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人にやさしいものづくりのための人材育成に関する実態調査結果

−経済産業省と人間生活工学研究センター−

2004/04/02(Fri.)

 経済産業省は、ユニバーサルデザインに象徴されるような「人にやさしいものづくり」を行うための知識や技術として、どのような「人間生活工学技術」が必要とされているかを把握するためのアンケート調査・ヒアリング調査を実施し、これらの調査結果を踏まえて、標準的な教育カリキュラム、ならびに各個別技術の授業明細書の開発を行った。

 アンケート調査では、電気機器、精密機器、住宅設備、日用品等各業種の企業の「人にやさしいものづくり」の担当者を調査対象して行った。有効回答数は228件だった。

 「人にやさしいものづくりのための知識・技術は必要か」の問いに対しては、「必要で、現に取り組んでいる」とする企業が3/4を占めており、「現在のところ具体的に取り組んではいないが、必要である」を合わせるとほぼ100%であることから、企業において「人にやさしいものづくり」のための知識・技術の必要性は高いことが分かる。

 具体的に必要な素養や知識・技術として、「生理や心理、身体特性や加齢変化などの人間特性に関する知識」、「ユニバーサルデザインや人へのやさしさ要素などの全般的な素養や知識」をあげた人がそれぞれ80%程度と多く、次いで「モニターテストやユーザビリティテストなど各種の製品評価技術」が61%だった。

 人材は充足しているかについては、「非常に不足している」「やや不足している」を合わせると、ほぼ80%の人が不足感を感じていた。担当者が数十人いる企業でも「やや不足」「非常に不足」という回答が見られ、不足感が強かった。

 「人にやさしいものづくり」に係わる人の育成、スキルアップの必要性については、「必要で、現に取り組んでいる」が40%、「必要で、今後取り組む予定である」が34%で、両方で75%程度を占めている。いっぽう、「必要だが、取り組む予定はない」との回答者が23%だった。

 また、「必要だが、取り組む予定はない」との回答者に対して理由を聞いたところ、「スキルアップに割く時間がない」(29%)、「適切なやり方が分からない」(26%)、「適当な手段がない」(24%)といった意見が多く、「資金的余裕がない」(11%)を大幅に上回っていた。

 ヒアリング調査等により企業のニーズを踏まえて作成した「標準的カリキュラムに基づく講座(案)」として、12講座を示し、スキルアップや自己研鑽の一環としての利用に関心があるものを選択してもらった。「製品開発のための人間特性の理解」が62%と最も多く、次いで「製品のユーザビリティ設計」が52%だった。上位6講座については、40%以上の回答者が関心を持っているなど本分野の人材育成講座に対するニーズが高いことが明らかとなった。

 ヒアリング調査では、消費生活用製品・サービスを中心に各業種の企業等78カ所を訪問した。

 各業界ともに、製品品質の向上、高付加価値化、新商品開発、ユニバーサルデザイン、誤使用防止(製品安全)に役立つ知識・技術として、人間生活工学への期待が高かった。一方で人材は絶対的に不足しており、人材育成が急務とされていたが、社内研修などでは基盤研修までは抱え込めない状況にあった。

 社内研修制度に人間生活工学を取り入れている企業には、新入社員研修の一つとして全員に必須で講話型研修を行っている場合と、技術系社員向けの研修の中に組み込み、選択で受講させる場合の2つのタイプがあった。

 社内研修の問題点としては、社外講師を依頼する場合、講師の確保が困難である、社内事情への理解が不足している、コストがかかるなどがあった。社内講師(社員)の場合、講師役が不足している、教えることに不慣れである、事例中心で理論が不足している、教材が貧弱であるなどがあった。技術研修の場合には、一回に2〜30人で年2回が限界のため効率が悪い、中小・中堅企業は自前で研修会を持つことができないなどがあった。社外の研修制度を活用している企業には、グループ企業、中小企業社員に門戸を開いている大企業の社内研修に参加している場合と、業者セミナーへの派遣の2つのタイプがあった。

 社外の研修制度活用の問題点としては、レベルや内容が自社のニーズに合わないことや、講座内容の詳細が不明で参加させるべきかどうかの判断が困難、業者セミナーについては、トピックテーマが多く、系統的人材育成が困難などがあった。

 これらの調査結果を踏まえながら、人間生活工学分野の教育者・研究者からなる専門委員会において標準的な教育カリキュラムと各技術に関する授業明細書の開発を行った。開発された34の授業明細書には、それぞれ受講者が目標とする到達レベルに対して、必要な学習内容が示され、さらに参考図書や今後の学習の方向性などの学習支援情報も盛り込まれた。こうした記述内容により、この授業明細書は、企業経営者に対しては「従業員に教えるべき技術内容」を明示し、同時に各企業等の講師者も「研修講座実施の際に役立てる」ことができる。また受講生は「習得すべき技術内容とその到達度が明示される」ものとなっている。

 同開発を実施した、社団法人人間生活工学研究センターは、開発成果を活用して、研修講座を開設するなどの実際の教育提供に取り組み、企業の人材育成を支援していく予定。


経済産業省概要
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