国民生活センターは、「やわらかく食べやすい」ことをうたった食品の商品テスト結果を公表した。
近年、店頭や通信販売などで「やわらかく食べやすい」ことをうたった加工食品が見られるようになってきた。しかし、これらの商品は販売されてから日がまだ浅く、消費者側から見た「そしゃく」のしやすさ、食味、物性などの情報は少ない。
同センターでは、「やわらかく食べやすい」ことをうたった食品(39銘柄)について、特別用途食品(高齢者用食品)「そしゃく困難者用食品」を含めて、食味テストをおこない、これら食品群の全体的な特徴を明らかにするほか、かたさ・粘度などの物性、栄養成分や表示を調べ、一般向け食品(5銘柄)や手作り料理を参考とした時の料理区分ごとの特徴などについても情報提供することとした。
テストの結果、65歳以上高齢者の食味テストでは、そしゃく力の弱い人にとっても、十分にやわらかく感じられるものが多かった。そしゃく力の違う人が同じ食品を食べた場合、かたさの感じ方に評価の違いがあらわれ、おおむね、特別用途食品[高齢者用食品(そしゃく困難者用食品)]のかたさの基準値(5×103N/m2)を境に差が生じていた。
おいしいとされた銘柄があったものの、あと味やニオイがよくないとされる銘柄が多かった。価格を含めた利用意欲は「やむをえない時は利用したい」程度だった。
65歳未満健康成人の食味テストでは、味付け、満足度の評価は低いものが多かった。
かたさ測定用機器を用いてかたさを詳細に調べたところ、食品の形態による違いが見られ、フリーズドライ食品はやわらかく、冷凍食品はかたい傾向にあった。
44銘柄中、栄養成分表示が適正ではないものが22銘柄、また、絵表示については実際の商品よりも色鮮やかでおいしそうに見えるものが33銘柄もあった。
テストの結果、挙げられる問題点は、現在の表示では、どれくらいやわらかいのか判断できない。「あと味がよくない」、「ニオイがよくない」などの意見が多くあり、価格を含めた今後の利用意欲は「やむをえない時は利用したい」という意見が多かった。絵表示や写真のほうが実際よりも色鮮やかでおいしそうに見えるような商品が多かった。栄養表示基準に適合していない商品があった。−−など。
同センターでは、テスト対象メーカーにテスト結果の説明会を実施し、その際に改善点などについて要望する。
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