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施設で暮らす痴呆性高齢者・知的障害者の金銭的消費者被害を浮き彫りに

−国民生活センター、「入所施設とグループホームで暮らす痴呆性高齢者・知的障害者の金銭管理と権利擁護に関する調査研究」−

2004/05/28(Fri.)

 国民生活センターは、「入所施設とグループホームで暮らす痴呆性高齢者・知的障害者の金銭管理と権利擁護に関する調査研究」を実施した。

 介護サービスの利用が消費者と事業者の契約に基づくようになってから3年を経た2003年4月、障害者が利用する福祉サービスも措置から契約に転換した。介護保険制度と支援費制度への転換は、潜在化してきた消費者被害を表面化させ、被害救済の契機となった。

 だが、それは被害の一部にすぎず、なかでも入所施設やグループホームで暮らす痴呆性高齢者や知的障害者は消費者被害に遭っても口に出しにくい現実がある。介護・福祉サービスの供給量が限られていること、利用者側に世話になっているという意識があること、判断能力の十分でない利用者が多いこと、解約(退居)しようとしても行く先がないこと、事業者側に苦情を抑えてきた面があることなどが理由。

 そこで、入所施設とグループホームで暮らす痴呆性高齢者と知的障害者の金銭面のトラブルの未然防止策と権利擁護のあり方を探るために、全国の入所施設(特別養護老人ホーム・知的障害者入所施設)とグループホーム(痴呆性高齢者グループホーム・知的障害者グループホーム)計5,000ヵ所を対象に、2003年10月、金銭管理に関する調査を実施した(有効回収数2,938、回収率58.8%)。

 また、2003年12月、法律家や福祉の専門家、痴呆性高齢者と知的障害者の施設関係者による「施設等に入居する痴呆性高齢者と知的障害者の金銭管理と権利擁護に関する検討会」を設置し、入所施設とグループホームに入居する痴呆性高齢者と知的障害者の金銭管理に関する権利擁護のあり方について検討した。

 実態調査結果のポイントをみると、親族がいない場合や、いても付き合いがない場合等は、施設が入居者に代わり日常の金銭管理を行っているケースがある。入居者の普通預貯金通帳を施設等が「預かっているケースはある」は、入所施設の比率は高く、大差はない(90%台)。定期預貯金通帳については、特別養護老人ホーム(約60%)より知的障害者入所施設(70%強)のほうが高い。

 通帳を預かる理由は「家族らから依頼されているため」が80%強であるが、他人の金銭を預かる以上、書面で金銭管理委託契約を締結すべき。しかし、「大半の入居者と金銭管理の契約書を取り交わしている入所施設」は75%前後。痴呆性高齢者グループホームの半数弱は契約書を取り交わしていない。

 施設等では、介護保険制度外・支援費制度外として、種々の費用を徴収していることが明らかとなった。施設等により徴収するか否か、その判断はまちまち。特別養護老人ホームでは、介護保険制度外として日用品費を徴収しているホームが40%強。以下、教養娯楽費、おやつ代、移送費、光熱・水道費、買い物代行費、福祉用具代等。知的障害者入所施設では、支援費制度外として教養娯楽費、移送費、おやつ代、日用品費を徴収している施設は各20%前後。

 金銭を預かる場合、預かり金取扱規程を作成し入所前に説明しているか、どのように預かるか(印鑑と通帳は別の人が預かり、別の場所に保管等)という点では、預かり金の取扱規程を入居者や家族らに「入居前に説明している」入所施設は約75%で、グループホームは入所施設より下回る約60%。入居者の印鑑を「預かり金の担当者以外の職員が、通帳とは別の場所に保管」している入所施設は50%台にすぎなかった。グループホームでは、さらに低い10%台〜20%台だった。また、「預かり金の担当者が通帳と印鑑を一緒に、または別の場所に保管」している比率は、グループホームが高く70%前後。入所施設は40%強となっている。

 家族会等の金銭管理とのかかわり状況を「通帳を家族会が預かっている」と「金銭出納帳の記入を家族会が確認している」の比率でみると、いずれも知的障害者入所施設が10%弱ではあるが、他(1%未満)と比較すると、やや目立つ。

 「家族などによる財産侵害を防ぐため」通帳を預かる知的障害者の施設等は30%弱となっている。高齢者の施設等(10%前後)との差は顕著で、知的障害者グループホームの4分の1は、「悪質業者による被害を防ぐため」通帳を預かっている。

 入居者やその家族さらには家族会から施設に対してなされる寄付が、問題となることがある。寄付の規程の有無と寄付や遺言により財産を受け取ることはあるかをみたところ、入居者や家族、家族会からの施設への寄付の規程がある入所施設は20%台、グループホームは10%前後。

 また、入居者や家族、家族会からの施設への寄付や遺言の規程はないが、寄付と遺言により財産を受け取ることはある特別養護老人ホームは10.5%、他は10%未満で、寄付や遺言のいずれかにより財産を受け取ることはある入所施設は20%台、グループホームは10%前後となっている。「寄付の規程はある」と、これらのケースを「財産を受け取ることはある」と捉えれば、入所施設は60%前後、グループホーム20〜30%は財産を受け取ることがあるといえる。

 成年後見人がついている入居者はいるか、いる場合は、どのような人かをみたところ、「成年後見人がついた入居者がいる」比率は、知的障害者入所施設が、とりわけ高く50%強。高齢者の入所施設は30%前後。また、「家族・親族が成年後見人になっている入居者がいる」のは、知的障害者入所施設が特に高く80%強。「施設関係者が成年後見人となっている入居者がいる」知的障害者グループホームは10%強で、他の5%未満と比べると高い。

 同報告書は、国民生活センターの販売委託先である社団法人全国消費生活相談員協会(TEL:03-3448-9736 FAX:03-3448-9830)で入手することができる。196ページ、定価1,000円(消費税込み)、送料実費。


独立行政法人国民生活センター概要
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