総務省は、高齢者雇用対策に関する行政評価・監視結果に基づき、厚生労働省に対し、高齢者の雇用確保措置の促進や、高齢者の再就職の促進及び就業機会の確保、高齢者の職業能力開発の効果的実施等を勧告した。
調査対象機関は、厚生労働省、都道府県労働局(23)、公共職業安定所(24)、雇用・能力開発機構、関係団体など。
調査の結果、高齢者の雇用確保措置の促進「定年の引上げ、継続雇用制度の導入又は改善に係る公共職業安定所等における業務の適切な実施」については、「希望者全員について65歳までの雇用を確保していない企業に対し、定年の引上げ、継続雇用制度の導入に係る合理性ないしメリットの浸透、各種問題・懸念の解消に重点をおいた啓発・広報活動を推進すること」「都道府県労働局において、都道府県協会と協議した上での年間利用計画の作成の励行、安定所職員の企業訪問に際してのアドバイザーの同行等について徹底すること」の2点の勧告をおこなった。
これは、2001年1月現在、希望者全員について65歳までの雇用を確保している企業の割合は、28%にとどまっていることに対するもので、一因として、定年の引上げ、継続雇用制度の導入に係る合理性・メリットや各種問題・懸念が解消可能であることが、事業主に十分理解されていないことが挙げられる。
厚生労働省は、労働局に対し、安定所がおこなう定年の引上げ、継続雇用制度の導入等に係る指導・助言のための企業訪問に際しての高年齢者雇用アドバイザーを同行させるための年間利用計画を作成するよう指導しているが、1999年度において、23労働局のうち5労働局は計画を未作成で、また、24安定所のうち3安定所は、同アドバイザーを管理している都道府県協会との連携を図っていないため、同アドバイザーの同行実績がなく、訪問企業(101社)において、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等をおこなった例は、皆無となっているという事実もある。
「各種助成金等の支給状況等」では、「各種助成金等の効果的な活用を図る観点から、不用額の発生要因や支給の実態について分析・評価し、予算規模、支給要件、支給額の見直し等助成金の在り方を検討すること」とした勧告をおこなった。
これは、高齢者の雇用の安定を図るための国の13種類の助成金等は、2000年度決算総額では2,183億円だが、高齢者雇用に係る各種助成金等については、毎年度不用額が生じており(2000年度は9助成金で133億円)、中には在職求職高年齢者等受入給付金(予算額27億円)など支給実績が無いものもある。
雇用保険財政が厳しい中で、継続雇用制度奨励金の支給額は年々増加し、財政圧迫の要因となることが懸念され、また、同奨励金の1事業主当たりの支給額(単年度当たり最高300万円)の水準が、定年の引上げ、継続雇用制度導入のインセンティブとして適切であるか否かについて検討の余地がある。
また、特定求職者雇用開発助成金(高年齢者分)については、その趣旨は、高年齢労働者の雇用を1年以上の相当期間確保することにあるが、1年以内の離職が20%となっており、同様に検討の余地がある。
高齢者の再就職の促進及び就業機会の確保「公共職業安定所における求人開拓業務の適正な実施」項では、「安定所において、求職者のニーズや開拓した求人に係る分析、その結果を踏まえた適切な求人開拓計画の作成及び未充足求人の原因の分析・検討など一般職業紹介業務取扱要領で定める業務について、その確実な実施を指導徹底すること」とする勧告をおこなった。
これは、調査した24安定所のうち4安定所は、求人開拓計画を未作成で、開拓実績も低調となっていることなどに対するもの。過去に安定所を経由した求人実績が多く、最近においても求人ニーズがあると思われる事業所を優先的に訪問するなど、求人開拓方法に工夫を凝らしているのは1安定所のみとなっている。また、未充足求人の原因の分析・検討をおこなっているのは24安定所のうち10安定所と半分にも満たなかった。
「高齢者の職業能力開発の効果的実施」項では、「就職支援コースの常設科について、就職に結び付く訓練科の設定を確保するための改廃等の見直しをおこなう際の指針を作成した上、雇用・能力開発機構に対し、これに基づいて訓練科の見直しをおこなうよう指導すること」「雇用・能力開発機構に対し、就職支援コースの実施に当たっては、随時科の開設に積極的に取り組むよう指導すること」の2点を勧告した。
これは、常設科についての訓練修了者の就職状況をみると、調査した17機構センターが1999年度に開設した74訓練科のうち、就職者が皆無となっているものが13訓練科(17.6%)あり、また、そのうち5訓練科は、2000年度も引き続き開設したが、うち、4訓練科の就職率は低調となっている。さらに、厚生労働省は、常設科に関して、改廃等見直しをおこなう際の指針の作成もおこなっていない状況も指摘した。
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