株式会社三菱総合研究所の経済研究チームは、最近の高齢者層の消費・貯蓄行動を分析し、将来の日本経済に対するインプリケーションをまとめた。
個人消費を取り巻く環境は厳しく、消費全体としては低い伸びが続いている中で、高齢者層の消費は比較的堅調。所得の落ち込みに対応した“歯止め効果(ラチェット効果)“だけでは説明しきれない、積極的な消費が下支えしている。この背景としては、高齢者層は、年金収入等により他の年齢層に比べ、相対的に消費余力があることがわかる。近年高齢者が消費を前傾化している分野の具体例を挙げると、外食費・調理食品、自動車等関係費、スポーツ月謝などがあり、ライフスタイルの変化がわかる。
世代間で比較すれば、相対的に消費に前向きな高齢者層ではあるが、貯蓄の目的に関するアンケート結果などをみると、漠然とした将来不安を背景に貯蓄取り崩しには依然慎重で、潜在的には、高齢者層における一段の消費掘り起こしの余地があるようだ。
ストックとして蓄積した貯蓄の運用についても、足元は総じてリスク回避の姿勢が強く、今後、ハイリスク・ハイリターン型のウエイトを高めていく余地がありそう。国内の金融資産の大きな割合を有する高齢者層のポートフォリオが変わってくれば、マネーフローの変化を通じて、国内の経済構造にも大きな影響が及んでくる可能性が高い。
高齢者層の資産活用が経済に大きな影響を与える可能性の具体例として、「リバースモーゲージ」が挙げられる。同チームの推計によれば、同制度が国内に普及すれば、堅めに見積もっても個人消費を0.3%程度押し上げる可能性がある。
これらのことから、高齢者の消費・貯蓄・資産運用は、短期的な景気動向だけでなく、長期的にみた国内の経済構造や制度設計などにおいて、極めて重要な役割を果たすものと考えられる。先行きの不透明要素を取り除くことで、高齢者による消費拡大、リスクマネーの供給、年金制度における一定の負担余地の拡大などが期待される。


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