東京都が、小規模多機能型居宅介護について、都内をはじめ近隣の埼玉県、千葉県と神奈川県の事業所に対し、利用者実態や運営状況の調査を実施したところ、利用者・登録者が少なく、事業所の約3分の2が赤字経営であることがわかった。
「小規模多機能型居宅介護」は、2006年度の介護保険制度の改正により創設された地域密着型サービスの一つで、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、「通所」を中心に、必要に応じて「訪問」や「宿泊」を組み合わせたサービスを、同じスタッフが一体的・継続的に提供するもの。
登録者数の分布をみると、要介護2以下の割合が東京都で47%、3県で46%と半数弱を占める。併設サービスは、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)が最も多い。
建物の整備方法は、創設と改修が半々で、1事業所当たりの整備費の平均は3,815万円(東京都)、2,012万円(3県)だった。宿泊室の数は1事業所当たり平均4.96室(東京都)、5.49室(3県)となっている。宿泊室の平均稼働率は、41.8%(東京都)、37.7%(3県)で、開設前の稼働率見込みを大きく下回っている。
要介護度別・認知症自立度別サービスの利用状況についてみると、いずれの要介護度においても、「日中の通い」「日中の訪問」「夜間の宿泊」「夜間の訪問」のうち、「日中の通い」の利用が主力で、利用者の割合が圧倒的に多い。
小規模多機能型居宅介護は、類似サービスである短期入所・通所介護に比べ、要介護1、2の報酬設定が著しく低いのが特徴だが、2007年9月1か月間のサービス利用回数を要介護度別で比較した場合、要介護3の利用回数を1としたときの、要介護1の指数は0.83、要介護2の指数は0.96で、介護報酬のような大きな差はみられなかった。
各事業所における登録率(登録者数/登録定員数)は低く、平均で62.7%(東京都)、48.1%(3県)だった。定員との乖離の理由は、「登録者を募集しても集まらない」が約半数。
登録者確保の取組として、ほとんどの事業所がケアマネジャーに対する働きかけ(施設見学の呼びかけ等)を行っているが、そうした取組を「効果あり」とする事業所は半数弱(東京都)にとどまる。
経営状況についてみると、2007年9月1か月の収支において、事業所のおよそ3分の2が赤字で、開設後時間が経っていない事業所ほど経営が苦しい傾向にある。開設後1年以上経過した都内事業所6事業所のうち、黒字に転換した事業所は2事業所にとどまる。
職員配置についてみると、小規模多機能型居宅介護においては、緊急の夜間訪問に対応するため、宿直の配置が義務付けられているが、緊急要請による訪問は、1事業所1か月当たりで0.79回(東京都),0.76回(3県)と非常に少ない。
看護師の給与は介護職員の給与に比べ正規職員で平均1.1倍、非正規職員で平均1.5倍の費用をかけているが、看護師固有の業務が「ない」とする事業所が約30%だった。
|