厚生労働省は、日本人の平均余命を表す「2004年簡易生命表」を発表した。2004年における国内の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や平均してあと何年生きられるかという期待値などを死亡率や平均余命などの指標(生命関数)によって表したもの。
2004年簡易生命表によると、男の平均寿命は78.64年、女の平均寿命は85.59年と前年と比較して男は0.28年、女は0.26年上回った。各年齢の平均余命についても、前年に比べ、男女とも全年齢で上回った。また、男女の平均寿命の差は、6.95年で前年より0.02年縮小した。
平均寿命の延びを死因別に分析すると、脳血管疾患、心疾患、肺炎と自殺が平均寿命を延ばす方向に働くいっぽうで、悪性新生物が平均寿命を減少させる方向に働いている。
男女それぞれ10万人の出生に対して65歳の生存数は男85,663人、女93,039人となっている。これは65歳まで生存する人の割合が男は85.7%、女は93.0%であることを示している。同様に、80歳まで生存する人の割合が男は55.2%、女は76.8%となっている。
0歳以上の定常人口は、男786万人、女856万人となっており、65歳以上の定常人口は男156万人(19.8%)、女217万人(25.3%)となっている。これは、全生存年数に対する65歳以上生存年数の割合が男は19.8%、女は25.3%であることを示している。
その年に生まれた人のうちの半数が生存すると期待される年数を寿命中位数といい、2004年においては、男が81.57年、女が88.34年。平均寿命に比べ、男は2.93年、女は2.75年上回っている。
生命表の上で、ある年齢の人が将来どの死因で死亡するかを計算し、確率の形で表した死因別死亡確率をみると、0歳では男女とも悪性新生物で将来死亡する確率が最も高く、次いで、男では心疾患、肺炎、脳血管疾患、女では心疾患、脳血管疾患、肺炎の順になっており、2003年に比べ男で脳血管疾患と肺炎の順位が入れ替わっている。65歳では0歳に比べ悪性新生物の死亡確率が低く、他の死亡確率が高くなっており、80歳ではさらにこの傾向が強くなっている。3大死因(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)の死亡確率は男女とも0歳、65歳、80歳の各年齢で50%を超えている。
前年と比較すると、男女ともに心疾患、脳血管疾患の死亡確率は低くなっているが、悪性新生物の死亡確率は高くなっている。肺炎は男では死亡確率が高くなっているが、女では低くなっている。
ある死因が克服された場合、その死因によって死亡していた者は、その死亡年齢以後に他の死因で死亡することになる。その結果死亡時期が繰り越され、平均余命が延びることになる。この延びは、その死因のために失われた平均余命としてみることができ、これによって各死因がどの程度平均余命に影響しているかを測ることができる。2004年についてみると、0歳、65歳における延びは男女とも悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、肺炎の順となっている。
いっぽう、80歳における延びは男は悪性新生物、肺炎、心疾患、脳血管疾患の順となっており、女は心疾患、悪性新生物、脳血管疾患、肺炎の順になっている。3大死因(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)を除去した場合の延びは、0歳では男8.74年、女7.94年、65歳では男7.08年、女6.62年、80歳では男4.43年、女5.05年となっている。
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