いすゞ自動車は、大型バスシリーズのエルガを交通バリアフリー法に適合させるとともに、ノンステップバス標準仕様に対応させるなどの改良を施し、1月22日から全国一斉に発売する。
今回の改良では、路線バス「エルガ」において、「ノンステップバス標準仕様化策定検討会」の定めるノンステップバス標準仕様を導入した。
同検討会は、2000年6月にバス協会内に設置されたノンステップバスの普及を促進させるための標準化仕様の検討をおこなう会。バス協会・自動車工業会・自動車車体工業会・国土交通省・経済産業省・学識経験者らが検討メンバーとなっている。
また、大型観光バス「ガーラ」の高速路線仕様車にも、床上張りに滑りにくい素材を採用するなど交通バリアフリー法に適合する改良を施した。これにより、いすゞの大型路線バスシリーズは全車交通バリアフリー法に適合することとなる。
さらに、環境面では、排出ガス中の有害成分が非常に少ないCNG(圧縮天然ガス)車をノンステップバスに展開するとともに、一部車型にPM(ParticulateMatter=粒子状物質)低減に効果を発揮する酸化触媒を採用するなど、環境性能の強化を図っている。
1990年代後半から日本で普及し始めたノンステップバスは、その乗降性の良さなどからお年寄りや車いすを利用される人にやさしいバスとして高く評価されており、今後の更なる普及が期待されている。しかし、ノンステップバスは従来のツーステップバスと比較し価格が高いことから、大量普及には至っていない。
このため、2000年6月に「ノンステップバス標準仕様化策定検討会」が設置され、普及促進のための検討がなされた結果、今年4月にノンステップバスの標準仕様化が策定された。
この標準仕様を採用した場合、個々のバス事業者からの異なる仕様要求に対応したバスと比較し、価格上昇を抑えることができる。
さらに、標準仕様化によるメリットを市場に訴求するため、いすゞ自動車は大型路線バス「エルガ」に、ノンステップバスだけでなくワンステップバスにもこの標準仕様を採用することを決定した。
これらのことから「エルガ」ノンステップバス・ワンステップバスともに「標準仕様」を採用した。標準仕様では、路線バスの用途を3タイプ(「都市型」、「近郊型」、「郊外型」)に大別し、基本仕様として設定したため、それぞれの運行形態に応じた最適車両の選択が可能で、車いす利用者の乗降を容易にするスロープ板や、走行中に車いすを確実に固定できる車いす固定装置など、交通バリアフリー要件を満たす設備を全車標準装備としたもの。
基本仕様のままで交通バリアフリー法に対応し、特別なオプションを付加せずに路線バスとしての運行が可能となる。
また、地域特性や運行環境などで異なるバス事業者ごとのニーズについては、個別仕様を整理・統合し、メーカーオプションとして展開することとした。これらの統一仕様展開により、車両の総合的なコスト削減を実現し、バス事業者の車両購入費低減を図ってゆく。
販売目標台数は、大型バスシリーズ全体で750台/年。東京地区の希望小売価格は、大型路線バス「エルガ」が33,560,000〜18,760,000円。大型観光バス「ガーラ」は23,160,000円。
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