パラマウントベッド株式会社は2007年11月から2008年3月にかけて、全国の病院、社会福祉施設等の看護・介護職員の人々に、腰痛の発生と予防の実態に関するアンケートを実施し、458名から回答を得た。その結果、約60%の人が現在腰痛を抱え、約90%の人に腰痛経験があることがわかった。また、腰痛について医療・介護の現場における現状と予防のためのベッド機能の利用状況についても併せて調査した。
2008年2月6日に厚生労働省より、「職場における腰痛発生状況の分析について」と題する通達が出された。この通達は腰痛予防指針に則った一層の取組を促すもので、特に発症率の高い社会福祉施設については、適正な介護機器の活用等により介護労働者の負担を一層軽減する作業方法を積極的に取り入れるよう求めている。
調査は、全国の病院・社会福祉施設等20施設で看護・介護・リハビリ業務に携わる人を対象に、直接アンケートを配布し、その場で回答してもらった。回答者数の割合は業務内容別に看護64%、介護25%、リハビリ11%となっている。また、経験年数をみると新人からベテランまで幅広く分布している。
現在腰痛があるかどうか、現在の業務についてから腰痛の経験があるかを調査したところ、職員の58%の人が現在腰痛を抱え、また現在の業務についてからこれまでに腰痛の経験がある人は88%に上ることがわかった。
現在の業務についてから腰痛が原因で仕事を休んだことがあるかを聞いたところ、「ある」は13%、「ない」は87%となっている。
患者と利用者の支援に関わる14の業務について、腰への負担がどの程度かかるのかを5段階で評価してもらったところ、特に腰への負担を感じるのは、ベッド上でずれた体を頭側に引き上げる介助、ベッドから車いす・ポータブルトイレ(PT)・ストレッチャーへの移乗動作、入浴介助、おむつ交換などだった。
現在、病院や社会福祉施設には高さ調節機能付きのベッドが多く導入されている。体位交換などベッド上での介助をする際、腰をかがめずに作業ができる高さに調節すると腰への負担が軽減される。
この機能を実際に活用しているかどうかを、電動ベッドの場合と手動ベッドの場合とで区別して聞いたところ、電動ベッドでは「必ず使う」人が約32%、「時々使う」方を含めて約75%の人が活用しているのに対し、手動ベッドでは、「必ず使う」が約18%、「時々使う」を合わせても約55%となっている。電動ベッドと手動ベッドとでは、活用の程度に違いがあることがわかった。
電動ベッドでは手元スイッチで簡単に操作できるが、手動ではハンドルを手回しする必要がある。忙しい業務のなかで、時間がかかる、ハンドル操作時に腰をかがめるので操作しにくい、などの理由から、手動ベッドでは活用が少ないと考えられる。
腰痛予防への関心をたずねたところ、「大いにある」54%、「まあある」31%、「あまりない」3%、「全くない」2%、無回答11%となった。また、腰痛を防ぐことが「ケアの質を高めること」につながるかでは、「強くそう思う」41%、「まあそう思う」38%、「あまり思わない」5%、「全く思わない」0%、無回答15%だった。約80%がケアの質を高めると考えている。
腰痛予防のために実行していることを自由回答で聞いたところ、「湿布を貼る」「マッサージをする」など対処療法的な回答が多くあった。また、予防のための用具の活用については「よいものがあれば教えてほしい」といった意見も聞かれ、腰痛については現場でも悩みの種となっている実態が明らかになった。
いっぽう、同社において「ベッド上に寝ている人を頭側に引き上げる介助」を行った際に腰にかかるトルク(負担)を比較調査したところ、床からのマットレス面高さ35cmに比べ同70cmのほうが、約20%少ないという結果が出た。腰痛予防策の一つとしてベッドの高さ調節機能の利用率を上げていくことが望まれる。
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