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イヤホンサイズの端末から「いま、ここで、欲しい情報が聞こえてくる」

−産業技術総合研究所のサイバーアシスト研究センターのグループ−

2001/12/27(Thu.)

 独立行政法人産業技術総合研究所のサイバーアシスト研究センター長 中島秀之氏らの研究グループは、無電源で小型(直径約2〜5cm、重量約5〜20g)の通信端末により、端末の位置や方向を考慮した、適切な情報を音声で提供する「位置に基づく情報支援システム」の開発に成功した。

 イヤホン程度の大きさの通信端末を装着するだけで、駅や街角、博物館、レジャーランドなどで、各種情報提供などをおこなうシステムを実現することが可能となる。

 例えば、アトラクションの待ち時間や、彫刻の詳細説明、大売出し情報、道案内支援(こちらには〜がある)、注意喚起(頭上注意!)など、通信端末を装着している人がその場にいくだけで各種情報が提供される。

 端末へ情報を発する環境側では、数種のユーザの合図を理解し、端末の種類および位置の履歴、環境中に存在する物体の情報や地図情報などを総合的に活用することで適切な情報を特定の端末にのみ提供する。

 同システムには、基本システムおよび、これに3種類のオプション機能(ユーザ合図検出、端末の位置計測、端末毎に異なった情報提供)を組み合わせたバリエーションがある。

 基本システムである端末は、主に光を電流に変換する光電変換素子と電流を音に変換する電流音響変換装置から構成されている。今回は、フォトディテクターとヘッドフォンで実現した。この端末が強弱を伴う光を受光すると、ユーザはこの強弱に応じた音を聞くことができる。

 送信光は、送信したい音の電気信号に伴って光の強度を変化させる。今回は、市販の赤外LEDを用いて、特定の位置にある特定の方向を向いた端末のみが受信できるように構成した。ビル間光通信などで用いられている光源を用いることで、より広範囲のサービスを実現できる。

 例えば、ある場所である方向を向いたときに、適切な情報を提供することができるので、複数の絵が置いてある部屋で、“カンデンスキー”の絵がある方向を向いただけで「この絵の作者はカンデンスキーです」という情報が聞こえてくるということができる。

 ユーザ合図検出(オプション1)との組み合わせでは、端末に、さらに反射シート(光の入射方向に光を反射するシート)を取り付ける。

 これを、市販の夜間用カメラ(赤外LEDをレンズ周辺に配置したカメラ)で観察すると、反射シートだけが明るく光る。ユーザは、反射シートの前を手で遮断するなどすれば、簡単な信号を送る事ができる。

 例えば、1回遮断したときは「はい」、2回遮断したときは「いいえ」など数種類の合図を無電源で伝達することが可能。従って、音声で質問し、ユーザの答えに応じたやり取りを実現できる。

 例えば、ある場所である方向を向いたときに、適切な情報を提供するだけでなく、ユーザと簡単なやり取りが可能となるので、スイカやリンゴ、オレンジなどが置いてある棚の前で、リンゴのある方向を向いただけで「青森産のリンゴです。1個200円です。これを買いますか?」という情報が聞こえてきたことに対して、ユーザが「はい」や「いいえ」といった答えを返し、また、それに対する答えをシステムが返すといったことができる。

 端末の位置計測(オプション2)との組み合わせでは、オプション1について、カメラを複数台用いれば、視差を利用して端末の3次元位置を推定できる。端末の位置の履歴が分かるので、何に関心があるか、どこで座ったか、およその身長などを推定でき、これに基づいた情報提供が可能。

 端末毎に異なった情報提供(オプション3)との組み合わせでは、指向性のある光源(レーザや指向性LED)から出た光を2枚の鏡で端末の方向へ向ける。これによって、他の端末と異なった情報を目標の端末のみへ送信できる。

 基本システムに対してオプションを選択する場合は、1、2、1+2、1+3、2+3、1+2+3の6通りが可能。

 例えば、基本システム+オプション1、2、3では、ある場所である方向を向いたときに、適切な情報を提供し、ユーザと簡単なやり取りをおこなうだけでなく、ユーザの位置履歴を利用し、適切な情報を個別のユーザに提供するなど、複雑なシステムが実現可能となる。

 また、音声情報だけでなく、ステレオ音による音楽配信も可能であることから、街角の大型ディスプレイの方向を向くと、その音だけを聞くことができるサービスも考えられる。さらに、特定の場所に特定の端末を持つ人だけに対する情報サービスも可能であることから、様々なビジネスモデルも成立する。


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