警察庁は、2001年度に、「高齢者の安全・快適なモビリティの確保に関する調査研究」を実施し、電動車いすの利用実態について調査したところ、電動車いすの安全利用のための教育は、指導内容、取組姿勢ともにばらつきがあり、また、「車いすのルールの教本が欲しい」等、電動車いすに特化した教本や教育に係る要望が多い実態が明らかになった。このことを受け、同庁では、財団法人日本交通管理技術協会に委託して、「電動車いすの安全利用に関するマニュアル」を作成した。
マニュアルは、有識者の意見、実際の交通事故事例等に基づき、電動車いす利用者や他の交通参加者の安全を確保するために必要となる事項やマナー等をまとめたもので、電動車いすに係る交通安全教育の指導者用と、電動車いすの利用者用の二つとなっている。
指導者用マニュアルには、「法的位置付けと通行方法」「電動車いすの交通事故」「事故事例」「安全通行基本編」「安全通行応用編」「安全点検・整備」項が、また、利用者用マニュアルには、電動車いす利用者は」「電動車いすの交通事故」「事故事例紹介」「安全通行基本編」「安全通行応用編」「安全点検整備」項がある。
電動車いす(身体障害者用の車いすで道路交通法施行規則で定める基準に該当する原動機を用いるもの)は、身体障害者はもとより、最近は歩行が困難な高齢者の社会参加手段として普及してきており、その普及に伴って電動車いすの交通事故が多数発生している。
車いす(電動および手動の車いす)の交通事故発生状況をみると、最近では70%以上が電動車いすに係る事故となっており、最近6年間(1997年〜2002年)の推移をみると、電動車いすの交通事故は、増加傾向となっている。2002年の電動車いすの交通事故件数は1997年と比較すると約1.6倍。
電動車いす利用者は、道路交通法では、歩行者として扱われるため、利用者の単独事故、電動車いす同士の事故または歩行者との衝突事故は、交通事故統計には含まれていない。現時点で把握されている交通事故統計に計上されていない事故により、2001年には47人が、2002年には12人が死傷している。
電動車いすに係る交通事故の時間帯別死傷者数をみると、朝8時から夕方6時までの時間帯に多発している。類型別死傷者数をみると、道路横断中に最も多く発生しており、特に、死者のうち60%以上の人が道路横断中の事故により死亡している。通行目的別死傷者数をみると、「買い物」「訪問」「通院」等を目的にして、電動車いすを利用する際に死傷する利用者が多くなっている。
また、年齢別死傷者数をみると、死者、負傷者とも、65才以上の高齢者が高い率を占めており、死者ではそのほとんどが高齢者で、また、負傷者では70%近くを高齢者が占めている。相手当事者別死傷者数をみると、死者、負傷者とも、相手方は自動車で、その割合は90%以上となっている。
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