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介護ジャーナリスト小山朝子の新介護論
連載/第二回 望まれる在宅サービスの専門性(2)
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介護ジャーナリスト小山朝子の新介護論第三回 市民講座レポート(1)「介護をささえる、家族をささえる ー医療・介護ニーズが高い在宅療養者と家族への支援ー」
介護保険制度が改正され、2006年4月から全面施行されました。
介護を社会で支えるという基盤は整ったものの、制度ではカバーできない問題も少なくなく、介護サービスの利用者や家族のニーズが汲み取られていない実情も感じます。
行政、介護を担う家族、在宅・医療機関・施設の現場で働く関係者、そして地域の住民やボランティアなどのインフォーマルな力が、ひとつの輪となって介護を支える社会をつくるために――。
このコーナーでは、「これからの介護」をみなさんとともに考えていきたいと思います。
連載:医療ニーズが高い人と家族が自宅で安心して暮らすために
医療を必要としながら在宅で生活している人とその家族にとって、現在の介護保険によるサービスは果たして充分といえるでしょうか。
「在宅重視」の方向性にあるとはいえ、医療が必要な状態になった人を支える家族は「自宅でも安心して介護ができる」基盤が整っていなければ、在宅での介護を決断できない場合もあります。
医療が必要な人とその家族が自宅で安心して暮らすためにはなにが必要かを考えます。

「これからの私」への挑戦

昨年の11月、祖母が急逝しました。約9年間にわたって母とともにケアを続けてきた祖母との別れを今だ受け止めたくないという気持ちもあります。

祖母との生活を振り返り、高齢者の医療、介護の現状について多くのことを学んだと同時に、とくに医療の必要性が高い要介護者とその家族が在宅で生活するうえでの不自由さ、不便さ、課題を感じました。その課題を挙げ、整理し、解決に向けて動いていくことが、これからの私のやるべきことなのかもしれません。

3月1日に大田区産業プラザで行った市民講座「介護を支える、家族を支える −医療・介護ニーズが高い在宅療養者と家族への支援」では、在宅療養者とその家族が抱える問題を提起し、医療提供者とともに考える試みを行いました。

当日は、我が家の介護の日常を撮影したドキュメンタリービデオ「笑顔がみたくて」(NPO法人 PEGドクターズネットワーク制作)を上映。その後、在宅医療・介護を担う利用者家族の立場から以下のような問題点を指摘しました。


財団法人在宅医療助成勇美財団の助成によって開催された市民講座には、看護師、ヘルパー、学生、在宅医療・介護に関心をもつ約50名の参加がありました

在宅医療における医療材料確保の問題

第一に、医療の必要性が高い家族を介護する家族は、自由な外出もままならないという点です。

祖母は気管切開部からたんの吸引が必要で、私と母のいずれかが家にいる必要がありました。私と母は働きながらの介護でしたので、互いのスケジュールを常に確認しながら調整をしていました。そのため、私は母が勤務する曜日は外出をせず、取材を断念したり、講演などの依頼もお断りしたことがありました。

平成17年3月、厚生労働省が「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの取り扱いについて」という通知を出し、一定の条件下における家族以外のたんの吸引の実施を許容するとしています。しかし、現状ではヘルパーによるサービスを提供する訪問介護事業所においてたんの吸引は行わず、ヘルパーに対する指導、研修なども行っていない事業所は少なくありません。

そのほか、看護師が訪問する訪問看護のサービスにおいても介護保険下ではケアプラン(介護サービス計画)に基づき、何曜日の何時から何時までというようにあらかじめ決められた範囲での利用が一般的で、柔軟に利用できるシステムにはなっていません。

こんな問題もあります。入院中であれば診療報酬のなかから支給される吸引カテーテルや滅菌ガーゼなどの医療材料が在宅医療の現場では誰が負担するべきか明確でないのです。

そのため、医療材料の購入が患者負担となっている現状もあります。我が家の場合、毎月医療材料の在庫を確認し、業者へ手配し、業者へ取りに行くという作業を家族が行っていました。

コストの軽減をはかるため、いくつかの業者に問い合わせて値段を比較したこともありました。

家族は医療、介護、そして自分の仕事をこなすだけでも大変なのに、こうした面においても負担を強いられています。

医師よ、地域に出よ

さらに、慢性期の緊急時対応も課題です。胃から直接栄養を摂取することが胃ろうのカテーテルが破損した場合など、今命に関わる状態でなくとも緊急に処置が必要です。

我が家の場合、「異変が起きたら救急車」と思っていましたが、救急車の要請のあり方が問題となっている今、医療の必要性が高い在宅療養者を地域でささえるネットワークが構築されていれば、在宅療養者も家族も安心して生活が送れるのではないかと思います。

ちなみに我が家の場合、日中であれば、なにかあったらまず主治医に連絡して主治医が様態を電話で判断し、自分で対応できないようであれば、主治医が救急診療を行う病院に連絡し、スムーズに対応ができたときもありました。

しかし、座位保持ができない在宅療養者の場合、病院の待合室で待機し、外来で診察を受けることが困難な状況もあります。

病院の行き来に利用する車を確保する際の確保やコストも課題としてあげられます。民間救急(民間の搬送事業者)は高額で、一般のタクシーであれば1000円ぐらいの距離が、その10倍以上かかっていました。

また、現在、在宅で口腔ケアなどの指導を行う歯科医師や褥瘡などがある在宅療養者に往診を行う皮膚科医がいますが、機器が必要ということはあるにせよ、眼科や耳鼻科といった専門の医師も、積極的に地域や在宅の現場に足を運んでほしいと感じています。

上記の課題提起の後、立場の異なる3名の医療提供者が講演を行いました。

〜この記事はvol.19へ続きます〜


プロフィール
小山さん写真 小山朝子(こやまあさこ)

ジャーナリスト。東京都目黒区生まれ。
高齢者の介護をテーマにした執筆活動を行う。
各地で講演を行い、さまざまな媒体でコメンテーターをつとめる。
祖母を約9年にわたって介護した経験から、一当事者として発言する機会も多い。

「読売新聞」、「朝日新聞」、「日本経済新聞」、「産経新聞」ほか、多くの媒体で紹介される。
著書は「朝子の介護奮戦記」、「イラスト図解アイデア介護」(全5巻)、「ケアマネジャーになるための本」ほか。
出演番組はNHK「福祉ネットワーク」、ニッポン放送「ラジオケアノート」など。
2006年〜2007年、「東京新聞」、「中日新聞」にコラム<知っ得 介護>を掲載。
一般誌、経済誌、ビジネス誌のほか、介護専門職向けの情報誌、ウェブサイトなどでも連載多数。

NTV 「NEWS リアルタイム」
(4月放映予定)
特集 リハビリ難民のその後(仮) コメンテーター

現在、東京大学医療政策人材養成講座第4期生
日本医学ジャーナリスト協会正会員

小山朝子の公式サイト

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