株式会社東芝は、ネットワーク家電の技術を生かし、高齢者が簡単に利用できる地域情報インフラの実証実験を、山梨市で11月から開始する。
同実験は、今年度、通信・放送機構(TAO)が行う、次世代インターネット規格であるIPv6に対応した研究開発事業に認定され、山梨市と山梨大学の協力により、市民参加型の取組みとして実施する。このような高齢者向け情報インフラの産官学共同実験は全国で初めての取組みとなる。
計画では、まず7月までに60歳から80歳の高齢者を含む27世帯を募集し、キーボード操作に不慣れな高齢者でも簡単にインターネットを利用できるタッチパネル式の専用端末を配付する。
参加者には、自作の俳句をホームページに掲載して仲間から意見をもらうなど、日常生活に根ざしたインターネットの利用を呼びかける。将来的には、病院の空き状況に合わせて通院するなどの利用方法も想定している。
実験により、東芝が次世代インターネットを用いて展開するサービス事業の基礎データを収集するとともに、山梨市が推進する、高齢者が日常的にインターネットを利用するシルバーネットソサエティの構築に貢献する。
市では現在、「地域イントラネット基盤施設整備事業」や「情報通信システム整備事業」など、地域情報インフラ整備に積極的に取り組んでおり、実験の成果を今後の事業に活用できる。
また、市内の山梨大学において、高齢者向けインターフェース研究を行っており、研究目的と実験目的が合致するほか、実験に適した山梨CATVのケーブル網などが整っている。
実験に使用する次世代インターネット規格「IPv6」はInternet
Protocol Version 6の略で、現在一般に使用されているVersion
4では3桁の数字を4つ組み合わせてIPアドレス(機器を識別する住所のようなもの)を作るのに対し、IPv6では、6つ組み合わせるため、家庭内の様々な機器をインターネットでつないでも十分な数のIPアドレスが確保される。また、セキュリティ面など、さまざまな機能が強化されている。
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