経済産業省は、「2000年度における福祉用具市場規模」の推計値を公表した。高齢者・障害者の生活の質を高め、自立・社会参加を支援する「福祉用具」や、何らかの身体的な障害や機能低下がある人も、ない人も共に使いやすくなっている製品である「共用品」に対する関心が高まっていることから、同省ではこれらの製品の市場動向を把握し、施策の実施につなげるため、市場規模調査を実施している。
福祉用具市場規模調査結果をみると、1993年度の7,731億円から順調に拡大してきた福祉用具(狭義)の市場規模だが、2000年度は1兆1,389億円で対前年度比0.3%減と調査開始以来初めてのマイナスとなった。また、共用品も含めた広義の福祉用具市場規模は3兆2,421億円で対前年比13.6%増となった。(1部品目で重複があるため控除。)
品目別には、介護保険制度の主力製品である、ベッド(533億円、前年度比5.7%減)、手動車いす(214億円、前年度比6.6%減)は、福祉用具レンタル事業者が1999年度で商品在庫を増やしたことも影響したと思われ前年度より減少している。また福祉用具市場を下支えしていた福祉車両(582億円、前年度比1.7%減)やホームエレベータ(131億円、前年度比1.5%減)といった一般商材に近い品目においても景気の低迷等の要因により拡大には至らなかった。
一方で電動三(四)輪車(72億円、前年度比33.3%増)は金額では福祉用具(狭義)の中で大きな割合を占めるものではないが、要介護者だけではなく比較的健常な高齢者にも利用が拡がり市場が拡大しているものと思われる。また階段昇降機(53億円、前年度比23.3%増)も交通バリアフリー法の施行等により駅舎等のバリアフリー化が進み市場が拡大しているものと思われる。
今後の市場動向としては、生産計画について金額、数量ベースともにほぼ80%以上の企業が増加と回答していることに加え、海外に生産拠点をおく企業も徐々に増えていく傾向にあることから、より一層の福祉用具の普及と価格競争が予想される。
いっぽう、共用品市場規模調査結果をみると、今回で5回目の調査となるが、前回1999年度調査と同じ品目で調査した結果、2000年度の共用品の市場規模は、2兆2,549億円となり、調査開始以来初めて2兆円の大台を突破した。伸び率対前年度比22%増もとなっており、20%台の高成長を維持している。
金額の大きな品目としては、操作ボタンを大きくしたり音声や光で操作方法等を知らせる配慮のある家庭電化機器(6,454億円、前年度比54%増)、缶に点字表示を施したビール・酒(5,251億円、前年度24%増)、段差解消や手すり等を設置した浴室ユニットなどの住宅設備機器(2,652億円、前年度10%増)などがあげられる(なお、ビール・酒、シャンプー、医薬品、家庭用ラップは容器包装部分のみの推計額。)
国内全体の出荷金額との比較が可能な19品目については対象品目全体の出荷金額に占める共用品の割合(シェア)を推計しており、2000年度は7.4%となっている。調査開始時の品目ベースで比較すると、2.1%から8.1%にまで伸びており、時系列で見ても着実に共用化配慮が進展している点が見受けられる。
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