エーザイの米国現地法人エーザイ・インクは、アルツハイマー型痴呆治療剤「アリセプト」の、脳血管性痴呆を対象として欧米で実施した2つの第3相試験のうち、最初に終了した試験の結果を発表した。
第2回国際脳血管性痴呆学会で発表されたもので、「アリセプト」投与群は、脳血管性痴呆の認知機能と全般臨床症状において、プラセボ(偽薬)投与群に比べ2重盲検試験で効果が認められた。
脳血管性痴呆は、脳血管障害に起因する痴呆で、アルツハイマー型痴呆についで多く、診断される痴呆症全体の1/3程度といわれている。危険因子は高血圧、糖尿病、高脂血症および喫煙で、加齢とともに有病率は増加する。欧州における70〜80歳での有病率は1.5〜4.8%と考えられており、米国では痴呆症と診断された65歳以上の9〜39%が脳血管性痴呆と推測されている。
試験は、「アリセプト」の5mgおよび10mgにプラセボ投与群を加えた3群の比較試験で、投与期間は24週間。対象症例は、NINDS-AIRENと呼ばれる基準によって選択された脳血管性痴呆患者で、アルツハイマー型痴呆を除外した。
その結果、平均年齢75歳の男女616例が試験に参加し、ほとんどでCT(コンピュータ断層画像)もしくはMRI(磁気共鳴画像)により脳血管障害の所見が認められ、最も多かった併用薬は心疾患予防薬で、脳卒中予防薬も80%以上に使用されていた。有効性の指標である認知機能を評価するADAS-cogおよび全般臨床症状を評価するCIBIC
plusの両スコアに2/3おいて、5mgおよび10mg両群でプラセボ投与群に比べ効果が認められた。
有害事象の発現率では、プラセボ投与群に比べて有意な差はなかったが、「アリセプト」の作用機序から予測される消化器系の有害事象(下痢、悪心)がプラセボ群より多く認められた。試験を中止した125例中73例は有害事象によるものだった。
今回発表した結果は、脳血管性痴呆の効能追加としておこなった2試験のうちの1試験で、もうひとつの試験結果は2002年の中ごろに発表する予定。
なお、同社はこれら2試験の結果に基づき、脳血管性痴呆治療の効能追加のために欧米各国の当局に申請する予定。また、戦略的アライアンスパートナーであるファイザー社も同社テリトリーで同様に対応する。
「アリセプト」は、エーザイが独自に合成したアセチルコリンエステラーゼ阻害剤で、神経伝達物質である脳内アセチルコリン濃度を高める作用を持つ、軽度および中等度のアルツハイマー型痴呆治療剤。現在日本、米国、英国、ドイツ、フランスなど世界50カ国以上で販売されている。今年度の売上は、約895億円を見込んでいる。
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