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生命保険の販売トラブルが高齢者に急増
−国民生活センター、子や孫を被保険者とした悪質なケースなどが明らかに−
2007/09/28(Fri.)
独立行政法人国民生活センターは、高齢者に急増している生命保険の販売トラブルに関する情報を公開した。
全国の消費生活センター等に寄せられる生命保険に関する相談をみると、最近の傾向として、契約者の高齢化がみられ、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)によると、高齢者の生命保険契約に関する相談は急増しており、今年度は、昨年度を上回るペースで相談が寄せられている。
相談事例をみると、契約内容に関する不十分な説明や、高齢者に適合しない保険の販売など、営業職員や代理店の販売方法に起因するトラブルが多い。なかには、子や孫を被保険者とする保険を高齢者に契約させ、年数百万円もの高額な保険料を支払わせるなど、非常に問題のあるケースが一部の生命保険会社に見られる。
消費者トラブルを防止するために、生命保険会社は2006年10月より、「契約概要」(商品の仕組み、保険期間、主な支払事由・免責事由など、消費者が保険商品の内容を理解するために必要な情報)、「注意喚起情報」(クーリングオフや告知義務など、保険会社が消費者に対して注意喚起すべき情報)を契約時に顧客に提供している。
また、2007年4月からは「意向確認書面」(購入しようとする保険商品がニーズに合致しているものかどうかを消費者が契約締結前に最終的に確認する機会を確保するために、ニーズに関して情報を収集し、保険商品がニーズに合致することを確認する書面)を順次作成、顧客へ交付している。
こうした様々な取り組みが各生命保険会社では行われているところだが、高齢者を対象とした販売勧誘ルールを設けていない生命保険会社も存在する。
PIO-NETによると、生命保険に関する相談は近年、増加傾向にあり、2006年度には9255件の相談が寄せられた。相談内容をみると、営業職員や代理店の販売方法に問題がある相談が増加しており、最近では、生命保険に関する相談の約30%となっている。
契約者の年齢をみると、70歳以上の相談は年々増えており、2006年度は全体の約20%が70歳以上の相談だった。今年度(4月〜7月)はすでに650件の相談が寄せられており、前年同期(2006年4月〜7月)の相談件数288件を大幅に上回っている。また、契約等をした時点での年齢をみても、70歳以上の高齢者契約の相談は増加傾向にある。
高齢者の生命保険契約に関する相談をみると、「資産運用や個人年金をうたった保険を勧誘されている」「子や孫を被保険者とする保険を契約させられている」「本人の意に反して、契約内容を書き換えられている」「高額な保険料を支払わされている」といった特徴がみられる。
「資産運用や個人年金をうたった保険を勧誘されている」というケースは、「資産運用」や「個人年金」をうたって、個人年金保険や、保障型の保険を年金型に移行する等の一般的にも理解が困難と思われる複雑な仕組みの保険を、高齢者に契約させている保険会社があるというもの。
契約期間が20年以上、年金の最終的な受け取りが100歳を超える保険契約も見られるが、保険会社は、最終的には支払った保険料総額相当分が年金の形で支払われるといった設計プランを示し、元本保証を希望する高齢者に、元本保証があるとして勧めている。しかし実際には、中途解約すると、解約返戻金が支払った保険料総額を下回る(「元本割れ」する)おそれがある。
保険会社は、こうした中途解約時のリスクを高齢者に認識させていない。そもそも、病気やケガなどに備えて、いつでもすぐに使えるお金が必要な高齢者に、契約期間が10年以上と長期にわたる保険や、中途解約すると「元本割れ」するおそれがある保険を契約させることに問題があることが指摘されている。
「子や孫を被保険者とする保険を契約させられている」というケースは、入院・手術費用や葬式代など、万が一の出費に備えて保険への加入を希望しても、高齢者は年齢や健康状態を理由に被保険者になれないことが多い。こうした被保険者となれない高齢者に、高齢者が希望していないにもかかわらず、子や孫など本人以外の人を被保険者とする保険を契約させる手口が一部の保険会社にみられるというもの。
このとき保険会社は、本人以外の人が被保険者となることを高齢者に十分説明したり理解させることなく契約させていることが多いため、高齢者は希望どおり自分を被保険者とする保険契約をしたと誤解している。多くの場合、高齢者には子や孫を被保険者とする保険を契約したいという意思はなく、また、子や孫には自身が保険料を支払ってまで保険契約を継続したいというニーズはない。
このように、被保険者になれない高齢者に契約させるために、希望していないにもかかわらず子や孫を被保険者とし、そのことを認識させずに高齢者に契約させている保険会社の手口は、非常に問題とされている。
「本人の意に反して、契約内容を書き換えられている」というケースは、数十年前に契約した保険について、馴染みの営業職員を信頼して勧められるまま契約内容を変更したが、意に沿わない内容であったというもの。この場合、営業職員は、変更後の契約内容や、変更に伴うデメリット(変更内容によるが、例えば、前の契約の保障は継続しないこと、保険料が上がることなど)を高齢者に理解させていない。なかには、希望していないにもかかわらず、勝手に変更させられたという相談も見られる。
「高額な保険料を支払わされている」というケースは、月数万円の保険料でも、年金暮らしの高齢者にとっては、日々の生活に大きく影響する金額となり、年数百万円もの保険料を数年間にわたって支払う保険契約も見られるが、概して余裕資金があるわけではなく、なかには老後の資金を取り崩すことで、何とか保険料を支払っていた高齢者もいるというもの。
保険会社は、高齢者の収入や資産(余裕資金)といった支払能力に比べて、高額な支払いを高齢者にさせているケースがある。また、高齢者は「(保険料を支払うという)約束を守らなければいけない」との気持ちで支払いを続け、その結果、「もうこれ以上、保険料を支払えない」という状態に陥ってしまう。自分の生活を守るつもりで加入したはずの生命保険が、反対に、高齢者の生活を脅かすことになっており問題とされている。
同センターでは、高齢者の保険契約にあたっての注意点として、「複雑な仕組みの保険を、高齢者一人で契約することは避け、家族など周りの人に相談するなど、熟慮したうえで契約すること」「年齢や健康状態等から、無理をして高額な保険料を支払ってまで保険に加入する必要があるか、よく考えること」「万が一トラブルにあったり、契約内容がおかしいと思ったら、なるべくはやく最寄りの消費生活センター等に相談すること」という3点をあげている。
また、高齢者トラブルの拡大を防ぐために、社団法人生命保険協会に対し、会員各社に、「営業職員等は適合性原則を遵守し、説明責任を果たすこと」「高齢者への販売勧誘ルールを設け、遵守すること」「契約内容が高齢者に適合したものなのか、実質的に審査機能を果たすこと」「営業職員等の教育に、より一層取り組むこと」といった点を徹底するよう要望した。
独立行政法人国民生活センター概要
ホームページ:
国民生活センター
所在地:東京都港区高輪3-13-2
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