内閣府の交通対策本部は、高齢社会対策大綱を踏まえた交通安全対策の充実を図るため、「本格的な高齢社会への移行に向けた総合的な高齢者交通安全対策」を2003年3月に決定しており、同対策に関するこれまでの推進状況がとりまとめた。
2002年中の交通事故死者数は8,326人となり、2005年までに年間の24時間死者数を8,466人以下とすることを目指すという交通安全基本計画の目標は、計画期間の2年度目に達成されることとなった。
これを受けて、2003年1月31日の内閣総理大臣施政方針演説では、今後10年間で交通事故死者を半減させ、道路交通に関して世界で一番安全な国とすることを目指すという決意が表明された。
このような状況の中で、交通事故死者を年齢層別にみると、高齢者人口と高齢運転免許保有者の増加を背景として、65歳以上の高齢者が全体の三分の一を超えて最も多くなっている。また、過去の推移をみると、高齢者の交通事故死者数は、他の年齢層と比較して高い水準で推移している。
今後、本格的な高齢社会に移行すると、高齢者の交通安全対策は、重点的に取り組むべき課題となり、一昨年決定された高齢社会対策大綱は、横断的に取り組む課題として、「多様なライフスタイルを可能とする高齢期の自立支援、そのほかへの取組」を推進することとしており、交通安全対策についても、この考え方に沿った取組が必要。そこで、同本部は、「高齢者の交通安全総合対策について」後の交通事故情勢と今後の本格的な高齢社会への移行等に的確に対応するとともに、高齢社会対策大綱を踏まえた交通安全対策の充実を図るため、総合的な高齢者交通安全対策を決定した。
基本的な考え方は、「高齢者が、安全に、かつ、安心して外出・移動できることは、生活を支え、自立を支援し、社会参加を促進する等、高齢者の生活の質を高めるために不可欠。高齢者にとって安全で安心できる交通社会を形成するためには、国の関係行政機関、地方公共団体、関係民間団体等が相互の連携の下に各種の交通安全対策を総合的に推進するとともに、高齢者と他の世代が相互理解と思いやりをもって行動する共生の交通社会を創ることが必要」とした。
そこで、交通安全基本計画に基づき推進されている各種の交通安全対策に対し、本格的な高齢社会への移行という視点から新たな検討を加え、高齢社会対策大綱の考え方を踏まえた諸対策を推進する。
具体的には、高齢者の多様な実像を踏まえた対策を推進する。そのために、高齢者が主として歩行と自転車等を交通手段として利用する場合と、運転免許を保有し自動車を運転する場合の相違に着目し、それぞれの特性を把握する。
次に、加齢による身体機能の変化にかかわりなく、高齢者が交通社会に参加することを可能にするため、年齢等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインするユニバーサルデザインの考え方に基づき、バリアフリーな道路交通環境の形成を図る。
さらに、交通安全は地域社会と密接な関係を有していることから、交通安全対策の領域においても、交通安全教育に関するグループ活動やボランティア活動等、高齢者の主体的な地域社会への参画を促進するとともに、NPO(非営利活動団体)等の活動基盤の整備を含め、地域社会における相互扶助、そのほかの機能が活性化するような条件整備が求められ、家族における世代間交流を含む世代間の連帯強化という観点も、交通安全対策を具体的に推進する上で有益−−としている。
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