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介護ジャーナリスト小山朝子の新介護論
連載/第三回 市民講座レポート(2)
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小山朝子の在宅介護はまかせなさい!!
第6回 介護お悩み相談室・パート1
肉体的にはもちろん、精神的にも負担が多いと言われる在宅介護。
「毎日笑って」とは言えないまでも、いつもの介護がほんの少し楽になる、疲労と悩みがたまった暗い表情にふっと笑みがこぼれるようなコラムを現役介護家族の小山朝子がお届けします!
頑固で家族に暴力を振るう父。介護する母の体力も限界です。
 在宅介護の問題に直面したとき、本人の要介護はもちろん、家庭の環境もそれぞれ異なるため、サイト上や雑誌などのパブリシティで回答を提示することは難しいと言えます。
 しかし、在宅介護を社会的な課題として捉えていくことが必要な現在、個々の問題をどう解決していくか、ひとりひとりが自分の問題として考えていくことは重要なことだと言えます。
 ここでは、読者のみなさんから寄せられた具体的な事例を考えてみたいと思います。
質問者イメージ

はじめまして。
私は子供をもつ主婦です。現在は、夫の仕事の関係があり、海外で暮らしています。
相談したいのは父のことです。

私には今から5年前の夏に脳梗塞を発病した父がいます。
父は医師に「5年持つかわからない」と言われながらも死を逃れ、徐々に回復していきました。その後、歩行は不自由になったものの、ほかの身体機能はダウンすることもなく、順調に過ごしているようでした。
父が発病したとき、私は日本に帰国していましたが、また後ろ髪を引かれる思いで、子供とともに夫の待つ海外へ戻りました。

発病後半年経って、父は自宅に帰ることになり、母が在宅での介護を担うことになりました。しかし、以前から内弁慶で頑固者の父の介護に母は精神的に追い詰められ、過労で一年間のうち2回も入院してしまいました。
ちなみに、私たちには頼れる親戚もいません。
さらに、私には知的障害のある弟がおり、実家で両親とともに暮らしています。
この弟に父は杖を振りかざして叩いた上、はさみを振りかざすという暴力沙汰まで起こしたというのです。
そのときは、ご近所の方に助けられ、その場は無事におさまったようです。
この一件の後、福祉の方が家にきてくれることになり、デイケアに通う手配までしていただいたのに、父は一度行ったきりでやめてしまいました。

こういうことが起こってしまうと、あの時父が亡くなってしまったほうが良かったと思ってしまいます。
夫の海外赴任も終わり、私はもうすぐ日本に帰国することができます。
これからは苦労が多かった母を助けたいと思う気持ちはありますが、私には嫁ぎ先があり、学齢期の子供もいます、しかも、実家に行くまでには2時間かかってしまい毎日通うのは不可能です。
どうしたら良いのか本当に悩んでいます。


在宅介護の場合は、まず介護するご家族の心身面を第一に考えるべきではないでしょうか。
このケースの場合、相談者のお母様の負担が重すぎるように感じます。
お父様の介護、さらに知的障害のある弟さんのお世話をするのは、心身ともにかなり酷使しているのではないでしょうか。
お母様は、過労で年に2回も入院されたとのことですが、この先も同じ状況が続けば、お母様にも介護が必要になる危険性を感じます。

さらに、文中には「福祉の方が家に」とあります。この方がどのような立場の方なのか明確ではありませんが、お父様が訪問介護(ヘルパー)などの介護サービスを利用されているようであれば介護サービスの調整をお願いしているケアマネジャーに相談してみましょう。または、お住まいの地域にある在宅介護センターや社会福祉協議会でも相談に応じてくれます。
 
お父様は施設の利用を検討されたものの、一度デイサービスを利用したきりで行かなくなってしまったようですね。
しかし、介護するお母様の負担を考えたとき、やはり施設の利用は賢明な選択のように思われます。
そのことをお父様にも理解できるように説得するのは、娘である相談者の役割かもしれません。ご自分で説得するのが難しい場合は、先ほど述べたような第三者の手を借りることを考えましょう。

ちなみに、デイサービスというのは、いわゆる「通所型」のサービスのひとつで、一日のうちの数時間、利用者の食事や入浴の世話、レクリエーションなどをしてくれます。この間、家族は休養することができます。
しかしながら、介護する人の体調が思わしくない、さらに、家族のなかにほかにも世話を必要とする人がいるといった今回のケースのような場合は、通所型ではなく、常時ヘルパーや看護師による介護が受けられる特別養護老人ホームへの入所なども視野に入れて考えてもよいかもしれません。

この場合、「入所させたらそれきり」と考えるのではなく、お母様の心身面での回復が見込まれた場合は、再び在宅での介護を検討してもよいのです。
介護の問題を考えるとき、「これだ」というひとつの答えに固執すると、介護を受ける人も、介護をする人も精神的に追い込まれてしまいがちです。
お年寄りの体の機能は変化が著しいこともあり、その時その時で柔軟に対応してゆく姿勢が望まれるように思います。

回答者イメージ

プロフィール
小山さん写真 小山朝子(こやまあさこ)

ジャーナリスト。東京都目黒区生まれ。
高齢者の医療、介護をテーマに執筆を行う。
祖母を約9年にわたって介護した経験から、
一当事者として発言する機会も多い。
現在は全国各地での講演活動に力を入れ、
新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどでのコメンテーターもつとめる。

「朝子の介護奮戦記」、「イラスト図解アイデア介護」(全5巻)、「ケアマネジャー 必須書類の書き方  完璧マニュアル」ほか著書多数。
出演番組は、NHK「福祉ネットワーク」、ニッポン放送「ラジオケアノート」など。

財団法人日本訪問看護振興財団 「在宅ケア・訪問看護エッセイ」
最優秀賞受賞(2006年)
高齢者アクティビティ開発センター 講師・評議員
東京大学医療政策人材養成講座 第4期生

小山朝子の公式サイト
 


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