東芝エレベータ株式会社は、ユニバーサルデザインの積極的採用と約30%の製造工期短縮を実現した新形エスカレーター「Kindmover(カインドムーバー)」を開発、販売活動を開始した。
2000年11月に高齢化社会の進展や身体障害者の人の積極的な社会参加等を背景に交通バリアフリー法が施行され、その具体的な指針となるガイドライン、各自治体における福祉のまちづくり条例など各種法令が定められてきた。同社はこのような社会ニーズに対応するため、「人に優しい昇降機」をめざしてユニバーサルデザインに基づいた新製品の開発に積極的に取り組み、エレベーターでは2003年3月より「ニュースペーセル」、2003年8月より「スペーセルEX」を商品化してきた。今回、エスカレーターについても「kind(親切な、優しい)」を主要コンセプトとして、一般利用者をはじめ、管理者や建物設計者など、エスカレーターに携わるすべての人に優しく、扱いやすい製品の開発を進め、「Kindmover(カインドムーバー)」として商品化した。
新製品には、足元を明るく照らす「スカートガード照明」やエスカレーターの運転方向等をお知らせする運転モニター「ESNAVI(エスナビ)」、スカートガードが靴などで押された時に音とバイブレーションで利用者に警告を行う「スカートガード挟まれ警告装置」、デッキボードとスカートガードの間を留めるビスの露出部分をなくし、衣服等の引っ掛かりトラブルを未然に防ぐ「スマートデッキ構造」など、ユニバーサルデザインを積極的に採用した独自のサポート機能を8種類ラインナップした。「スカートガード照明」「ESNAVI」「スカートガード挟まれ警告装置」は有償付加仕様となっている。
主な特長は、インレット(乗降部の移動手すりの入込口)への挟まれを抑止するため、移動手すりと乗降板の間を同社従来機種比で62mm高い2.211mmに配置した。また、乗降部で踏段が水平になった際にも踏段同士が噛み合い、挟まれにくい構造としたセフティクリートシステムなど安全重視の設計がなされた。また、製造工期を従来比約30%短縮。人感センサーおよび運転モニターESNAVIをエスカレーター本体に設置することで、今まで必要だったセンサーポール、誘導柵や表示器が不要となるポールレス自動運転も可能。これにより省設備が図れる。
標準価格は、S1000形・デッキレスタイプ・階高4500mm、速度30m/min勾配30度で約2600万円、年間500台の販売を計画している。
「Kindmover(カインドムーバー)」

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