株式会社日立製作所は、光トポグラフィを利用して脳活動に伴う脳内の血液量の変化を測定し、その測定信号を用いて機器を操作する無侵襲(身体を傷つけず無害)のブレイン・マシン・インタフェースの原理実験に成功した。今回の実験では、被験者が暗算や暗唱を行ったときの前頭前野における血液量を測定し、被験者の暗算や暗唱とほぼ連動して小型鉄道模型を駆動、停止できることを確認した。今回の成果は、身体を動かして機器を操作するのが困難な人々を支援する、福祉機器向けの新しいマン・マシン・インタフェースや脳機能のリハビリに向けた技術に道を拓くものとして期待される。
近年、脳の神経活動を利用して機器を操作する新しいマン・マシン・インタフェース技術の研究が活発に行われるようになってきている。これは、被験者に薬や注射などを投与することなく、無侵襲で脳活動を測定できる「脳機能計測法」が発達したことによるもので、測定した脳の活動状態を入力信号として利用し、機器を動かそうという新しい試み。
同社が開発した脳機能計測法「光トポグラフィ」は、近赤外光を頭皮上から照射して脳活動に伴う局所的な脳血液量の変化を画像化できる技術で、被験者に計測用の専用キャップをかぶせるだけで脳活動の状態を測定することができる。
この光トポグラフィの原理を用いて、1999年に運動機能を失ったALS患者(筋萎縮性側索硬化症患者)が意思の伝達を行えることを確認し、2005年にはYes/No判定装置製品「心語り」を開発、エクセル・オブ・メカトロニクス株式会社により製品化された。
同社では、さらにこの技術を発展させて、身体を動かして機器を操作するのが困難な人々を支援する福祉機器向けの新しいマン・マシン・インタフェース技術の確立を目指し、研究を進めてきた。
今回、同社では、光トポグラフィを利用して脳内の血液量の変化を測定し、その測定信号を用いて機器を操作する無侵襲のブレイン・マシン・インタフェースの原理実験に成功した。これは、光トポグラフィの測定信号を使って、機器を駆動する新方式の開発により可能となったもの。今回、新たに開発した駆動方式により、福祉機器向けの新しいマン・マシン・インタフェース開発が加速すると見られている。
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