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日本の医療・福祉サービスにおける問題点を諸外国と比較し指摘

−日本貿易振興会、2001年度「対日アクセス実態調査」−

2002/08/12(Mon.)

大人の青汁
 日本貿易振興会(JETRO)は、2001年度「対日アクセス実態調査」において、医療・福祉サービスに関する調査を行い、結果を発表した。

 同調査は、諸外国から日本市場への参入阻害要因として改善を求められたり、内外価格差の存在等と指摘されている特定業種・分野に焦点を当て、主として取材調査により事実関係を明らかにしたもの。

 客観的立場から調査・分析を行うため、国内外の著名な学識経験者9名で構成する「諮問委員会」を設置。

 また、個々の分野における公的規制、商慣行等を客観的に評価するため、国内のみならず欧米等主要国の実態を同時に調査し比較・分析する。

 国内調査では、専門調査機関を活用し文献調査を行ったヒアリング調査を実施。海外調査では、JETROの海外ネットワークを活用し現地の専門調査機関とともに文献調査、ヒアリング調査を実施。

 医療・介護サービスのうち、12のサービスを主要な対象とし、医療系サービスでは、入院診療・外来診療、介護療養、訪問診療・在宅医療、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ(デイケア)、短期入所療養介護(ショートステイ)を、介護系サービスでは、入所サービス(介護老人福祉施設等)、短期入所生活介護(ショートステイ)、通所介護(デイサービス)、訪問介護(ホームヘルプサービス)、訪問入浴を対象とした。

 また、その選定基準は、医療サービスが、対日アクセスの観点から日本において民間企業が参入できない医療行為が伴う診療治療サービス。福祉(介護)サービスが、介護保険が適用され、かつ医療サービスとの関連性が深い高齢者への介護サービスとした。

 海外調査は米国、英国、ドイツ、フランスを対象とし、調査の結果、5つの主要論点「営利企業は病院や介護保険施設等を開設できない」「多様な事業体の参入を可能とするために、公・民の役割分担が重要」「利用者が得られる情報量の不足」「第三者評価等サービスの質を高める仕組みの不足」「医療と介護の連続的なサービスの提供が必要」−−を指摘した。

 各主要論点をみると、「営利企業は病院や介護保険施設等を開設できない」では、日本では外資を含む営利企業は病院・診療所・介護老人保健施設・介護老人福祉施設や在宅医療サービスの開設・経営ができない。いっぽう、欧米諸国においては民間営利企業の参入が可能。

 日本においても硬直的な価格体系のもとで赤字を出しても補助金で穴埋めされるため、経営の危機を感じないでいることが多いとされる公的病院や、市場に資金調達を求められず経営的に厳しくなっている非営利法人以外に、外資等を含めた民間営利企業等多様な事業主体による参入が望まれる。そのためには現在の参入規制やサービス提供に関する規制の緩和や撤廃が求められる。

 欧米諸国のように営利企業も含んだ多様な事業体の参入が可能になれば、日本においても相互の競争を促すことにより、質の低い事業者を淘汰し、全体として質の向上や医療・福祉市場が活性化される。また、事業者にとっては新たなビジネスチャンスを生み出し、利用者にとってはサービス提供のメニューが増えることが期待されると述べている。

 「多様な事業体の参入を可能とするために、公・民の役割分担が重要」では、欧米諸国では、様々な事業者主体が医療・介護市場に参入可能となっているいっぽうで、基本的な医療・介護サービスは公的・公益セクターにより安定的に供給されることが保証されている。

 日本においても民間営利企業を含む多様な事業体の参入を可能とする際には、営利・非営利あるいは公・民の役割分担を明らかにし、社会保障や福祉政策下にゆだねられる範囲を明確にする必要がある。

 例えば、公的主体は社会的に必要とされる基本的なもの、難病治療や高度先進医療などの政策医療、僻地医療等を担い、一方で民間セクターは付加価値的もしくは自由診療的なサービスを担うなどすれば、国民の多様なニーズに対応していくことが可能となると見込まれると記している。

 「利用者が得られる情報量の不足」では、利用者が自身にとっての最良のサービスを選択するには、まず医療機関や介護事業者やサービスに関する情報を自由に入手する必要がある。

 しかし、日本においてはサービス事業者を選択するにあたって十分な情報が利用者に届いていない。医療分野では広告規制が設けられており、規制緩和が進んでいるものの、利用者が得られる情報は限定されている。

 介護分野の広告については自由だが、現状では事業者間のサービス内容や価格を比較できるような情報は提供されていない。いっぽう、米国や英国では利用者への広告や情報提供に関する規制はない。

 このことは日本の利用者にとって不利益であるとともに、事業者にとってもサービスの向上や低料金化を図ったとしてもそれについて利用者に伝える術を持たないことから、企業努力のインセンティブが働かないといった不利益が生じている。

 日本でも、医療・介護サービスの事業者が一般の会社と同等程度の経営やサービスに関する情報の開示を進めるとともに、事業者が利用者に積極的に働きかける手段である広告に関する規制のさらなる見直しを行うべきと問題点をあげた。

 「第三者評価等サービスの質を高める仕組みの不足」では、日本では、医療・介護サービス事業者に関する基本的な情報だけでなく、利用者が複数の事業者の中から選択する際に必要となる付加価値を伴った情報も充分にない状況。

 欧米諸国では独立性の高い複数の第三者評価機関がサービス事業者の客観的な情報を利用者に提供して選択を手助けしており、このような評価はサービス事業者間の競争を促進し、サービスの質を維持・向上させている。

 日本においても欧米諸国のような独立性の高い第三者機関の充実化が望まれる。医療費の抑制に伴って自己負担が増大していくことが予想される中、今後利用者の間で、事業者やサービスに関する十分な情報を入手したいという権利意識が高まっていくことが見込まれる。そのため、IT(情報技術)等を利用した情報提供システムづくりについても検討する必要がある。

 日本でも複数の第三者機関が機能することにより、医療・介護サービス市場活性化の原動力の一つである利用者の主体的な選択が実現する見込みとした。

 「医療と介護の連続的なサービスの提供が必要」では、欧米諸国では医療・介護サービスは「ヘルスケア」として一体のものと捉えており、サービスの提供体制も一貫したものとなっている。

 日本では医療と介護サービス提供が分断されており、例えば利用者にとっては病院などで提供される医療ケアから介護へ移行する時に別の事業者を探さなくてはならない。また、事業者にとっては医療・看護・介護といった垂直的な事業展開ができない。

 また、日本では医療と介護に関する法律は二分されており、各々異なる法律によって規制されている。このため、現状では事業者は医療法人、社会福祉法人とを別々に設立する必要が生じるなど、医療・介護を一体化してサービス提供の許可をとることはできない。

 また、利用者にとっても一体的・連続的なサービスを受けられないため利便性に欠けるといわれる。いっぽう、欧米諸国では民間企業の参入を認めていることから、医療・介護のいずれを問わず、企業法や会社法、商法といった法律が適用されている。

 日本でもヘルスケア市場が一体的かつ連続的に提供されれば、利用者にとっては自身の健康状態や生活状況に応じて、医療(治療の度合いが大きい)、もしくは介護(ケアの必要が高い)サービスがタイムリーかつ適切に提供されることにより、利便性や安心感という面で満足度の拡充が図られるとみられる。

 一方事業者にとっても、医療と介護サービスの経営資源はかけ離れているものではなく重複する部分も多いことから、その連携によって施設や人材等を効率的に活用することができる。

 さらに、医療と介護を一体的に提供することで、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性がある。例えば、英国や米国のように、民間会社が医療から介護まで総合的にサービスを提供したり、利用者に医療・介護サービスをトータルにコーディネートするコンサルティングサービスなどがあげられると指摘した。


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