内閣府は、「ソーシャル・キャピタル」についての調査を行った。「ソーシャル・キャピタル(Social Capital)(以下、SC)」とは、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴で、共通の目的に向かって協調行動を導くものとされる。いわば、信頼に裏打ちされた社会的な繋がりあるいは豊かな人間関係と捉えることができるもの。
アメリカの政治学者ロバート・パットナムが、著書「Bowling Alone(一人で行うボーリング)」において、アメリカではSCが減退していると指摘し、コミュニティの崩壊と再生について警鐘をならした。これが大きなきっかけとなり、SCという新しい概念が、近年、世界的に注目を集めつつある。こうした中で、ボランティア活動を始めとする市民活動の社会的意義についても、SCの培養という側面の重要性に目が向けられ始めている。
同調査は、これまでの議論を整理するとともに、SCと市民活動との関係に焦点をあて、国内における両者の関係の検証やSCの定量的把握などを試み、市民活動の今後の展望と課題を探る手がかりを得ようとしたもの。
アンケート調査や事例調査の分析から、SCと市民活動とは相互に影響しあい、高めあう関係にあること、またNPOがいわばコミュニケーションの場となり、SCの培養の苗床となる可能性を秘めていることが示された。
例えば、市民活動を行っている人は他人を信頼し、またつきあい・交流も活発な人が相対的に多い。一方他人を信頼する人やつきあい・交流の活発な人は市民活動を行っている人が相対的に多い。
国内のSCについて地域別の試算を行い、SCの効果について部分的に分析したところ、例えば失業率の抑制や出生率の維持などの国民生活面でSCが貢献している可能性が示唆された。
SCのこれまでの動向を関連指標の2時点比較から推察すると、相対的に豊かな地方部では減少し、東京・大阪等の大都市部では横ばいないし回復の兆しといった可能性も窺われた。事例調査でも、ニュータウンで、NPOの新たな活動によりコミュニティが形成される様子が表れた。
これらのことから今後、国内のSCを豊かなものにしていく上で、市民活動が、社会的な評価、信頼を得ながら、地域社会において水平的でオープンなネットワークの形成を促進し、豊かな人間関係と市民活動の好循環を導いていくことが期待される。
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