独立行政法人国民生活センターは、モニターテスト「電動3・4輪車の安全性」の結果を公表した。
「電動3・4輪車」は、「シニアカー」「電動カート」等とも呼ばれており、足腰などの身体能力が低下した高齢者などが、自分で操縦して利用する電動車いすで、3輪タイプと4輪タイプがある。道路交通法では、6km/hを超える速度を出すことができないなど道路交通法施行規則で定める基準に該当する電動3・4輪車は、「原動機を用いる身体障害者用の車いす」とされている。その利用者は歩行者として扱うこととされており、運転免許は必要ない。電動車いす安全普及協会によると、ここ数年は出荷台数がやや減少しているものの、2005年度は20,792台が出荷されている。
いっぽう、警察庁の調査によると、電動車いすの普及に伴い、高齢者が使用中の電動3・4輪車が関係した交通事故や他の交通とのトラブルは増加傾向にあり、交通事故では道路横断中の事故が最も多く、そのほとんどが自動車との衝突で中には死亡事故も起きている。また、操作を誤り道路下の用水路に転落して死亡した例や、ベビーカーとの衝突で赤ちゃんを負傷させ加害者になるケースも見られる。
また、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、「車いす」に関する事例のうち、電動3・4輪車に関すると思われるものが過去5年間に約40件寄せられており、その中には、「思ったより速度が速く、カーブで転倒しそう」「老父が乗っていたときに坂道でブレーキが利かず、石垣にぶつけて止め3針縫うけがをした」などの危害危険に関する事例や、「充電しても短時間で止まる、走行距離が短い」などのバッテリーに関する事例も見られた。
そこで、高齢者が操作を誤ることなく安全に利用できるかどうかを、実際のモニターテストにより調べるとともに、前回のテスト(2001年2月公表)で問題のあった手動ブレーキや緊急停止機構の有無と作動性が改善されているか等の点もテストした。8銘柄について道路交通法への適合、20名の高齢者によるモニターテストを中心とした安全性、操作性などを調査している。
調査の結果、安全面では、速度が道路交通法の基準を超え、危険と思われるものがあった。アクセルレバーに操作ミスを起こしやすいものがあり、着座しないとアクセルレバーを操作しても走り出さない安全機構が必要と考えられた。
アクセルレバーの誤操作による危険防止の緊急停止機構がないものや、装備していても握り方によっては働かないものがあった。クラッチを切ったときの制動機構を装備していないものがあり、坂道では特に危険だった。電動3・4輪車は自動車から見えにくく危険であることもわかった。そのほか、要充電表示が出るまでの走行距離は約8〜18kmで、バッテリーが切れるまでは全銘柄ともさらに4km以上の走行が可能だった。
消費者へのアドバイスとしては、「街中でスムーズな操作ができるようにとにかく練習をする」「アクセルレバーはなるべく片手で操作する」「下り坂では慎重な操作を心がける」「歩道では加害者になる可能性もあるので十分注意する」「自動車などからは見えにくいことを自覚する」「バッテリーの状態を常に把握しておく」などをあげた。
また、業界への要望としては、「最高速度や車体の大きさが道路交通法の基準を超えているものがあったので、早急な対策を」「着座しないと動かない機構などの安全装備の拡充」「確実に働く緊急停止機構やクラッチを切って手押しする際の制動機構の装備」「誤操作の少ない操作系の開発」「ポール等のオプション装備や車体側面にも反射素材などの装備」「講習の徹底」などをあげた。
行政への要望としては、電動車いすとして販売されていながら、最高速度や車体の大きさが道路交通法の基準を超えているものがあったので、改善指導を要望した。
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