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高齢者の消費者トラブル、70歳以上の平均契約金額は約98万円

−国民生活センター、「深刻な高齢者の消費者トラブル−狙われる70歳以上−」−

2003/11/25(Tue.)

 国民生活センターは、「深刻な高齢者の消費者トラブル−狙われる70歳以上−」を公表した。同センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられた消費生活相談のうち、契約当事者が70歳以上の相談の割合は、1998年度6.8%、1999年度7.9%、2000年度8.7%、2001年度9.4%、2002年度9.5%と上昇傾向にある。

 70歳以上の消費者トラブルの傾向をみると、他の年齢層と比べて特徴があり、健康や住宅に関連した商品やサービスについての相談が多いこと、家庭訪販やSF商法(催眠商法)、点検商法などの相談が多く、強引な販売方法、健康や経済的不安に付け込んだ手口、一人暮らしの高齢者や痴呆性高齢者を狙った手口なども見られた。

 「このままでは家が白蟻にやられると言って勝手に床下換気扇を取り付けた」「高血圧や胃潰瘍が治るといわれて健康食品を買わされた」「アルツハイマーの母のところにいきなり業者が来て判を押すよう強制された」など悪質な勧誘方法も目立つ。今後、ますます高齢化が進むに伴い、高齢者の消費者トラブルも増えると予想される。

 そこで、2000〜2002年度の3年間に寄せられた、契約当事者が70歳以上の相談17万件余りについて、70歳未満との比較も含めて、商品やサービスごと、また販売方法・手口ごとに特徴を分析した。さらに、分析に基づき、典型的な高齢者の消費者トラブル、注意すべき点について被害の未然防止のために情報提供を行うこととした。

 2000〜2002年度までの3年間(2003年5月末日までの登録分)の契約当事者70歳以上の相談173,449件について、上位の商品・サービスに関する特徴について調べたところ、70歳以上の上位5位は、「ふとん類」「健康食品」「家庭用電気治療器具」「浄水器」「新聞」で、なかでも「ふとん類」は11.5%を占めており、70歳未満の1.6%と比べて大きな差があった。また、2〜4位の3商品が健康関連商品で、70歳未満と比べて特徴的だった。

 また、7、8位の「床下換気扇」「修理サービス」といった住宅関連の工事なども70歳未満と比べ目立つ。そのほか9位「紳士録・名簿」も上位に位置していた。11位以降20位までをみても同様の傾向があり、健康関連商品で「磁気マットレス・磁気用品」、住宅関連の工事で「屋根工事」「建物清掃サービス」「他の工事・建築サービス」があった。そのほかに「電話関連サービス」「本」「和服」「商品相場」などがあがっている。

 70歳以上を女性(110,123件)と男性(61,041件)ごとに比較した(そのほか・不明2,285件)ところ、女性は「ふとん類」が15.6%で他の商品・サービスに比べても圧倒的に多いが、男性の「ふとん類」は4.1%を占めるにとどまった。逆に、男性は「紳士録・名簿」が5.2%とトップだが、女性は0.6%と少ない。この他、女性のほうが男性より2ポイント以上割合が高かったものは、「健康食品」「家庭用電気治療器具」で、反対に男性のほうが女性より2ポイント以上割合が高かったものは「電話情報サービス」「商品相場」だった。

 70歳以上の相談のうち契約当事者の職業をみると、いちばん多いのが「無職」69.7%、次いで「家事従事者」18.3%だった。70歳未満の属性が「給与生活者」48.5%で最も多いのと対照的。また「自営・自由業」と「給与生活者」をあわせた有職者は、男性10.8%だったが、女性3.0%と少なかった。

 70歳以上では、契約当事者ではなく、家族や介護者など別の人が相談しているケースが44.9%で、70歳未満(20.8%)に比べて高かった。

 70歳以上の相談の平均契約金額は約98万円で、上位10位までのうち、9種類の商品・サービスの平均契約金額が10万円以上、「ふとん類」38万円、「健康食品」50万円、「浄水器」37万円など日常品にも高額な契約金額が並ぶ。

 男女別では、男性が137万円、女性が79万円と男性のほうが平均契約金額は高額だった。平均契約金額の飛びぬけて高い「商品相場」が、男性は2.6%で10位(平均契約金額約827万円)なのに対し女性は0.5%で21位以下(同、約721万円)、また、「サラ金・フリーローン」をみると男性は3.7%で4位(同、約303万円)なのに対し、女性は1.9%で11位(同、約173万円)であることなどがその差を生んだ大きな原因。

 70歳未満に比べて、70歳以上にどのような販売方法・手口による相談が多いのかを調べたところ、いちばん多かったのは、強引な勧誘や夜間や長時間に及ぶ勧誘など販売方法に問題があった「家庭訪販」27.1%で、70歳未満の7.4%に比べて割合もきわめて高い。

 2位が「SF商法(催眠商法)」。これは「新商品を紹介する」などと言って人を集め、閉め切った会場で日用品などを無料や格安で配り得した気分にさせ、興奮状態にしておいて、最終的に高額な商品を売りつける商法。これも11.2%を占めており、70歳未満の0.6%に比べて高い。

 上位10位の販売方法・手口のうち、70歳以上にのみあったのは2位の「SF商法」の他、3つがあり、まず4位の「点検商法」。これは点検に来たと言って来訪し、「白蟻の被害がある」「ふとんにダニがいる」等、修理不能、危険な状態など事実と異なることを言って新品や別の商品・サービスを契約させる商法。次は8位の「薬効をうたった勧誘」。これは「この健康食品を飲めば病気が治る」など本来うたってはいけない薬事的効果をうたって売りつける勧誘方法。そして10位の「過量販売」。これは必要以上の量や長期間の契約をせまり、結果として高額な契約をさせる販売方法。

 販売方法・手口によってそれぞれ商品・サービスに特徴があり、「家庭訪販」では「ふとん類」「浄水器」「床下換気扇」などが多い。「SF商法(催眠商法)」では「ふとん類」「家庭用電気治療器具」「磁気マットレス・磁気用品」などで健康関連商品が目立った。また、事業者から不意打ちで電話がかかり、その電話で契約をせまる「電話勧誘販売」では「本」「紳士録・名簿」の書籍が多かった。

 第4位以下の特徴としては、「点検商法」は「床下換気扇」「建物清掃サービス」「屋根工事」などの住宅関連の工事などが目立ち、一人の消費者に次から次へと契約させる「次々販売」では「和服」が上位に上がってくる。また、商品・サービスの販売であることを意図的に隠して近づき、不意打ち的に契約させる「販売目的隠匿」では「電気掃除機類」が上位に位置する。さらに、「薬効をうたった勧誘」や「過量販売」では「健康食品」が多い。

 支払いの手段について年代別にみたところ、「販売信用を受けている」のは70歳以上26.8%で、これは70歳未満の23.8%よりやや多い。この場合、クレジットカードによる支払いよりも、購入のつど申込書を書き、クレジット会社の審査を受けて利用する個品方式が多い。なお、最も多いのは即時払いや前払いなど「販売信用なし」で、70歳以上が53.7%で70歳未満(49.6%)よりやや多かった。

 販売方法・手口によっては契約の形態に特徴があり、「SF商法(催眠商法)」「薬効をうたった勧誘」「過量販売」では半数以上が販売信用を受けていた。また、販売信用を受けている相談のうち、平均契約金額は約72万円だったが、このなかでは「次々販売」約176万円、「過量販売」約156万円が全体に比べ高額だった。販売信用を受けているもののうち、分割払いの契約は87.2%、一括払いは10.1%。70歳未満では分割払いが94.8%、一括払いは4.3%だった。

 総務省統計局「人口推計月報」によれば、2003年6月1日現在、70歳以上の人口割合は13.1%。なお、この割合は今後も上昇すると予想されている。また、厚生労働省「2001年国民生活基礎調査」によると、70歳以上のうち家族形態が「一人暮らし」「夫婦のみ」の人はそれぞれ15.0%、30.0%を占めている。自分自身の健康状態をよいと思っているという割合は全体が40.6%なのに対し70歳以上は22.7%と少ない。また、仕事を持っている割合は全体が58.8%なのに対し70歳以上では18.5%と少ない。

 同センターから、消費者へのアドバイスとしては、「高齢者自身の自衛策」として、巧みな話術、強引な手口の事業者がいるので、不審を感じたらきっぱりと断ること、不安な場合は契約前に家族や信頼できる身近な人に相談すること、内容を確認しないで契約をしないことをあげている。「身近な人の配慮」としては、高齢者はさまざまな事業者に狙われやすいことを認識し、周囲が気配りし、困っていないか時々声をかけることをあげているほか、成年後見制度の利用や、被害にあったら消費生活センターに相談することを推奨している。


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