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知的障害者本人と社会に起因する「5つの不便さ」とは

−共用品推進機構「知的障害者の不便さ調査報告書」−

2001/10/02(Tue.)

大人の青汁
 公益法人の共用品推進機構は「知的障害者の不便さ調査報告書」を刊行した。

 同機構は、障害のあるなしや年齢などに関わりなく、多くの人たちに使いやすい共用品・共用サービスの普及による、バリアフリー社会の実現を目指す団体。

 調査は、日本児童教育振興財団の助成を得て、共用品推進機構・東京会議の知的障害班が2000年度に実施したもの。同機構の不便さ調査としては8つめの報告書で、知的障害者を対象にしたのは今回が初めて。

 知的障害は外見からはわかりにくい障害で、また、その障害の特性から、知的障害者自らが自分の不便さを認識して、それを外部に訴えることが他の障害に比べてうまくできないことが多い。そのため、今までなかなかその不便さが社会に理解されることなく、不便さ調査においても未開拓の領域だった。

 今回の調査は、知的障害者の不便さを把握する定量調査をおこなうための予備調査として位置付け、知的障害者が日常生活において、どのようなことで不都合や不便さを感じているか、その実態を把握し定量的に明確化することで、他の障害のある人や健常者にとっても使いやすい共用品・共用サービスの普及を図るための、ガイドラインの基礎的なデータとなることを目的としている。

 調査は、知的障害者の日常生活の不便さを広く集めるため、知的障害者本人(5人)と、その生活を支える関係者として保護者(10人)、および作業所や授産施設の職員など援助者(3人)を対象に、3〜5人のグループをつくり、アンケート形式でのグループインタビューによる聞き取り調査をおこなった。

 その結果、さまざまな不便さが報告されたが、多くの「不便さ」については、その要因として、本人と社会とその関わりに起因した5つの不便さに特徴付けられる。

 「本人」の不自由さに起因する不便さとしては、知的障害の特徴である理解力、判断力、推理力といった本人の知的能力により「理解すること」と、自分の意思を伝える「表現すること」の不自由さに起因する不便さが考えられる。

 「理解すること」に起因する不便さでは、「電話やワープロの操作、カセットデッキなどの使い方がわからない。」「シャンプーとリンスの識別が難しい。」「時計が読めず時間がわからない。」などがあげられた。

 「自分の意思を伝えること、表現すること」に起因する不便さでは、「店員からの質問に答えられない。」「事故にあった時に適切に答えられない。」などがあげられた。

 「社会」に起因する不便さとしては、「本人」の不便さに対し、もう一方の不便さとして、「本人」を取り巻く「社会」をつくる「環境」と周り人の「心」に起因する不便さが考えられる。

 「環境」に起因する不便さでは、「バスや電車、案内板の表示がわからない。」「割引き等の障害者サービスが統一されていない。」などがあげられた。

 「心」に起因する不便さでは、「まわりに嫌な顔をされる。」「職場で話し相手がいない。」などがあげられた。

 「本人」と「社会」の関わりに起因する不便さとしては、「本人」の不便さと「社会」の不便さが要因となって、知的障害者の実際の生活の中で、2つの不自由さが重なり合った時に、様々なトラブルが生じる。「生活」の不便さは、人とのコミュニケーションをとる上で、さらに困難な不便さを作り出していると考えられる。

 「生活」の不便さでは、「レストランや映画館で声をあげて他の客の迷惑となる。」「店内の狭い通路で立ちふさがり、他の顧客のじゃまになる。」などがあげられた。

 この5つの不便さを、本人の立場から見た「バリア」とたとえ直し、「理解のバリア」「表現のバリア」「環境のバリア」「心のバリア」「生活のバリア」の5つのバリアとその関係性が想定できる。

 このうち、「理解のバリア」と「表現のバリア」は、個人の能力の視点から見たバリア。外界の情報を読み取り、理解すること、そして自分の意思や気持ちを表現し相手に伝えることに、本人が大きなバリアを持っている。

 「環境のバリア」は、社会のしくみや設備、制度等の生活環境の視点から見たバリア、「心のバリア」は、誤解や無理解、あるいは偏見といった周りの人が持つバリア。

 「理解のバリア」や「表現のバリア」がある本人が、さまざまな要素を持つ「環境のバリア」や「心のバリア」に関わる時に起きるトラブルが、「生活のバリア」と考えられる。

 このように、知的障害者が日々感じる「不便さ」は、各々のバリアが相互に影響する複合的な現象として現れてくると考えられる。各々の「不便さ」を類型化した「バリア」の要素に分析することによって、より現実的で具体的な対応策がたてられると予測される。

 今後、詳細な不便さ調査をおこなうにあたって、このような類型化された要素にポイントを置いて質問、分析をおこなうことによって、知的障害という特性をより配慮した、効果的な調査をおこなうことができると考えられる。

 今回の調査を通じて、健常者との不便さの共通性についてみると、例えば、「駅の自動改札が急に閉まった時に、知的障害者はパニックになる人が多い」という話からは、朝のラッシュ時に自動改札の扉が閉まった時の感覚は、知的障害がない多くの人々はパニックこそ起こさないけれど、相当大きなストレスになっていると思われることや、知らない土地でバスに乗ろうとして、乗る扉が前か後ろかわからなかったり、運賃の支払い方法がわからずにドギマギしたあげく、運転手に叱られた経験を持つ人は少なくないこと、ボタンが多過ぎてほとんどの機能が使いこなせない電化製品についても、多くの人に当てはまると考えられる。

 このようなことから、日常生活において、もう少し「やさしい(優しい&易しい)社会」が実現することによって、知的な障害がふだんの生活の中で、今のようなハンディ(社会的不利)ではなくなることが、まだたくさんあると考えられ、逆に、「知的な障害に対する配慮のある社会は、誰にでもやさしい社会でもある」ことが確信できる。

 「知的障害者の不便さ調査報告書」は、同機構で一部1000円で希望者に頒布している。


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