東京女子大学現代文化学部コミュニケーション学科の渡辺隆行教授をリーダーとし、アライド・ブレインズ株式会社が事務局となっている「ユーザーエージェント(UA)調査プロジェクト」は、日本で利用されている代表的な5種類の視覚障害者用ウェブ利用ソフトの音声読み上げやキーボード操作等の機能を調査し、その結果をウェブサイトで公開した。
2004年6月にホームページのアクセシビリティ指針が日本工業規格JIS
X 8341-3として制定され、ホームページのアクセシビリティ向上が進んでいるが、ホームページがアクセシビリティに配慮して作成されていても、障害者用ウェブ利用ソフトがその配慮に対応する機能を備えていなければ障害者にとってのウェブアクセシビリティは実現されない。
これまで、障害者用ウェブ利用ソフトの機能の詳細は十分に把握されておらず、ウェブコンテンツ側での配慮の有効性が十分に評価できない状況であったことから、UA調査プロジェクトでは、日本で利用されている代表的な視覚障害者用ウェブ利用ソフトの機能を調査した。
調査の結果、現状ではウェブ利用ソフトによる機能の差が非常に大きく、製品によってはウェブコンテンツの要素を十分に読み上げられなかったり、ウェブが提供している機能を十分に利用できなかったりする場合があることがわかった。また、すべてのソフトがマルチメディアコンテンツの制御が不十分であること、十分なウェブ利用機能を確保するためにWindowsOSやインターネットエクスプローラの対応が求められる要素があることもわかった。
調査では、日本の視覚障害者の利用数が多いスクリーンリーダと音声化されたウェブブラウザと、もっとも高機能なスクリーンリーダであるJAWSを調査対象とした。
客観的に多数の機能を調べるために、W3C(World
Wide Consortium)のUAAG(User Agent Accessibility
Guidelines)ワーキンググループが作成した、UAAG1.0テスト用の400余りのファイル群や、アクセシビリティに配慮して作成されたFlashとPDFファイル、JIS
X 8341-3が取り上げているような日本語固有問題をテストするファイルなどを用いて機能を調査した。
調査の結果、どのウェブ利用ソフトも、UAAG1.0が求める優先度1のチェックポイントのうち、マルチメディアの制御に関する機能が足りなかった。
日本のウェブ利用ソフトには、MSAA(Microsoft
Active Accessibility)だけを利用してウェブを読み上げるものとDOM(Document
Object Model)も利用するものの2種類があった。DOMを併用しているソフトは、見出し構造などを適切にマークアップしたウェブの利用に適した機能を備えていた。
また、個々のウェブ利用ソフトが備えるべきというより、その基となっているInternet
Explorerや、WindowsOSが標準として備えるべき機能が少なからずあった。PDFも音声利用できるが、(X)HTMLと比較するとアクセシビリティが劣っていた。アクセシビリティに配慮して作成されたFlashならば、ほとんどのユーザーエージェントは、アクセシブルになっている範囲において利用できた。
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