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高齢者の家庭内事故4,176件を分析

−国民生活センター、「危害情報からみた高齢者の家庭内事故」−

2003/10/07(Tue.)

大人の青汁
 国民生活センターは、報告書「危害情報からみた高齢者の家庭内事故」を公表した。同センターでは、全国20病院からさまざまな情報を収集しており、この危害情報収集協力病院からは、商品や設備、サービスでけがをした人の事故情報を得ることができ、同センターはこれを危害情報システムとして活かしている。これらをみると、高齢者は骨、筋肉、内臓などが老化して衰えるため、転んで骨を折ったり食べ物をのどに詰まらせたり、といったさまざまな事故にあいやすくなることがわかった。この情報のうち、半数以上が家庭内で起こった事故で、65歳以上の年齢層は家庭内事故の割合が65歳未満の年齢層よりも高く、また、症状は加齢とともに重くなる傾向にあった。今回、事故を未然に防ぐために、この6年間に病院を受診した情報のうち高齢者の家庭内事故について分析した。

 危害情報収集協力病院から寄せられた20歳以上の事故は、1997年度〜2002年度(2003年3月31日まで)に27,027件で、20歳以上65歳未満(以下、65歳未満)が20,193件、65歳以上(以下、高齢者)が6,834件。このうちそれぞれの家庭内事故は9,280件(46.0%)、4,176件(61.1%)で、高齢者のほうが65歳未満に比べて約15ポイント高い。

 高齢者の事故は、階段や脚立からの転落、敷居や浴室、床での転倒で、打撲傷・挫傷、骨折、刺し傷・切り傷などを負うケースが多いことがわかった。打撲傷・挫傷や刺し傷・切り傷なら軽症ですむが、骨折だと重い症状になりがち。頭部への危害は軽症が多いが、脚部に危害を受けると重い症状になる傾向にある。また、重いやけどでは浴室の湯によるものや着ている衣類に火がついた事故が目立つ。この他、高齢者特有の事故としては入浴中の溺死や窒息があった。

 性別・年齢別件数でみると、4,176件のうち、女性2,726件、男性1,450件で、女性が男性の約2倍だった。65歳以上75歳未満(以下、前期高齢者)が2,103件、75歳以上(以下、後期高齢者)が2,073件でほぼ同数だった。

 危害程度でみると、軽症が3,208件(76.8%)、中等症822件(19.7%)、重症・重篤症100件(2.4%)、死亡46件(1.1%)だった。65歳未満では、軽症88.3%、中等症10.7%、重症・重篤症0.8%、死亡0.1%で、これと比べると中等症以上の重い症状の割合が高いことがわかる。また、高齢者のうち前期高齢者より後期高齢者のほうが重い症状の割合が増加する。

 危害内容でみると、打撲傷・挫傷が1,620件(38.8%)でいちばん多く、次いで骨折793件(19.0%)、刺し傷・切り傷713件(17.1%)、やけど530件(12.7%)の順に並ぶ。65歳未満と比べると、骨折の割合が10ポイント以上高い。また、高齢者のなかでは、後期高齢者のほうが骨折の割合が高くなる。軽症では打撲傷・挫傷、刺し傷・切り傷の順で多いが、中等症や重症・重篤症では骨折、次いでやけどが上位に上り、さらに死亡の場合はやけど、次いでそのほかの傷病および諸症状が多かった。なお、そのほかの傷病および諸症状は、全て溺死だった。

 危害部位でみると、頭部1,497件(35.8%)、腕・手992件(23.8%)、脚部856件(20.5%)の順に多い。危害程度別に見ると、軽症では頭部が多いが、中等症と重症・重篤症では脚部が1位になる。

 危害の原因となったものは、階段486件が最も多く、2位がドア・柱・敷居など318件、3位は浴室282件、4位が脚立・はしごなど238件、5位が床237件だった。原因となったものは、階段、ドア、柱、浴室など、住宅を構成する設備(以下、設備)と、脚立、包丁、ベッド類のような身の回りの生活用品(以下、商品)の2つに分けられる。上位5位のうち、4位の脚立・はしごなどが商品だがそれ以外は設備だった。設備での事故の割合は65歳未満が29.0%だったのに対し、高齢者は44.1%と高率だった。高齢者のうち前期高齢者(37.5%)より後期高齢者(50.8%)のほうが床や玄関などでの事故が増え、設備での事故の割合が高くなる。また軽症41.5%、中等症52.2%、重症・重篤症60.0%で症状が重くなるほど設備の割合が高くなるが、死亡ではもち、ろうそく、タバコ用品など商品の割合が高いので、設備での割合が50.0%に減少した。

 事故のきっかけは、転倒と転落をあわせた割合が65歳未満では25.6%であるのに対し、高齢者は54.2%(2,263件)と高い。高齢者のうち、前期高齢者(45.2%)より後期高齢者(63.4%)のほうが高くなる。また、軽症50.6%、中等症67.2%、重症・重篤症77.0%で症状が重くなるほど転倒・転落の割合は高くなるが、死亡だけは23.9%と少なかった。

 死亡事故は65歳未満の12件(0.1%)に比べて高齢者は46件(1.1%)で多い。また、高齢者のうち前期高齢者12件(0.6%)より後期高齢者34件(1.6%)のほうが件数も多く割合も高い。高齢者の死亡事故1位はやけど15件で、家庭内事故の0.36%を占めている。65歳未満の死亡事故のうちやけどは2件(0.02%)と少ない。ろうそくやタバコなどの火が着ている衣類に着火してのやけどが高齢者では11件あるが、65歳未満では1件しかない。高齢者の残り4件は風呂の湯によるやけどだった。2位は浴室での溺死(そのほかの傷病および諸症状)で13件(0.31%)。同様の事故は65歳未満では2件(0.02%)だった。3位は窒息で、もちをのどに詰まらせた事故など。これは高齢者では9件(0.22%)だが、65歳未満は2件(0.02%)だった。これらを比較すると、すべて高齢者の割合のほうが10倍以上高い。

 最近の主な事例をみると、設備での事故では、「自宅の風呂で熱湯を出しているときつまずいて倒れ、熱湯を全身に浴び3度のやけどにより死亡。(後期高齢者女性)」「入浴中、水面に顔をつけて倒れていた。家族が発見し救急車で病院に運ぶが、その約40分後に死亡。(後期高齢者男性)」「腰痛があり、足もとが少々不自由だったところ、タイル床の風呂場で、入浴しようとしたところ滑って転び、後頭部を打ち脳挫傷。(前期高齢者男性)」「自宅の2階より階段を降りようとして転落。1時間後家族に発見されて救急車で来院。大腿骨骨折、頭部打撲。(後期高齢者女性)」「朝4時ごろ、自宅の居間の仕切りで足をひっかけ、転倒して前頭部を打撲した。(後期高齢者女性)」「表に出て雨戸を閉めに行ったとき、暗いので庭でつまずき頭部を打撲。(後期高齢者女性)」などがあった。

 いっぽう、商品での事故では、「老夫婦でもちを食べていて、夫が窒息し突然転倒。救急車で病院へ運んだが死亡。(後期高齢者男性)」「パジャマの上にセーターを着て台所でお湯を沸かしていたところ、衣服に火が移ったのに気づかず、右半身に2度のやけどを負った。股関節が不自由なため脱衣に時間がかかり、そのためにやけどが広がったのではないかと思われる。(後期高齢者女性)」「袋戸棚にある家庭用品を整理するため、座敷用のアルミ製はしごの上段に乗ったところ、バランスを失いはしごの2段と3段目の間に下腿がすべり落ち、大きく裂傷した。(前期高齢者女性)」「包丁を持って移動したとき、手から落として足に落ち甲を切ってしまった。手のしびれなど体の一部が不自由だった。(前期高齢者女性)」などがあった。

 設備での事故防止として「転倒・転落事故を防止する」ためには、「段差」をなくす。玄関では、段差を小さくするための式台を置く。階段、廊下、玄関、浴室などに「手すり」を設ける。階段、廊下、玄関などに「明るい照明」をつける。床や階段などにつまずきそうな物を置かない。すべりやすい靴下やスリッパは履かない−−などがある。高齢化に伴い足腰が弱り視力が低下することから、階段や敷居、浴室などで転倒・転落事故にあいやすくなる。特に骨折は重い症状や治療が長期化するため注意が必要。

 また、「浴室での溺死、やけど事故を防止する」ためには、家族が入浴した後やシャワーで給湯して浴室を暖めてから入浴し、また冬場は脱衣場を暖房して脱衣場と浴室の温度差を減らす。給湯やシャワーの湯温が熱くなりすぎないように管理する−−などがある。脱衣場と浴室や湯の温度差などが、脳や心臓に負担となるほか、裸で体全体に湯を浴びるという行為は、熱湯の場合、全身やけどに至るおそれがあるために非常に危険。

 商品での事故防止としては、衣類に着火する事故を防止するため、生地のそでやすそが広がった衣類は、火がついても気づきにくいので注意する。また、火がついても燃え広がりにくい防炎性のパジャマ、エプロンなどを使うとよい。窒息事故を防止するため、食事の際は、お茶や水を飲んでのどを湿らせてから少しずつ、ゆっくりよくかんで食べる。もちなど粘りのある食品を食べる場合は、小さく切ったものを食べる。また、食べているときに話しかけるなどしてあわてて飲み込まないようにする。そのほか、商品選びの工夫として、高齢者向けの安全性の高い商品、使いやすく工夫されたユニバーサルデザインの商品を選ぶように心がける。

 健康管理での事故防止としては、高齢になれば若いときよりは身体機能が低下するのは免れないことから、関節は動かさないでいるとこわばって固まってしまうので、日ごろから体を動かすことを心がけ、自分で動かせない場合は、周囲の人が手首、ひじ、膝、肩、股関節などを動かしてあげるとよい。保健所や市町村保健センターなどで行われる運動指導や機能訓練などに参加して積極的に健康増進をはかるのもよい。


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