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自走式手動車いすの走行耐久性、安全性などをテスト

−国民生活センター、「自走用手動車いすの安全性を考える」−

2002/10/10(Thu.)

大人の青汁
 国民生活センターは、自走式手動車いすの走行耐久性、乗降時や移動時の安全性などのテスト「自走用手動車いすの安全性を考える」の結果を公表した。

 車いすの生産台数は、2000年が約30万台、2001年が約26万台となっている。いっぽう、国民生活センターの危害情報システムに寄せられた車いすでけがをしたという情報は、1991年4月から2002年3月末までで81件(電動車いすの情報11件を含む)だった。

 全体としては、転倒・転落事故が多く、中には骨折などの大きなけがになるケースも見られた。事故の状況が分かるものについて分類すると、車いすから立ち上がったりベッドに移ったりするとき、または車いすに座ろうとするときなどに「バランスを崩す」が16件、次いで「車いすの不具合」が12件、「坂や段差での事故」が10件だった。

 また、「高齢者の福祉用具製品使用時に係る事例調査(2000年度) 製品安全協会」では、基本的操作の不慣れ、車いすの不良や老朽化、道路状況や狭い空間が主な危険な事例の発生原因となっているという報告がされている。

 そこで、自走用手動車いす(使用者もしくは介助者の人力で操作するタイプの車いす)について、走行耐久性および乗降時や移動時の安全性などに関するテストを実施した。

 テスト実施時期は2002年4〜7月。テスト対象銘柄は、手動車いすの中でも生産台数が多く主流となっている「自走用手動車いす」を取り上げた。

 車いすの種類には、主なものとしてフットレストの高さのみが調節可能なもの(基本タイプ)と、フットレストの高さや座面の高さなどが調節可能なもの(調節可能タイプ)がある。今回は各タイプ、それぞれ大手3社から発売されている6銘柄を選びテスト対象とした。

 「車いすの性能テスト」の走行耐久性では、JIS規格に基づいて、車いすに規定の重り(当該型式では100kg)を載せ、段差(1.2cm)のあるドラム上に車いすを設置し、ドラムを200,000回転(157km走行相当)させたとき、車いすに破損、外れおよび使用上支障のある変形が生じないか試験を行った。

 テストした結果、すべての銘柄でフレームに破損またはき裂の発生やシートの留めビスの破損を生じたが、不具合発生までのドラム回転数を見ると、少ないもので25,605回、多いもので200,000回直前と銘柄間で違いがあった。

 駐車ブレーキの性能試験(静止力試験)では、車いすにダミー人形(重さ78kg)を載せ、駐車ブレーキをかけた状態で走行路の傾斜角度を7度(JIS規格で用いられている角度)まで変え、上向きおよび下向き状態で車いすが静止しているか調べた。テストは、メーカー指定のタイヤ空気圧と、指定空気圧の半分にした状態で測定を行った。

 結果、メーカー指定のタイヤ空気圧では問題なかったが、空気圧が減ると駐車ブレーキの効きが悪くなり大きな危険が伴う場合があった。全銘柄、メーカー指定のタイヤ空気圧(3.0〜4.6kgf/cm2)では7度までの傾斜角度で車いすが動き出すことはなかった。しかし、タイヤの空気圧がメーカー指定値の半分になると、6銘柄中5銘柄が動き出した。

 「乗降時の安全性」テストでは、一般的によく行われている、横移り(ベッド端に車いすを斜め横につけて乗り移る方法)で介助を得て車いすからベッドへ乗り移る場合を調査した。

 その結果、アームレストが固定されているタイプでは、跳ね上げられる銘柄よりも使用者の腰をより高く持ち上げる必要があるため、使用者が不安定になりやすいことが考えられた。十分に腰を高く上げられないと、アームレストに使用者の腰がぶつかり、車いすが転倒する危険性があった。

 また、レッグサポートが左右に開閉しない銘柄では、フットレストの裏に足が接触し、フットレストの裏側の仕上がりが悪い銘柄ではけがをする危険性があった。

 ただし、レッグサポートが左右に開閉できても確実に組み立てることが難しかったり、レッグサポートを開閉する際に指を挟みやすい銘柄があった。また、アームレストを跳ね上げた際に、露出した金具の形状が悪いため、そこに手をつくとけがをする危険性があった。

 また、駐車ブレーキはレバーを前に倒しても、後ろに倒してもどちらでもブレーキがかかるような構造になっているものが4銘柄あった。

 レバーを前に倒していると乗降の際に体が触れたり、レッグサポートを開閉した際にこの部分がブレーキレバーに当たり駐車ブレーキが解除されることがあり、車いすが動き出し思わぬ事故につながるおそれがあった。

 「移動時の安全性」テストでは、後退時をみると、モニターテストにより調査した結果、後退しているときにハンドリムを握って急停止するとすべての銘柄で前輪キャスタが浮き、後ろに傾いた。特に、後方への転倒を防止する機能のない銘柄はそのまま転倒する可能性もあった。

 住居内での移動では、使用者自身の操作で静止状態からキャスタ上げをしないで乗り越えられる段差の大きさについて調べたところ0.9cm〜5.8cmと個人差が出た。また、キャスタの径が小さい銘柄は、他の銘柄に比べると越えられる段差は小さかった。

 なお、介助者が使用者を乗せた状態でキャスタ上げをせずに通過できる段差の大きさを調べたところ,0.7cm〜2.2cmしか越えることができなかった。わずかな段差でもキャスタ上げを行う必要があることがわかった。

 なお、2cmの段差を減速せずに通過しようとした場合、キャスタが段差に引っ掛かり、急停止することがあった。このとき、使用者の体が前傾した。身体を支える力のない人は転落する危険性があった。

 78cm、85cmの廊下を直角に曲がれるかどうかモニターテストにより調べたところ、廊下の幅が78cmの場合、比較的接触せずに通れる銘柄があったものの、ほとんどの銘柄は足やフットレスト、ハンドリムが壁に接触したり、壁とハンドリムの間に手を挟んだモニターが多かった。

 廊下幅が78cmでは狭く、ほとんどの車いすは曲がることが困難であることがわかった。廊下の幅が85cmの場合、多くのモニターがどこにも接触せずに移動できたが、一部で足やハンドリムを壁に接触させることがあった。

 屋外での移動では、踏切において、レールに対して直角に進入し、キャスタが溝に落ち込むことがないかをモニターテストにより調べた。

 レールに対して直角に走行した場合、両方のキャスタがレールの溝に落ち込むことがあり、その場合は車いすが急に停止したため、使用者が前に傾いた。キャスタがはまった場合、使用者が操作したときには抜け出すことができたが、介助者が操作したときには、ほとんどの場合グリップを押すだけでは抜け出せず、キャスタ上げをしなければならなかった。

 いっぽう、角度をつけて進入した場合は直角に進入した場合よりもキャスタがレールの溝に落ち込むことは少なかった。しかし、重心が前寄りになるような姿勢で乗車していると溝に落ち込みやすくなり、落ち込んだ場合は、キャスタが横向きになって落ち込んでしまうため車いすが大きく傾いた。また、上半身を動かし体重移動をしないと抜け出すことは困難だった。

 道路上でよく見られる、側溝の格子状のふたを溝の長い方向に平行に進入した場合、両方のキャスタが溝に落ち込むことがあった。キャスタが溝に落ち込んだ場合は車いすが急に停止したため、使用者が前に傾いた。

 「姿勢保持」に関しては、今回のテストでは、シート幅が40cmの車いすでモニターテストを実施したが、使用者の体に合わない状況が観察された。体型の小さな人が使用した場合、シートの奥行きが大き過ぎると、深く腰掛けた場合に「フットレストに足が届かなくなる」、「膝の裏にシートが当たる」などの支障をきたすため前よりに座ることになる。

 使用者が前よりに座った状態で、溝や段差を介助者が操作して通行するときの状況を観察したところ、重心が前よりになるためキャスタにかかる荷重が大きくなり、溝に落ち込みやすくなった。また、駆動輪にかかる荷重が相対的に小さくなるため段差に衝突したときに駆動輪が浮き、車いすが前傾するため転倒、転落の危険性が増した。

 調節可能タイプは、購入後シート高さなどの変更ができた。シート高さの変更の方法が取扱説明書に書かれていないものが2銘柄あった。また、3銘柄で付属の工具だけではシートの高さの変更はできなかった。

 「取扱説明書」に関しては、転倒、転落などの事故は、乗降をするときにも多いと考えられることから、段差を介助を得て通行するときの方法はすべての銘柄で図をつけて説明されていたのだが、乗降の方法については「駐車ブレーキをかけて行うこと。」「フットレストを上げて行ってください。」などの注意書きがある程度で、具体的な方法について記載されている銘柄はなかった。

 すべての銘柄で、取扱説明書は銘柄専用のものではなく、メーカーで出している複数の車いす兼用のものだった。自分の車いすの仕様にない箇所も説明されているため、どの説明事項を読んでよいのかわかりにくかったり、簡単に該当する箇所を探すことが困難だった。

 同センターでは、これらのテスト結果から、「消費者へのアドバイス」として、選択する際の注意点「駐車ブレーキが容易に解除されない構造の車いすを選択する」「使用者の体型にあった車いすを選択する」「使用者の身体の状態や使用状況にあったタイプを選択する」などを挙げた。

 また、使用する際の注意点「フレームのき裂やビスの緩み、タイヤの空気圧などの日常点検は必ず行うこと」「乗降時には転倒・転落事故が多いため十分注意する」「段差は勢いをつけて乗り越えようとしない」「踏切などの溝を通過するときは安全に留意する」などを挙げた。

 さらに、「業界への要望」として、「耐久性のある商品作りや品質管理を徹底して欲しい」「乗降時に駐車ブレーキが簡単に解除されない構造にして欲しい」「キャスタの形状を使用環境に対応するようにして欲しい」「乗降時の車いすの取扱についてわかりやすく記載して欲しい」「車いすの展示場作りに積極的に取り組んで欲しい」など5点を挙げた。

 また、「行政への要望」として、「車いすのJISマークの制度を整備し、JIS規格を満足する商品作りを業界に呼びかけて欲しい」と訴えている。


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