株式会社日立製作所は、人の動きや脈拍、温度を24時間連続して測定・記録し、測定データを無線で安全にパソコンに配信できる、小型で身に着けやすい腕時計型センサネット端末と、測定データを用いてパソコン上で日々の生活リズムを図表として表示できるシステムを試作した。
日立は、センサ、電池、無線通信機能を持つセンサノードを無線ネットワークで結ぶ、センサネット技術を用いた新しいシステムとして、身につけたセンサを利用して日々の生活リズムを記録し、それを図表として可視化する「ライフ顕微鏡」を提案しているが、今回の開発した技術は、このライフ顕微鏡を実現する技術の一つとなっている。
今回試作した端末は、高齢者の見守りなどの目的で使用する製品として、先に日立が開発した従来製品の約半分の大きさで、従来製品同様に、人の動きや脈拍、温度を測定・記録し、測定データを無線で安全にパソコンに配信できるほか、新たに開発した、低電力での測定を可能にする技術と、高効率のデータ圧縮技術によって、様々な分析に利用できる緻密な計測データを長時間にわたって収集することが可能な端末。
また、測定データから、利用者の運動量や歩行数、睡眠時間を自動的に推定し、日々の生活リズムを図表として表示することや、無線通信機能付きの体重計と連動する機能によって、運動量と体重推移と関連付けて表示する技術など、利用者が日々の生活リズムを、客観的に把握するための可視化技術も新たに開発した。
動きや脈拍、温度といったデータを基に、日々の生活リズムを図表として表示できることにより、利用者が、測定したデータに基づいて日々の生活を客観的に振り返り、それまで見過ごしていた自己の生活習慣を観察し、見直すきっかけを提供できることから、今後、ヘルスケアサービスやライフスタイル改善を支援するツールなどへの展開を目指す。
近年、ユビキタス情報社会を実現する技術として、センサ、無線通信機能、電源を備えた小型端末を、人やモノあるいは建物などの測定対象に設置し、センサによって測定したデータを無線ネットワークで結ぶ、センサネット技術が利用され始めている。日立では、センサネット技術を用いた新しいシステムとして、身につけたセンサを利用して日々の活動を記録し、生活リズムを図表で表示する「ライフ顕微鏡」を提案してきた。
ライフ顕微鏡の基本コンセプトは、利用者が、測定したデータに基づいて日々の生活を客観的に振り返ることによって、それまで見過ごしていた自己の生活習慣を観察する機会を提供し、生活の改善につなげようというもの。
これを実現するためには、測定データを様々な分析に用いることができるように、24時間、利用者に無理な負担を与えることなく、活動に関わるデータを緻密に測定するとともに、利用者にわかりやすい情報として提供することが重要となる。
日立では、2005年に、遠隔地の高齢者の生活見守りや、脈波の感知による健康管理を目的として、人の動きや脈拍などを測定する腕時計型センサネット端末を実用化してきたが、ライフ顕微鏡用の端末として利用するには、高い頻度での測定や、24時間以上連続して利用できる電池寿命、測定データをもれなく記録できる性能と、測定で得られた波形データから利用者に有用な情報を提供できる可視化技術が必要とされていた。
そこで、今回、日立は、ライフ顕微鏡用端末として、新たに小型でかつ長時間連続して使用可能な腕時計型センサネット端末を試作するとともに、測定したデータを有用な情報として利用者に提供できる可視化技術を開発した。
新たに開発した技術では、3軸加速度/脈波形/温度センサ、マイコン、無線モジュール、表示器、メモリ、電池ほかを、生活防水の小型軽量の腕時計型ケース(43×35×15mm、40g)に搭載した。
今回、測定時の消費電力を効果的に削減する技術を開発し、従来比約10倍で、連続動作にも十分な対応できる電池寿命を実現し、毎秒20回の頻度で測定できることから、非常に精密なデータを測定することができる。さらに、外出先などの無線通信の圏外での活動データをもれなく収集するために、測定データを高効率に圧縮してメモリに保存する技術を開発した。
腕時計型センサネット端末で測定、収集された各種の波形データは、無線通信を使って安全にパソコン内のデータベースに格納される。それらのデータを解析して運動量や歩行数、睡眠時間などを推定し、日頃の活動状況の目安となる指標として推移を可視化する。
また、運動量や歩行数を体重の推移と連動させた表示も可能。さらに、日々の生活リズムの推移を可視化する手法として、加速度センサによる測定データを周波数解析し、周波数成分を色分けして毎日の活動状況の推移を表示する「ライフ・タペストリー」を開発した。
無線機能付きの体重計で測定した体重データを、腕時計型センサネット端末で自動的に受信可能な機能を試作した。端末を装着したまま体重を測定すると、体重データが自動的に記録される。利用者が体重を毎日記録する作業を軽減するとともに、端末上で体重推移や目標達成度を確認することや、パソコン上で他の測定データと連動させた解析が可能となっている。
なお、今年6月から、日立の中央研究所にて勤務する約20名の社員の協力を得て、ライフ顕微鏡の実証実験を行っている。今後は、この実証実験で得られた知見をもとに、利用者が自己の生活活動を客観的に観察した結果、その後の行動にどのような影響を与えていくかなど、効果の定量評価を行っていく予定。
また、体重計と連動して利用できることから、現在、日立が開発を進めている減量プログラム「はらすまダイエット」遠隔指導支援システムとの連携による減量指導への適用可能性も検討していく予定としている。
|