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経済分析の観点から介護サービス市場を評価

−内閣府、「介護サービス価格に関する研究会」報告書−

2002/10/03(Thu.)

大人の青汁
 内閣府は、2001年9月に「介護サービス価格に関する研究会」を設置し、事業者・利用者両方の詳細なデータをもとに、介護サービス市場の需要面・供給面の課題と政策のあり方について、経済分析の観点から実証的に検証を行ってきた。今回、研究会の報告書が取りまとめられた。

 報告書は、「介護サービス市場の一層の効率化のために」をテーマに、まず、公的介護保険制度導入によって、在宅サービスの新規参入が増加し、介護サービスの需要も増加するなど、一定の成果があがったことを認めており、同時に制度見直しに向け、改善すべき点も指摘している。

 「介護保険導入の成果」をみると、介護保険導入前には介護サービスの供給能力不足が懸念されていたが、訪問介護業者へのアンケート調査によると、介護保険導入を見込んだ1999年以後の参入(新規業者)が全体の60%を占めており、新規業者は株式・有限会社(48%)などの営利業者が多く、在宅サービスの供給能力の不足(ボトルネック)は現在のところ解消されたといえると評価。介護サービス市場では規模の経済性が働いていることも確認されている。

 また、提供されているサービスの質をみても、評価項目ごとにはらつきはあるものの、全体としては、営利業者を基準とすると、新規業者は高く、公的業者(自治体など)は低くなっている。介護保険導入後、サービスの質もある程度向上したといえると評価。

 いっぽう、営利業者の参入が認められていない施設介護の分野ではまだ非効率な部分がかなり残されている可能性がある。

 介護サービスの需要者側からみると、低所得者に対する「措置」から介護サービスの「契約」に変わることで、介護サービスの利用量が増加するとともに、需要者の範囲もより広くなった。

 介護保険導入によって、消費者余剰(消費者が本当は払ってもいいと考える額に比べて得をした金額の合計)の増加分は約1兆4000億円(費用増加分を差し引いた純便益額も約8000億円弱)と推定される。また、サービスの選択の自由もある程度確保され、サービスの質に対しても満足感がみられると一定の成果を評価した。

 「制度見直しに向けて」では、残されている改善すべき点として5つのポイント「現行の介護報酬単価の見直し」「競争条件の整備・介護サービスの質の向上」「契約の下での低所得者への配慮」「介護者の介護負担の減少・労働供給の増加の促進」「情報開示・データ整備の必要性」を挙げた。

 「現行の介護報酬単価の見直し」では、訪問介護業者へのアンケートによると、身体介護(報酬単価=4020円)については、ほぼ採算価格と一致している。いっぽう、家事援助(報酬単価=1530円)は採算価格の平均(2700円)を大幅に下回っている。

 家事援助の単価が身体介護に比べて過度に低く設定されていることが、家事援助への需要の過度の増加とともに家事援助サービスの供給インセンティブを低めている。

 このため、一層の効率化を図ることを前提に、施設介護も含めた介護サービス全体の報酬単価のあり方も考慮した上で、家事援助と身体介護の相対価格差を縮小させていくことが必要と指摘。

 「競争条件の整備・介護サービスの質の向上」では、新規参入業者・営利業者の参入は増加したものの、それによって在宅介護サービス市場全体の効率性が高まったとはいえない。営利業者・非営利業者などのさまざまな経営主体が同等の条件で競争できるよう、それぞれの主体の特性にも配慮しつつ、競争環境の整備を図っていくべき。

 さらに、新規業者に比べサービスの質が高いといえない供給主体についても、質の向上を図る方策を図るべき。このため、介護サービス評価のための機関の設置を進めていくことが重要とした。

 「契約の下での低所得者への配慮」では、契約制度は、それまでの措置制度と異なり、介護保険制度導入による自己負担の増加で介護サービスの利用量が全体として増加するいっぽうで、原則10%負担によって低所得者の介護サービス需要が減少した可能性がある。

 各地方公共団体ではさまざまな方策が講じられてきているが、低所得者が真に必要な介護サービスを受けられないということのないよう、十分配慮していく必要があると指摘した。

 「介護者の介護負担の減少・労働供給の増加の促進」では、「介護の社会化」の眼目の1つは、これまで過度に介護の負担を強いられてきた介護者(家族、特に主婦)の介護負担を軽減し、働く意欲のある女性の労働供給を促進することにあるが、これまでのところ介護者の介護時間、労働供給には目立った変化は見られない。

 そうした動きを阻害していると考えられる要因を今後取り除いていくべきで、今後拡大することが期待される介護サービス市場の雇用に中高年齢層の積極的活用を図っていくことも重要と指摘。

 「情報開示・データ整備の必要性」では、政策の企画立案を行っていく基礎となる実証分析には、質のいいデータの収集が不可欠。しかし、株式会社である民間事業者はともかく、財務諸表をはじめとする介護サービスの供給者の情報は十分公開されているとはいえない。

 こうした情報の公開は、需要者に対する説明責任を果たすだけでなく、供給者自身にとっても効率化のインセンティブを与えることになる。介護サービスの供給主体の多くを占める社会福祉法人の情報公開については、すでにさまざまな取り組みがなされてきているところだが、規制改革推進3か年計画(2002年3月改定)でも示されているように、今後とも一層進めていく必要があると訴えた。


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