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悪徳商法被害に遭った障害者・痴呆性高齢者の相談が5年間で2.6倍

−国民生活センター、「知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者の消費者被害と権利擁護に関する調査研究」−

2003/10/01(Wed.)

 国民生活センターは、報告書「知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者の消費者被害と権利擁護に関する調査研究」の一部を公表した。

 悪質な手口により消費者被害に遭った知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者の相談が急増。国民生活センターと全国の消費生活センターに寄せられた「知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者等が契約当事者である相談」は、1997年度は2,082件であったが2001年度は5,336件と、5年間に2.6倍に増加した。

 昨年末、障害者基本計画において「施設から地域生活への移行の推進」が示され、ノーマライゼーションの理念の下、どんな障害があっても街で暮らすという動きが各地で始まっているが、自らの権利を行使することが難しい人への支援体制の強化が求められているときに、悪質商法による被害が急増している。

 2003年4月には、障害者も福祉サービスを選び、サービス提供者と契約をする支援費制度がスタートし、ホームヘルプサービス等の分野に多様な提供主体が参入。悪質商法による被害に限らず、知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者の消費者契約にかかわる被害の未然防止・救済システムの充実が図られねばならない状況となっている。

 同調査研究は、知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者の消費者契約にかかわる被害の予防・救済を目的とし、まず、全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET)に蓄積された相談の分析と、知的障害者、精神障害者の生活・就労支援業務や知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者の権利擁護事業等にかかわる人々を対象にヒアリング調査を実施した。次に、自らの権利を行使することが難しい消費者、被害を口に出したくても出しにくい消費者の権利擁護のあり方について、法律と福祉の専門家と討議を重ね、報告書の最後に課題提起を試みた。

 知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者等が契約当事者である2001年度の相談件数は、今調査の5年前の1997年度から2.6倍に増えている(女性2.8倍、男性2.3倍)。同時期、国民生活センターと全国の消費生活センターに寄せられた全ての相談(知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者等の相談を含む)の件数は、1.6倍増(女性1.5倍、男性1.8倍)。

 1997年度から2003年1月末までに、22,081件がPIO-NETに蓄積されており、30歳代〜50歳代の相談件数に大差はなく、70歳代の女性の被害が多い。

 契約した本人は事情を説明できない場合が多く、事業者名が分からないこともある。契約当事者が相談を寄せることは少なく、家族や福祉・介護サービス事業の関係者が相談をしてくることが多い。

 知的障害者、精神障害者のトラブルは、年金や手当が狙われており、業者が障害を知ったうえで、クレジットカードを作らせ障害基礎年金や障害者手当を狙うケース、あるいはサラ金利用を促され多重債務に陥るケースがある。知的障害者の場合は、障害の軽い人が被害に遭う傾向がみられる。被害を受けたという認識がなく、満足しているように見える場合がある。

 痴呆性高齢者のトラブルは、何を買ったのか分からないことがあり、被害に遭っている高齢者の大半は一人暮らし。高齢者夫婦のみ世帯の場合は、夫婦のいずれか、あるいは夫婦とも痴呆症等であることが多い。被害に遭っても契約をしたことさえ分かっていないケース、だれが来て、どのようにして何を買ったのか理解していないケースが少なくない。

 年齢別・性別に消費者トラブルをみると、20歳代では、男女とも路上等で誘われるアクセサリーの被害が最も多い。絵画は男性2位、女性3位。ローン・サラ金関連被害は男性3位、女性2位。30歳代では、男女ともローン・サラ金関連被害が最も多い。アクセサリーの被害は男性2位、女性3位。男性は絵画とツーショットダイヤル等、女性は教材やふとんも多い。40・50歳代では、男性はローン・サラ金関連が最も多い。男女とも訪問販売による被害が多く(ふとん、浄水器等)、アクセサリーの被害も少なくない。60歳代では、男女とも最も多い被害はふとん。2位は、女性は和服、男性は住宅増改築。70歳代では、ふとん、住宅増改築、健康食品、浄水器など訪販による被害が、男女とも多い。80・90歳代では、男性は住宅増改築、女性はふとんの被害が最も多い。また、男性の2〜4位は紳士録・名簿、単行本、新聞をめぐるトラブルとなっている。

 これら、消費者被害未然防止の課題としては、専門性を備えたキーパーソンの存在が不可欠であること、福祉・介護の契約時代に見合うセーフティネット作り、成年後見制度の見直しなどが求められる。


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