株式会社日立製作所コンシューマ事業グループは、重度の身体障害がある人のQOL(Quality
Of Life:生活の質)向上を支援するため、これまで販売してきたALS(Amyotrophic
Lateral Sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)患者などの重度障害者用意思伝達装置「伝の心」について、Windows
Vistaに対応するとともにソフトウェアを全面改訂した「伝の心」バージョンV(ファイブ)を製品化した。
今回発売する製品では、意思伝達装置のベースとなるパソコンのOSをWindows
Vistaとした。また、ソフトウェアの全面改訂を行なうことにより、従来モデルに搭載されている各種機能の拡充を行なったほか、DVD操作機能を新たに追加している。製品は株式会社日立ケーイーシステムズにて11月1日から受注を開始する。
ALSは、脊髄の運動神経が侵され、全身の筋肉の萎縮が起こる進行性の神経筋難病。初期症状としては、足がもつれる、うまく話せないなどの症状が起こり、症状が進むと、歩けなくなったり、筆談や発語、さらには呼吸ができなくなる。
しかし、脳機能は衰えないため、相手の言うことは分かっても答えることができない、自分の考えを伝えられないなど、コミュニケーション上の問題が起こる。病気の原因も治療法も不明で、厚生労働省の「特定疾患」に指定され、全国で約7,000人の患者がいるといわれている。
同社では、1997年12月から、ALS患者の人を主な対象とした意思伝達装置「伝の心」を製品化している。「伝の心」は、文章作成、身の回りの機器(赤外線リモコンで操作できる機器が対象)の操作、離れた人とのコミュニケーション(電子メールやホームページの利用)を基本機能としている。
「伝の心」の操作は、カーソルがディスプレイ上に表示された文字盤やメニュー等の上をスキャンする(自動的にカーソルの位置が動く)ように設定してあり、メニューや文字盤の希望の項目にカーソルが移動したときに、患者自身が身体の一部をわずかに動かすことでスイッチを押して、その項目を選択して行なう。2007年8月までに約3,900台を出荷している。
現在パソコンのOSはWindows Vistaが主流となっているため、今回、「伝の心」のベースとなるパソコンのOSをWindows
Vistaにした。Windows Vista特有のAero(エアロ)機能やサイドバー表示は、「伝の心」バージョンVは利用しておらず、また、「伝の心」バージョンVは従来のWindows
XPを搭載したパソコンでは動作しない。
現行の「伝の心」のメニューの表示は梯子状の階層表示だが、アイコンメニューをパネル(縦×横)表示に変更し、従来から要望の多かったメニューの編集(メニューの変更・追加、文字やイラストの変更・追加など)を可能にした。
各種操作で文字盤を統一し、一行毎のスキャンのほかにブロック単位のスキャンも選択可能にした。また、文書作成などで文字盤メニューが文書表示領域に重ならないようにした。現行の「伝の心」では、操作によって異なる文字盤を表示し、文字盤の操作ボタンの配列や機能に違いがあるなど、使いにくいとユーザーからの意見が多く、今回見直しを行なった。
漢字変換では、変換文節の変更を可能にした。現行の「伝の心」では先頭文節の再変換だけが可能だが、今回のモデルから、変換対象の文節の移動や文節長(文字数)の変更が可能となり、複数文節のひらがな入力を、希望する漢字交じり文章に変換できる。
パネルメニュー15項目×3階層で、最大3,375個の日常使用文が登録できる。さらに用途に応じて15項目×3階層×2セットの日常使用文が追加登録できる。従来は梯子メニュー10項目のみだったことから、大幅に項目数の拡充を行った。
文書ファイルにリッチテキストフォーマット(.rtf)を使用することにより、フォントのタイプ・サイズ・色などの指定や、アンダーライン・取消線などの利用、写真などの画像挿入が可能となった。
パネルメニュー20項目×3階層が利用可能となった。ひとつのパネルで多くの操作が一覧でき、各パネルで学習追加やメニュー入れ替えができるので、多くの機種とボタンを利用できる。従来は梯子メニュー既定6機種+学習9項目×3セットだった。
メールの新規作成、返信などの操作性を向上すると共に、メールの整理・保存・印刷やメールアカウントの複数利用などパワーユーザー向けの機能も追加した。
ワイド画面とドッキングバー(画面左端にメニュー表示する)を利用してホームページ画面やデスクトップ画面を全表示し、より通常のパソコン操作に近い機能を実現している。また、ホームページの印刷も可能になった。
DVDソフトで映画や音楽を視聴するための専用メニューを追加。パソコン内蔵のDVDドライブにメディアをセットし、「伝の心」専用のDVD操作メニューを選択することで、手軽に映画や音楽を楽しむことができる。
「伝の心」バージョンV

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