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アラキドン酸の摂取により、老齢ラットの学習・記憶能力を改善
−サントリー、脳の老化を予防する食品素材研究に−
2001/10/03(Wed.)
サントリー健康科学研究所は、同志社大学文学部、東海大学などと脳内で重要な役割を担う「アラキドン酸」の効能について、共同研究を進めてきた。
その結果、アラキドン酸(アラキドン酸含有トリグリセリド)を投与することにより、老齢ラットの学習・記憶能力の低下が、改善されることが明らかとなり、日本動物心理学会・日本基礎心理学会合同大会で発表した。脳の老化を予防する食品素材の研究に役立つ成果となる。
サントリーは1993年に微生物発酵技術を用いて、アラキドン酸を高濃度含有する食用油脂を世界に先駆けて商品化することに成功している。
厚生労働省の各種調査によると、老人性痴呆患者数は、2000年の112万人から、2015年には265万人へと倍増するという予測が報告されている。
老人性痴呆が進行すると、日常生活や社会生活に支障をきたすため、脳の老化を予防する食品素材の研究が期待されているが、アラキドン酸は脳にとって重要な脂肪酸と言われており、歳をとるにつれ、しだいに減少していく。
これまで、脳機能との関わりについて可能性は示唆されるものの、明確な研究結果は得られてなかった。研究では、アラキドン酸(アラキドン酸含有油脂)の摂取により、老化に伴う学習・記憶能力の低下が改善されることを、ラットを用いた実験により検証した。
アラキドン酸は脳内の主要な脂肪酸で、記憶などの脳の働きに重要な役割を担う物質と言われている。通常、アラキドン酸は母乳、レバー、卵黄中にわずかに含まれるが、十分な供給源ではないため、人は食品からリノール酸を摂取することで、このリノール酸からアラキドン酸を体内で生成している。
しかし、高齢者や乳幼児、また生活習慣病患者の人などについては、酵素の働きが弱く、リノール酸からアラキドン酸を生成する量が少ないため、アラキドン酸そのものを直接、しかもバランスよく補給することが望まれる。
実験方法は、あらかじめ一定期間(約2ヶ月間)アラキドン酸を含む飼料(摂取量は40mg/ラット/日)を与えた老齢ラット(20.3ヵ月齢)(OA群)とアラキドン酸を含まない対照飼料(油脂としてコーンオイルを5%配合)を与えた老齢ラット(OC群)、およびアラキドン酸を含まない固形飼料を与えた若齢ラット(3ヵ月齢)(YC群)の3群を実験に用いて、学習・記憶能力テストとして最も広く認められているモリス型水迷路実験実験をおこない、記憶能力を比較した。
実験では、墨汁で黒く濁った水槽の1ヶ所に、ラットがかろうじて立てる大きさの逃避台を水面下に隠しておき、ラットをこの水槽のある1ヶ所(出発点)から放し、最大60秒間泳がせる。
1日に1−2試行で2週間実施すると、ラットは水槽が置かれている部屋の様子から逃避台の位置を学習して(空間認識)、最短距離で到達できるようになる(場所課題訓練)。
学習を獲得した後、逃避台を取り去ると、ラットは以前にその逃避台のあった場所のまわりを泳ぎまわる。そこで、60秒間遊泳させ、逃避台のあった場所を泳ぎ回っている時間で、記憶能力を評価し、比較した。
結果、場所課題訓練において、老齢ラットは、若齢ラット(YC群)に比べて逃避台に到達するまでの時間が、有意に長く(遅く)なったが、老齢2群間に差はなかった。
しかし、試行開始後のラットの遊泳方向について分析した結果、アラキドン酸を摂取した老齢ラット(OA群)は摂取していない老齢ラット(OC群)に比べて有意に逃避台の方向に向って泳いだ。
アラキドン酸を摂取した老齢ラット(OA群)と若齢ラット(YC群)は取り去った逃避台のあった領域を探索する時間が有意に長くなったが、アラキドン酸を摂取していない老齢ラット(OC群)には、そのような傾向はなかった。
これらのことから、老齢ラットの学習・記憶能力の低下がアラキドン酸の摂取により有意に改善されることが確かめられた。
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