東京都は、認知症の人が住みなれた地域でできる限り暮らし続けられるよう、今年7月に「認知症高齢者を地域で支える東京会議」を設置し、認知症に対する正しい理解の普及や必要な支援を地域で受けられるための仕組みづくりに取り組んでいる。今回、より多くの都民・事業者の人に、「認知症」を身近な問題として捉え、地域における支援について考えてもらうため、キャンペーンを実施する。
キャンペーンのテーマは「認知症の人が安心して暮らせるまち・東京キャンペーン」で、期間は、2006年11月から2007年1月までの3ヶ月間。期間中は、都主催のイベントの他、多様な主体による取組が行われる予定となっている。
現在、認知症による何らかの症状を有する高齢者は、都内に約23万人(65歳以上人口の約10%)、その中で何らかの介護や支援を必要とする認知症高齢者は約16万人と推計されている。いっぽう、都民の4人に1人は65歳以上の高齢者という「超高齢化社会」の到来は目前で、認知症高齢者の増加も予測される。
認知症は、だれにでも起こりうる脳の病気によるもので、85歳以上では4人に1人にその症状があるといわれている。認知症の人は、記憶障害や認知障害から不安や混乱に陥りやすく、その結果まわりの人との関係が損なわれたり、家族が介護に疲れ果ててしまうことも少なくない。しかし、周囲の理解と気遣いがあれば穏やかに暮らしていくことも可能な症状であることはあまり知られていない。さらに、認知症高齢者の半数以上は居宅で生活しており(2005年調査)、これらことからも、行政や医療・介護従事者だけでなく、住民や生活関連事業者も参加して地域全体で認知症の人や家族を見守り支援していくことが強く求められている。
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