松下電工株式会社は、業界で初めて、歩道と車道・階段などの境界を白色LEDの光で知らせる「LED歩道境界表示灯」を2006年6月1日より発売する。これは視覚機能が低下したロービジョン、すなわち高齢者や弱視の人々の夜間の事故防止や歩行支援のために、横断歩道での車道との境界や、階段などとの「境界表示」をする、地中に埋め込む照明器具。東京都練馬区や岐阜県高山市での実証実験を経て、商品化した。
視覚障害者は統計上約30万人(厚生労働省調べ)、そのうち70%は弱視といわれているが、潜在的弱視者はかなりの数になると推測されている。超高齢社会をむかえるにあたり、加齢に伴う老人性白内障や、糖尿病による視力低下者の増加も懸念されている。高齢者の歩行中の交通事故死者数は現在すでに全体の2/3(警視庁調べ)を占めており、致死率の高い夜間の事故対策は特に必要性が高いと思われる。このような背景の中、国の施策としてハートビル法・交通バリアフリー法が制定され、まちのバリアフリー化が推進されてきているが、夜間のロービジョンに対する対策は充分とはいえない状況。また、景観法に見られるように、景観に対して充分配慮した対策が求められるようにもなっている。
そこで、従来から景観とバリアフリーを考慮した照明に取り組んできた同社は、さらに長寿命、省エネ、高輝度という特長をもつLEDを応用した、ロービジョンを考慮したLED照明器具を開発、商品化した。この商品化にあたり、摂南大学(岩田三千子教授)との共同研究による所要輝度の検討、「光のユニバーサルデザイン研究会」主催による東京都練馬区での実証実験や、岐阜県高山市と(社)交通バリアフリー協議会による情報バリアフリー実証実験に参画して検証を実施。自治体や市民(健常者、ロービジョン)の評価過程を経て改良を行い、商品化の運びとなった。今後、自治体などへの提案活動を展開し、同様の活動により商品の品揃えを強化していく。
新商品の特長は、輝度制御と配光制御設計により、ロービジョンの人から健常者の人まで、認識しやすくまぶしすぎない「最適光学設計(特許出願中)」で、視野欠損のある人でも、比較的認識しやすい連続ライン光(線状の光)を実現した。
器具1台あたりの消費電力は約2Wと小電力。LED寿命も40,000時間の長寿命で、約10年間はランプ交換不要(1日10時間点灯で約10年以上)となっている。
滑り止め付き強化ガラス採用により、歩行者の安全性をさらに向上。また、滑りの原因となる枠を取った構造を採用した。
情報ノイズ、つまり赤色のように「止まれ」や「危険」といった情報を持たない、白色光を採用し、汎用性を高めた。LEDとガラスの間の空気層をなくし、ガラス内面に結露が生じない構造とした。
周囲を広範囲に明るくして安全を確保する手法と比べ、わずかな光量での白色光の表示のため、近隣への光害が少なく、どのような景観にも自然な振舞いとした。販売目標は、2008年度で1億円としている。
LED歩道境界表示灯

点字ブロック手前に施行した状態(高山市)

|