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介護ジャーナリスト小山朝子の新介護論
連載/第三回 市民講座レポート(2)
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介護ジャーナリスト小山朝子の新介護論第三回 市民講座レポート(2)「介護をささえる、家族をささえる ー医療・介護ニーズが高い在宅療養者と家族への支援ー」
介護保険制度が改正され、2006年4月から全面施行されました。
介護を社会で支えるという基盤は整ったものの、制度ではカバーできない問題も少なくなく、介護サービスの利用者や家族のニーズが汲み取られていない実情も感じます。
行政、介護を担う家族、在宅・医療機関・施設の現場で働く関係者、そして地域の住民やボランティアなどのインフォーマルな力が、ひとつの輪となって介護を支える社会をつくるために――。
このコーナーでは、「これからの介護」をみなさんとともに考えていきたいと思います。
連載:医療ニーズが高い人と家族が自宅で安心して暮らすために
医療を必要としながら在宅で生活している人とその家族にとって、現在の介護保険によるサービスは果たして充分といえるでしょうか。
「在宅重視」の方向性にあるとはいえ、医療が必要な状態になった人を支える家族は「自宅でも安心して介護ができる」基盤が整っていなければ、在宅での介護を決断できない場合もあります。
医療が必要な人とその家族が自宅で安心して暮らすためにはなにが必要かを考えます。

医療提供者による「家族の声に耳を傾けた」実践

講座の後半では、医療提供者3名による講演が行われました。


坂本由恵さん

医療法人社団 三医会 訪問看護ステーション長で、看護師・ケアマネジャーである坂本由恵さんからは、<医療依存度が高い在宅療養者が利用できるデイサービスの実践>をテーマに、人工呼吸器の装着が必要な要介護者などを受け入れるデイサービスの運営に関わるお立場から、その成果と利用者の声、実践における課題、さらに「呼吸療法士認定士」の資格を取得し 利用者宅で排痰ケアを行うなど、専門性をいかして 訪問看護のサービスを提供することの重要性を伺いました。


大津陽子さん

次いで、財団法人 東京都保険医療公社 多摩南部地域病院 地域医療連携室 看護相談係長で看護師の大津陽子さんからは、<胃ろう造設者をささえるネットワーク構築の取り組み>をテーマに、地域医療支援病院として、多摩地区の病院間で胃ろう造設者や家族を支援するネットワークづくりの取り組みと地域医療連携室看護相談係のお立場から、退院調整の現状と課題についてお話頂きました。

患者・家族、医療提供者側にも一助となる説明ツール


大坪公子さん

3番目のゲストスピーカーである特定医療法人 大坪会 三軒茶屋病院院長、社団法人 日本女医会 理事で医師の大坪公子さんからは<在宅支援のための「たんの吸引」>をテーマにお話を伺いました。

社団法人 日本女医会では、在宅で介護を行う家族や医療関係者、ヘルパーらに向け、「たんの吸引」を安全に行なうための講習会を実施しました。

本講座では、在宅療養者のたんの吸引に関わる問題と課題、さらに講習会の参加者の声などをお話頂き、参加者の皆様にも模型をつかってたんの吸引の方法を説明したDVDをご覧頂き、その知識を深めてもらいました。


DVDでたんの吸引の方法をわかりやすく説明

私の祖母はクモ膜下出血を発症して1年後に気管切開を行い、その後、在宅で医療、介護を担うようになってから、たんの吸引を行ってきました。

退院前の看護指導を受け、その後専門書などを読んでも、そのしくみは理解しづらい点がありました。

しかし、上記のように模型やDVDを使って説明を受ければ、在宅患者やその家族も理解しやすく、安心して在宅で医療、介護を担える一助になるように思いました。

医療提供者側からの患者・家族に対する説明義務が問われていますが、説明に時間をかけても、その説明がわかりづらいものであれば、患者や家族は安心することはできないのではないでしょうか。 一方、医療提供側にも「自分の説明が患者や家族に理解してもらえただろうか」といった不安もあるかもしれません。

在宅医療を担う患者・家族に、こうしたツールを利用して看護指導を行っていくことは、説明を行う医療提供者側への一助にもなると思いました。

さまざまな立場の人が在宅医療・介護について考える場の必要性


会場からの質問に答えるスピーカー。右端が私(小山)

各スピーカーの講演後、参加者からは「経鼻経管栄養から胃ろうへ移行するにあたって不安がある」、「たんの吸引の方法を学びたい」といった質問や意見がありました。

平均在院日数が短縮化され、医療が必要な状態で在宅に戻る患者が今後増えると予想されるなか、このたびの講座のように、医療、介護関係者や在宅介護を担うご家族などが集って、在宅医療の現実と課題について意見を交流する場を設けることの必要性を強く実感しました。

しかし、実際に在宅で医療・介護を担うご家族はこのような場に参加することが難しい状況もあり、ヘルパーに留守を依頼し、同講座に参加して頂いたご家族もいました。

問題を提起したくても、あるいは情報を収集したくても、在宅で医療・介護を担う家族は、「外出がままならない現実」があることを私たちはまず知る必要があるのではないでしょうか。

一般の市民の方からは「在宅医療に関して関心をもつきっかけとなった」との感想もいただきました。

このような講座の参加者は、医療、介護関係者が中心となるものが多いように思いますが、一般の方に対して、在宅医療に関するわかりやすい情報提供を行っていくことも必要だと感じました。

講座開催にあたってお力添え頂いた財団法人をはじめ、各スピーカーの関係機関やNPO法人、スタッフとして参加していただいた有志の皆様に感謝申し上げます。


プロフィール
小山さん写真 小山朝子(こやまあさこ)

ジャーナリスト。東京都目黒区生まれ。
高齢者の介護をテーマにした執筆活動を行う。
各地で講演を行い、さまざまな媒体でコメンテーターをつとめる。
祖母を約9年にわたって介護した経験から、一当事者として発言する機会も多い。

「読売新聞」、「朝日新聞」、「日本経済新聞」、「産経新聞」ほか、多くの媒体で紹介される。
著書は「朝子の介護奮戦記」、「イラスト図解アイデア介護」(全5巻)、「ケアマネジャーになるための本」ほか。
出演番組はNHK「福祉ネットワーク」、ニッポン放送「ラジオケアノート」など。
2006年〜2007年、「東京新聞」、「中日新聞」にコラム<知っ得 介護>を掲載。
一般誌、経済誌、ビジネス誌のほか、介護専門職向けの情報誌、ウェブサイトなどでも連載多数。

東京大学医療政策人材養成講座第4期生

2008年7月刊行の新刊  たちまち重版決定!
「ケアマネジャー 必須書類の書き方  完璧マニュアル」
(長谷憲明・監修、土屋典子、小山朝子・編著、財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団・企画協力ひかりのくに株式会社)

小山朝子の公式サイト

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