厚生労働省は、2006年度における養護者と養介護施設従事者等による高齢者虐待への対応状況等を把握するための「2006年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」の確定版を公表した。
2006年度、全国の1,829市町村(特別区を含む)で受け付けた養介護施設従事者等による高齢者虐待に関する相談・通報の総数は、273件だった。
相談・通報者の内訳は、「親族」が24.5%と最も多く、次いで「当該施設職員」が23.1%、「当該施設元職員」が10.6%だった。なお、「本人による届出」は4.0%だった。
相談・通報総数273件のうち、訪問調査(介護保険法または老人福祉法に基づく立入検査等を含む)等により事実確認を行ったのは243件で、そのうち、「虐待の事実が認められた」または「都道府県と共同して事実の確認を行う必要がある」との理由により市町村から都道府県へ59件の報告があった。
市町村から都道府県へ報告があった事例59件のうち、市町村からの依頼または都道府県の判断により一部の事例について改めて事実確認を行った結果、最終的に「虐待の事実が認められた事例」が49件、「虐待ではないと判断した事例」または「虐待の事実が確認できなかった事例」が合わせて10件だった。
市町村から都道府県へ報告があった59件のほかに、都道府県が直接、相談・通報を受け付けた事例が30件あり、「後日、事実確認予定または対応検討中」の4件を除く26件について都道府県が事実確認を行った結果、「虐待の事実が認められた事例」が5件、「虐待ではないと判断した事例」が4件、「虐待の事実が確認できなかった事例」が17件だった。
虐待の事実が認められた事例は、市町村から都道府県へ報告があった事例では49件、都道府県が直接把握した事例では5件で、これらを合わせた総数は、54件だった。
虐待の事実が認められた54件の事例を対象に、施設・事業所の種別、虐待の種別・類型、虐待を受けた高齢者と虐待を行った養介護施設従事者等の状況等について集計を行ったところ、「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が35.2%と最も多く、次いで「介護老人保健施設」と「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」が18.5%だった。
また、「身体的虐待」が74.1%と最も多く、次いで「心理的虐待」が37.0%、「介護等放棄」が13.0%だった。性別では全体の約80%が「女性」、年齢では全体の約70%が「80歳以上」だった。
虐待を行った養介護施設従事者等の年齢では「40歳未満」が半数以上で、職種では「介護職員」85.9%、「看護職員」7.8%の他に、「管理者」「施設長」と「開設者」が合わせて6.3%だった。
虐待の事実が認められた事例54件に対して、都道府県または市町村等が行った対応は、介護保険法または老人福祉法の規定による権限の行使として、「報告徴収、質問、立入検査、指導」が48件行われたほか、人員、設備と運営に関する基準等が遵守されていないことに伴う「改善勧告」4件、「改善命令」1件と「指定の停止」1件が行われた。
2006年度、全国1,829市町村(特別区を含む)で受け付けた養護者による高齢者虐待に関する相談・通報総数は、18,390件だった。
相談・通報者は、「介護支援専門員・介護保険事業所職員」が41.1%と最も多く、次いで「家族・親族」が13.4%、「被虐待高齢者本人」が12.1%だった。
相談・通報総数18,390件のうち、91.1%に当たる16,758件で訪問調査等の方法で事実確認が行われた結果、市町村が虐待を受けた、または受けたと思われたと判断した事例(虐待判断事例)の総数は、12,569件だった。
虐待判断事例総数12,569件を対象に、虐待の種別・類型、被虐待高齢者の状況と虐待への対応策等について集計を行ったところ、「身体的虐待」が63.7%と最も多く、次いで「心理的虐待」が35.9%、「介護等の放棄(ネグレクト)」が29.5%、「経済的虐待」が27.1%、「性的虐待」が0.6%だった。
被虐待高齢者の性別では「女性」が全体の4分の3以上、年齢階級別では「80-89歳」が全体の40%を占めていた。虐待者との同居・別居の状況は、「同居」が84.2%と、80%以上が虐待者と同居だった。
被虐待高齢者からみた虐待者の続柄は「息子」が38.5%と最も多く、次いで「夫」が14.7%、「娘」が14.5%の順だった。
虐待への対応として「被虐待高齢者の保護と虐待者からの分離を行った事例」が35.6%と、約3分の1強の事例で分離が行われていた。いっぽう、「被虐待高齢者と虐待者を分離していない事例」は60.0%だった。
分離を行った事例の対応は、「契約による介護保険サービスの利用」が36.0%と最も多く、次いで「医療機関への一時入院」が20.2%、「やむを得ない事由等による措置」が13.6%の順だった。
分離していない事例の対応の内訳は、「養護者に対する助言・指導」が42.1%と最も多く、次いで「被虐待高齢者に対するケアプランが見直された上で、被虐待高齢者が介護保険サービスを継続して利用」が24.5%、「見守り」が22.4%だった。
2006年度に発生し、「介護している親族による、介護をめぐって発生した事件で、被介護者が65歳以上、かつ虐待等により死亡に至った事例」として、市町村で把握している事例について情報提供を求めた。その結果、事件数と被害者数は「養護者の虐待による被養護者の致死」16件16人、「養護者による被養護者の殺人と心中」が15件16人で、合わせて31件32人だった。
市町村における高齢者虐待防止対応のための体制整備等については、「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の設置」が91.4%、「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の住民への周知」が67.3%と最も実施率が高かった。
いっぽう、「老人福祉法の規定による措置に必要な居室確保のための関係機関との調整」が39.9%、「早期発見・見守りネットワークの構築への取組」が38.6%、「法に定める警察署長に対する援助要請等に関する警察署担当者との協議」が32.1%、「保健医療福祉サービス介入支援ネットワークの構築への取組」が23.6%、「関係専門機関介入支援ネットワークの構築への取組」が19.6%で、地域における高齢者虐待対応に関する関係機関等との連携や調整が必要な項目については、市町村内部の体制整備や住民と介護関係施設・事業所への法の周知等に比べて実施率が低かった。
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