決定された文型に適合する手話単語を選定し、手話単語の列を生成する。3.意味属性変換ルールに従い、手話単語の役割や文の種類を決定する。4.以上の解析結果に基づいて、日本語文に必要な助詞や語尾変換を補完し、日本語文を生成する。
リアルタイムな翻訳技術として、手指動作認識と頭部動作認識を統合した認識システムにより、リアルタイムでの翻訳を実現した。頭部動作の認識では、産業技術総合研究所にて開発された高速画像認識技術を使用した。
今回開発した手話−日本語翻訳技術では、聴覚障害者が日常使用している手話を日本語へ翻訳することが可能で、聴覚障害者と健聴者とのスムーズなコミュニケーションを支援する手話通訳システムの実現に道を拓く技術。今後、情報キヨスク端末への搭載に向け、検討を進めていく予定。
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