株式会社長谷工コーポレーションは、マンション住戸内における床段差の解消(バリアフリー化)に有効でワイドスパンにも対応できる「段差付きプレストレスト鉄筋コンクリート造スラブ(PRCスラブ)」を開発した。
近年、社会的にバリアフリー化が推進され、マンションにおいても住戸内の床段差を解消するために、水回り部分の床スラブに段差を設ける構造などが採用されている。また、開口部が大きい南面3室プランなどへのニーズの高まりを受けて、ワイドスパンへの要請が高まっている。その対応策として、床スラブにプレストレスト鉄筋コンクリートを採用する方法があるが、PRCスラブに床段差を設けた場合の影響は解明されていなかったため、ワイドスパンについてはこれまでの多くは合成スラブや、小梁や袖壁を設けたRCスラブを採用してきた。ただし、合成スラブの場合は工場からの運搬経費などで割高になり、小梁や袖壁は設計の自由度を低下させるという課題があった。
開発した、PRCスラブは、工場で製作する合成スラブに比べ経済的であるとともに、小梁や袖壁を必要としないため間取りの自由度が高まり、将来のリフォームにもフレキシブルに対応することができる。
今回の開発にあたっては、構造安全性や重量床衝撃音などの諸性能の確認に加えて、長期にわたる床のたわみ性状を解明するため、同社技術研究所(埼玉県越谷市)で約1年半にわたって8m超のワイドスパンを想定した大型実大試験体を用いた長期載荷実験を実施した。その結果、PRCスラブはRCスラブに比べ、ひび割れやたわみ性状などに優れており、段差の有無はそれらの性状に影響を及ぼさないことを確認した。
大型実大試験体を用いた長期載荷実験風景

バリアフリー化やスパンの拡大、将来のリニューアルに備えた自由度の高いマンションのニーズは、これからますます高まってくると予想してされ、同社では、ユーザーのニーズに応えるための技術提案の1つとして「段差付きPRCスラブ」を位置づけている。スパン8.5mまでのひび割れやたわみ性状などの諸性能を確認できたことで、ほぼ全てのワイドスパン・プランに対応可能となった。
今回の実験結果をもとに社内の設計・施工指針を作成しており、すでに関西地区では採用を開始している。また、首都圏でもマンション事業者に提案していく方針。
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