独立行政法人国民生活センターは、クレジットを利用した相談を中心とした「次々販売のトラブル」についての情報提供を行なった。
2005年に埼玉県富士見市で発生した認知症の姉妹に対して次々と契約させた住宅リフォーム工事等をきっかけに、一度契約をした消費者をターゲットに、同じ事業者や別の事業者が次々に新たな契約をさせる次々販売について社会の関心が高まっている。また、各地の弁護士会等で和服や寝具等の次々販売に関する被害相談を実施するなど、その問題点が注視されている。
全国の消費生活センターに寄せられた次々販売に関する相談は、2006年度には16,113件寄せられており、2005年度(18,843件)のピークより若干減少してはいるものの相談全体に占める割合は前年度とほぼ同水準となっている。契約当事者は60歳代以上が約半数を占め、また、販売信用(クレジット)を利用したケースは約60%となっている。そこで、現在、特定商取引に関する法律や割賦販売法の改正の議論が行われていることから、販売信用との関係等について分析し、消費者被害の未然・拡大防止のための情報提供を行なった。今回、2001年度から2007年度のデータ(100,970件)について分析した。
契約当事者の年代別内訳をみると、60歳代以上が約半数を占めている。また、20歳代・30歳代の若年層の相談も約39%と多い。契約当事者を男女別にみると約64%が女性で、男性よりも多い。特に60歳代以上では、男性が約25%であるに対し、女性が約75%となっている。
販売購入形態別に相談件数をみると、「訪問販売」が約60%、次いで「電話勧誘販売」が16%となっている。60歳代以上の高齢者層でみると、「訪問販売」が圧倒的に多く約80%を占め、在宅率の高い層をターゲットにしていることがうかがえる。
次々販売では、ふとん類やアクセサリー、エステティックサービスに関する相談が上位にあがっている。60歳代以上の高齢者層では、住宅関連(リフォーム工事、床下換気扇・浄水器・乾燥剤)や健康食品といった商品が目立つ他、実際の価値が把握しにくい和服やアクセサリーの相談も多く寄せられている。年度別にみると、リフォーム工事は減少傾向にあるが、和服に関する相談は増加傾向にある。なお、20〜30歳代では、エステティックサービスや資格関連(教養娯楽教材や資格講座)に関する相談が多くなっている。
次々販売では、現金即時払いが約30%なのに対して、販売信用(クレジット)を利用しているケースは約60%と倍以上になっている。年度別にみても、2006年度では9,809件と件数自体は減少しているものの、割合は60.9%と上昇している。また、販売信用の内訳をみると、「個品割賦購入あっせん契約」が90%以上を占めている。「個品割賦購入あっせん契約」のうち60歳代以上の相談は約40%(19,302件)で、そのうちの約80%(15,089件)が訪問販売で契約している。
訪問販売等の不意打ち性が高い強引な勧誘や虚偽の説明により締結してしまった契約を解約したいという相談が多く寄せられている。同じ人が度重なる被害を受けていることから、支払いが困難になってしまっているケースも少なくない。特に、高齢者層では、過量な販売や判断力の不十分な人に対して契約を迫っているケースも多く、適正な勧誘であったのか疑問が残り、適合性を欠くと思われる契約も目立っている。
次々販売に関する相談事例をみると、事業者は訪問販売や電話勧誘といった不意打ち性が高い方法で消費者に近づき、長時間にわたる勧誘や強引な勧誘、虚偽の説明により、消費者を困惑させ、冷静な判断ができない状況で契約させている。一度契約してしまうと、それに派生して勧誘が度重なることから、過量な販売になりがち。その結果、支払い困難に陥ってしまっている消費者も少なくない。特に、高齢者層では、判断力の不十分な人に対して契約を迫るなど、適正な契約であるとは言い難い例も目立っている。
次々販売における60歳代以上の職業をみると、90%が無職か家事従事者だった。販売方法に問題があるだけでなく、支払能力を超えた過剰な与信、年金生活者や判断力が十分でない高齢者への不適正な与信が被害を拡大させたと思われるケースも目立つ。クレジット会社が個人信用情報機関等に照会し消費者の支払能力の確認・調査を行い、適正なクレジット審査を行っていたか疑問が残るケースも少なくない。複数のクレジット会社を使い分けて高額な契約を締結させ、多額の負債を負わせている例もみられる。特に新たな収入の見込みがない高齢者の場合、多額な経済的被害を受けるとダメージが大きく、既払金を回収できないと被害回復は困難となる。
次々販売では、販売信用の中でも「個品割賦購入あっせん契約」を利用しているケースが90%以上を占めているが、「個品割賦購入あっせん契約」の場合、クレジット会社の加盟店調査や管理の問題がある。これについては、これまで経済産業省が複数の通達により対応してきているが、トラブルの実態をみると、通達だけでは不十分と言わざるを得ない。
同センターでは、消費者へのアドバイスとして、「不要な勧誘はきっぱり断る」「説明を鵜呑みにせず、冷静に検討する」「悪質商法の被害に遭わないよう周囲の人も協力する」「トラブルに遭ったら最寄りの消費生活センターに相談する」の4点をあげている。
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