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「運転免許の処分基準等の見直し素案」の精神障害者に関わる事項に対する意見
−日本精神保健福祉士協会が警察庁に−
2001/10/26(Fri.)
日本精神保健福祉士協会は、警察庁交通局が公表した「運転免許の処分基準等の見直し素案」(以下、素案)に対しての意見を明らかした。
免許の拒否や取消し等の基準等について、素案では、精神分裂病、躁うつ病や躁病、あるいは中等症又は重症のうつ病にかかっている人で、寛解の状態にない人には免許が制限されること−−となる。
これに対し、同協会では、その根拠が不明瞭。過去の交通事故において寛解状態にない精神分裂病等の患者が起こした事故件数の割合が、人口比に照らして特別に高いという実証的な研究データが存在するのか、また、重大事故においてその割合が顕著に高いのか、さらに、精神分裂病等の患者が起こした事故のうち、病気と起こした事故との間に密接な因果関係が認められる事例はどの程度あるのか。仮に、そのようなデータが存在するのであれば、意見を求める際の判断材料として示されるべき−−としている。
また、根拠となる実証的研究データがないのであれば、充分な時間をかけて基準等が検討されることを要望している。
寛解状態にない精神分裂病等の患者であっても、自動車等の運転に支障をきたさない者が多数存在しており、運転の適性については、あくまでも個別的に判断されるべき問題で、「寛解の状態にない」ことを基準として、一律に制限を加えることは障害者のノーマライゼーションの理念に反するものと指摘した。
また、臨時検査に係る規定の整備について、素案では、公安委員会が指定する期間を経過するごとにおこなう適性検査について、精神分裂病、てんかん、躁うつ病等にかかっている人で、その病状から見て一定期間を経過するごとに確認する必要があると認められた場合には、専門医による診断書が提出された場合を除き、その期間が経過したときに臨時適性検査をおこなうこと−−となる。
これに対し、同協会では、専門医による診断書が、仮に、当該者が通院している精神科医療機関の主治医による診断書を指しているとすると、主治医が運転の適性について専門的に判断することは相当困難で、妥当性と信頼性が担保されないと思われる。
さらに、臨時適性検査において、公安委員会が指定した専門医が検査をおこなうことについては、精神疾患等の病状が運転の適性に及ぼす影響に関して、研究に基づく客観的な判断基準が確立されているのか疑問が残るとした。
「免許申請書等への病状等の記載義務付けについて」に対し、同協会では、精神疾患のうち、特に精神分裂病については、病名そのものがレッテルを貼ることになりかねないことから、患者本人に病名が告知されていない場合も多いのが現状。
また、精神疾患を有するというだけで偏見や差別の対象とされてしまう日本の社会状況にあって、病状等の記載を義務づけることは、秘密にしておきたい個人情報の開示を一律に行政が強要することとなり、公益を優先するに足る要件を満たしていないと考え、結果的に精神疾患を有する人の免許取得の機会を窓口段階で相当制限することとなってしまうことから、病状等の記載義務付けには反対。
病状等の把握については、「自動車等の運転に支障を及ぼすおそれがあると思料する場合は、個人情報の保護に十分配慮したうえで、必要に応じて病状等の申告を求めることができる。」といった規定にとどめる一方で、免許申請事務に携わる職員に対して、精神疾患等に関する正しい知識が得られる方策を図る必要がある−−とした。
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